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LINE公式アカウント

所属クラブのターゲットリーチ数が1年で220%アップ!ユーザーとバスケットボールの距離を縮める「B.LEAGUE」のLINE活用

公益社団法人 ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

2024.02.27

公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
ファンプラットフォームグループ アシスタントマネージャー 湯川伸介氏

近年のバスケ熱の高まりとともに存在感を増す国内男子プロバスケットボールリーグ・B.LEAGUE(以下、Bリーグ)。2016年に開設したリーグ全体のLINE公式アカウントの友だち数は、前年から一挙に約240万人増加して820万人を突破しました(2024年2月時点)。現在は、LINE公式アカウントの運用ノウハウを所属する各クラブに横展開するのに加え、LINEミニアプリを使った試合会場での「モバイルオーダー」の導入など、先進的な取り組みにも力を入れています。Bリーグ全体の管理運営を担う公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグでファンプラットフォームグループのアシスタントマネージャーを務める湯川伸介氏(以下、湯川氏)に話を聞きました。

目的
  • 試合来場者の利便性を向上させる「アリーナDX」や各種イベントなどを通じてファンの満足度を高め、入場者数の増加につなげたい
  • アカウントの運用やイベントで得たノウハウを各クラブに横展開し、リーグ全体の集客力を底上げしたい
施策
  • 試合会場でLINEミニアプリを活用したフードのモバイルオーダーやシートデリバリーを実施
  • オールスターゲームの開催都市で地元の観光スポットや飲食店の協力を得たスタンプラリーイベントを実施
  • 各クラブにナレッジを共有する勉強会を実施するとともに、LINE上のアンケートを起点にユーザーが各クラブの情報にアクセスする導線を強化
効果
  • モバイルオーダーは一部時間帯で試合前日に売り切れが出るなど好評を博し、飲食店の売上向上にも貢献
  • 3,000人以上がスタンプラリーに参加して市街地を回遊し、開催都市の地域経済に貢献
  • Bリーグに所属する全38クラブのLINE公式アカウントのターゲットリーチ数が、前年度比220%伸長

LINE公式アカウントの運用目的は「認知度向上」から次の段階へ

Bリーグは2023年5月27、28日に横浜アリーナ(神奈川県横浜市)で開催された「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2022-23」では、琉球ゴールデンキングスが千葉ジェッツを破って初の年間チャンピオンとなりました。現在は8シーズン目となる「B.LEAGUE 2023-24シーズン」の真っただ中で、上位リーグB1に24クラブ、B2に14クラブの計38クラブが参加して激戦が繰り広げられています。

 

きめ細かなファンサービスに加え、2023年夏のFIBAバスケットボールワールドカップ2023でアジア最上位となった男子日本代表の活躍も追い風となり、Bリーグの人気は急上昇しています。2024年1月12〜14日に沖縄アリーナ(沖縄県沖縄市)などで行われたオールスターゲーム(B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND

 2024 IN OKINAWA)もチケットが早々に売り切れるなど、その勢いがうかがえます。

 

こうした中、以前はBリーグの認知度を高めることに主眼を置いていたLINE公式アカウントの運用目的も「次第に変わってきた」と湯川氏は説明します。

 

「運用KPIはメッセージの開封率で、その後、いかに各クラブの入場者数増加につなげるかを中心に考えています。LINE公式アカウントは友だちになったユーザーに直接プッシュ通知を送ることができる点が他のSNSにない強みで、顧客と良好な関係を構築するCRM(顧客関係管理)的な使い方ができる。友だちはいわばファンベースで、『入場チケットをご購入いただく一歩手前の方々』と考えられます。そこに効果的なメッセージを送ることでリーグや各クラブに興味を持ってもらい、実際に試合会場に足を運んでもらえるよう工夫しています」

インタビューカット

公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
ファンプラットフォームグループ アシスタントマネージャー 湯川伸介氏

また、年に一度のペースで配信しているLINEプロモーションスタンプの反響は大きく、100万人規模の友だち集客につながることもあるそうです。そのようにして集めた友だちといかに良好な関係を築いていくかが、試合への集客につなげる鍵になります。現在、LINE公式アカウントは湯川氏を含む2人体制で運用しており、メッセージを配信するタイミングには特に気を使っているそうです。

 

「ワールドカップでの男子日本代表の最終戦となった2023年9月2日のカーボベルデ戦で、日本が勝利してパリ五輪の代表権を獲得したのは夜22時ごろでした。通常ならばメッセージ配信を控える深夜の時間帯でしたが、この時ばかりは歴史的瞬間を称えるメッセージを送信し、通常平均の1.5倍とかなり高い開封率を得ることができました。タイムリーにメッセージを届けられるのは、LINEの活用メリットの1つです」

