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コンタクトレンズ自動販売機「Touch & Collect」で提供するJINSの新たな顧客体験

株式会社ジンズ

2020.06.26

株式会社ジンズ アイウエア事業統括部 CX戦略本部
CXマネジメントグループ 統括リーダー 海江田透氏

アイウエア企画・製造・販売会社として国内約400店舗を展開、年間600万本超のメガネを販売する株式会社ジンズ(以下、JINS)は、2018年7月からLINE公式アカウントにMessaging APIを導入し、本格的な運用を行ってきました。2019年11月には同社が手がけるコンタクトレンズ「JINS 1DAY」の新たな顧客体験(CX)を提供するため、LINEアプリを使って店舗に設置されているコンタクトレンズの自動販売機『Touch & Collect』でJINS 1DAYを購入できるようになりました。同社でCXを担当する海江田透氏に、この取り組みの狙いや今後の展望について話を伺いました。

目的
  • LINEから流入するライトユーザーとの接点を増やし、商品購入へのハードルを下げることで顧客ロイヤルティーを向上させたい
  • コンタクトレンズ「JINS 1DAY」の購入に際して新たな顧客体験を提供するとともに、その販促につなげたい
施策
  • 2018年7月からLINE公式アカウントにMessaging APIを導入。アカウントをAPI化することで、ユーザーにLINE上で豊富なコンテンツを提供
  • 2019年11月から、コンタクトレンズ「JINS 1DAY」の購入にかかる処方箋の事前登録、店頭購入でのQRコード作成、キャッシュレス決済などをLINEで行えるようにした
効果
  • LINE公式アカウント内の各種コンテンツを拡充し、LINEプロモーションスタンプなどの広告施策を使わずに約230万人(2020年6月現在)の友だちを獲得
  • 「Touch&Collect」の店舗導入を進めてユーザーの反応を伺いながら、店舗オペレーションの改善を確認できた

Messaging APIを活用し、LINE公式アカウントで豊富なコンテンツを提供

20〜40代をメインターゲットとするJINSは、ライトユーザーとの接点を増やし、顧客ロイヤルティーを向上させた上で商品購入につなげるため、2018年7月からLINE公式アカウントのAPI化を行いつつ、本格的なアカウント運用を開始しました。

 

例えば、同社のLINE公式アカウント内で提供される「待ち時間確認」の機能を使えば、店舗で発行された受付票(QRコードが記載)をスマートフォンで読み取り、LINEのトーク画面上で送信することで、視力測定の待ち時間がリアルタイムで確認できます。

 

また「メガネをさがす」機能では、ユーザーの性別・メガネのフレームの形・素材・価格帯などを選択して希望する商品の検索、メガネのバーチャル試着にも対応。カメラ機能を使えば、試着しているメガネの“似合い度”を判定する「JINS BRAIN」を活用することもできます。

さらに、ユーザーのLINEアカウントとJINSの会員情報を連携すれば、リッチメニュー内の「マイページ」から、MY CODE(JINS会員の専用QRコード)表示や、アイウエアの度数情報の登録や確認を行うこともできます。

JINSのLINE公式アカウント

JINSのLINE公式アカウント。リッチメニューからユーザーのニーズに応える機能提供を、
Messaging APIなどを使うことで実現している

同社はこれまでLINEプロモーションスタンプなどの広告施策を行わず、LINE Beaconを活用したキャンペーン告知やECサイトでの購入後に配信するLINE通知メッセージなどの施策を通じて、230万人超の友だちを獲得しています(2020年6月現在)。

 

そんなJINSのLINE公式アカウントに2019年11月から新たに実装されたのが、「コンタクトレンズ JINS 1DAY」のメニューです。

 

「メガネとコンタクトレンズ双方のユーザーは親和性が高く、2017年12月より1日使い捨てコンタクトレンズ『JINS 1DAY』の販売を開始しました。当社のブランドビジョンである“Magnify Life”(人の生き方を拡げる)が示すように、お客さまの生活をより豊かにする購入体験を提供したいと考え、LINEを活用して『JINS 1DAY』を購入できる⾃動販売機『Touch & Collect』をスタートさせました」

株式会社ジンズ アイウエア事業統括部
CX戦略本部 CXマネジメントグループ 統括リーダー 海江田透氏

事前登録で、コンタクトレンズ購入の「煩わしさ」からユーザーを解放

2019年11月22日、東京・渋谷において次世代型店舗「JINS渋谷パルコ店」がオープンしました。同店舗の“目玉”となったのが、LINEから購入できるコンタクト⾃動販売機『Touch & Collect』です。

 

「JINS 1DAY」の初回購入の際は、事前にLINE公式アカウントのリッチメニュー内にある「コンタクトレンズJINS 1DAY」から、氏名・住所などの基本情報、眼科の受診記録(度数・受診日・受診記録の有効期限・医療機関名など)を登録します*

  • 各種情報は、LINEウォレット内にある「マイカード」内にあるJINSや、JINSアプリからでも登録可能。

登録後に店舗へ向かい、受診記録が登録されたMY CODEを⾃動販売機『Touch & Collect』のリーダー部分にタッチすれば、いつでも「JINS 1DAY」が購入可能に。さらに、ウェブサイトやウェブアプリをLINE上で起動できるLIFF(LINE Front-end Framework)をはじめとする各種APIにより、LINEアカウントとJINSの会員情報の連携から、ユーザー情報の登録、購入にかかるLINE Payを使ったキャッシュレス決済まで、シームレスな操作を実現しています。

「Touch & Collect」の開発は、株式会社電通国際情報サービスが担当

「通常、コンタクトレンズの購入には、眼科医による指示箋(処方箋)が必要となります。商品の取扱店に