Bリーグではファンの心理に寄りそうメッセージ配信だけでなく、大きなイベントに合わせたさまざまな「仕掛け」も考えています。

 

「入場者数を増やすには何よりもBリーグを好きになってもらうのが一番良いと考えていて、そのために『アリーナDX(デジタル・トランスフォーメーション)』というキーワードを掲げています。毎年、Bリーグ本体が主催する『オールスターゲーム』と、シーズンの優勝チームを決める『ファイナル』の2試合において、LINE公式アカウントとLINEミニアプリを活用して、来場者の『楽しいを増やす』『ストレスを減らす』取り組みを行いました」

LINEミニアプリ活用の「モバイルオーダー」で行列ストレスを削減

先述した「アリーナDX」の実践の場となったのが、冒頭で紹介した「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2022-23』です。優勝が決まる2日目には約1万3千人以上の観客を集めたこの試合で、LINEミニアプリを使った売店におけるモバイルオーダーと、シートデリバリーの実証実験が行われました。

 

多くの観客が集まるビッグイベントでは、売店に長い行列ができがちです。そうした状況を未然に防いだり、来場者のストレスを解消するため、ユーザーがLINE公式アカウントや座席のQRコードなどから起動できるLINEミニアプリを導入。モバイルオーダーで事前に商品注文や、受け取り時間を指定して場内にある5つの売店から商品を受け取れるようにしました。

図版

さらに、特定の座席エリアではオーダーした商品を座席まで運んできてもらえるシートデリバリーも実施。モバイルオーダーは売店の対応キャパシティを考慮して、時間帯ごとに受けられるオーダー数にあらかじめ上限を設けていて、一部の時間帯では試合前日のうちに売り切れ状態になるなどの人気でした。

 

「試合のチケット購入者のうち、メルマガ登録いただいたユーザーにはモバイルオーダーについて何度か周知していました。そのため一定の反応は予想していましたが、試合前日のお昼に売り切れが出たことには驚きました」

 

スポーツやコンサートの会場内でのモバイルオーダーは他競技も含め国内ではまだまだ目新しい試みですが、Bリーグがこの時に要した準備期間はわずか3カ月。このスピード感を可能にしたのが、LINEミニアプリの活用です。

 

LINEミニアプリは、WebアプリケーションをLINE上で起動することができるサービスです。モバイルオーダーについてもすぐに使えるパッケージが開発会社から数多く提供されており、こうしたパッケージを使用することで新たにシステム開発をする期間や予算を大幅に省いて、スピーディーにサービスを提供することが可能となりました。ユーザーにとっても、LINEがあれば新たにアプリをダウンロードせずに利用できるため、使い始めるまでのハードルが非常に低いという特徴があります。

 

「実際にモバイルオーダーやシートデリバリーを使っていただいた来場者にアンケートをとったところ、満足度もかなり高かった。約3,000人以上のユーザーにモバイルオーダーを利用いただき、売店における商品提供の回転率が早くなることで売上も通常より1.5倍程度増加したと聞いており、手応えを感じています」

 

来場者が街を回遊する「スタンプラリー」で地域経済にも貢献

2023年1月にアダストリアみとアリーナ(茨城県水戸市)で開催された「ドットエスティB.LEAGUE ALL-STAR GAME 2023 IN MITO」では、LINEを使って参加できるスタンプラリー施策を行いました。

 

オールスターゲーム観戦のために水戸市を訪れた参加者はLINE公式アカウントを友だち追加することで、水戸市内の飲食店や観光地で使えるクーポンを受け取ることができます。ユーザーが実際に飲食店や観光地を訪れ、そこに掲示されたポスターのQRコードをスキャンすることで「スタンプ」を集めることができ、スタンプを3つ集めるごとに1回、景品としてBリーグのグッズや地元の名産品が当たる抽選に応募することができる仕組みです。

 

「オールスターゲームでは、開催地にどうやって利益を還元できるかをBリーグとして常に考えています。水戸市は観光スポットやおいしい飲食店がたくさんあるのに、そうした情報を知らない方も多い。スタンプラリーを実施することで、来場者が試合会場以外にも街のあちこちを回遊してくれれば、地域全体の経済効果につながるのではないかと考えました」

 

参加者が集めるスタンプ3つのうち、少なくとも1つは飲食店を訪問しなくてはいけないというルールを設けたのも、地域経済に貢献したいという思いからでした。水戸市役所や地元商工会議所の協力を得て進められたこの企画は、商工会議所の呼びかけにより30以上の飲食店が参加。結果として、3日間の開催期間で約3,000人のユーザーが1つ以上スタンプを貯め、うち約1,600人のユーザーが景品の抽選に応募しました。

 

「水戸市役所のある職員の方は『水戸市でこんなに街中を人が歩いているのを見たことがない』と話していたのが印象的です。景品として全選手のサイン入りユニフォームも出していたのですが、『ユニフォームがどうしても欲しくて、何十カ所も回った』という、”推し活”に近い感覚で参加される熱心なファンもいました。後日、参加者が市内を移動した軌跡をマップ上でデータ化したものを確認したのですが、そこからも実際に多くの方が街中を回遊していたことがわかりました。

 

一般的なスタンプラリー施策では、専用アプリのダウンロードが求められると途端に参加率が低くなります。その点、LINEは多くの方が使っているコミュニケーションアプリなので、LINEをベースに施策を設計したことが、参加者数の多さにつながったと考えています」

 

 

このスタンプラリーは 1 月に沖縄県沖縄市で行われた B.LEAGUE 2023-24 シーズンのオールスターゲームにおいて、LINEミニアプリを活用するなど改良を加えながら実施され、やはり好評を集めたといいます(詳しくはこちら)

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LINE公式アカウントの運用知見を各クラブへ共有

BリーグのLINE公式アカウントを通じてさまざまな施策を打ち出してきた湯川氏は、得られた知見を所属する各クラブに情報共有・横展開しています。

 

「モバイルオーダーやスタンプラリーなどの取り組みや得られた結果については、各クラブのLINE運用担当者を集めてその運用知見を共有しています。私たちから伝えるだけでなく、各クラブで成功した事例をみんなの前で発表してもらって、クラブ同士で情報交換も行なっています」

 

図版

LINE公式アカウントの勉強会の様子。湯川氏の発表に耳を傾ける各クラブの担当者たち

Bリーグは2026年にB1からB3までの3リーグ制となっている現在の制度を大きく変革する「B.革新」を掲げています。単年度の競技成績によるリーグの昇降格を廃止し、売上高や平均入場者数などの経営基準を満たしたクラブだけが加入できる新ディビジョン「B.LEAGUE PREMIER」を立ち上げる計画です。

 

「そのため、各クラブは入場者数の増加に向けて、従来のメールマガジンや街頭でのチラシ配りなどに加え、新しい集客方法を模索しているところです。LINE公式アカウントの運用方法や活用事例について積極的に学んでいきたいと考えるクラブは多いです」

 

また、LINEプロモーションスタンプをきっかけに増えたBリーグ公式アカウントの友だちに対して、所属クラブへの興味・関心を喚起するような施策も行なっています。

 

具体的には、Bリーグの公式アカウントで「あなたの応援するクラブ、興味があるクラブ」を選択してもらうアンケートを実施。回答によって、トーク画面下のリッチメニューが当該クラブのカラーに変わり、それぞれの公式サイトや所属選手の情報が見られたり、各クラブのLINE公式アカウントを友だち追加できたりするなどの導線を設けました。

 

「特に、2023年はワールドカップをきっかけに新規ファンが増えたため、こうした導線を通じて各クラブの試合に足を運んだ方もいたのではないかと考えています。実際、日本代表メンバーとして活躍した人気選手を擁するあるクラブのLINE公式アカウントは、友だち数の大幅な伸長などの成果があったようです」

 

一連の取り組みが功を奏し、Bリーグに所属する全38クラブのLINE公式アカウントのターゲットリーチ数(ブロックしていない、メッセージを配信できる友だち数)は、前年度比220%伸長という目覚ましい結果を残しました。LINEを活用した取り組みについて、湯川氏は次のように総括します。

 

インタビューカット

「LINEミニアプリを使った『アリーナDX』や、スタンプラリーを通じた地域振興は、細かな点をブラッシュアップしながら、次のオールスターゲームやファイナルの試合でも実施し、各クラブに還元する流れをつくっていきたいと考えています。

 

2024年も昨年のワールドカップに続いて、再び日本全体のバスケ熱が盛り上がると確信しています。このタイミングでどのような施策を行なって各クラブの集客につなげていくか。LINEプロモーションスタンプなども含め、さまざまな工夫をしていきたいです」


(公開:2024年2月、取材・文/POWER NEWS編集部 小泉耕平、写真/山﨑美津留)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です

企業名 公益社団法人 ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
所在地
東京都文京区後楽1-7-27 後楽鹿島ビル6F
事業内容
国内男子プロバスケットボールリーグの振興や試合運営にかかる業務全般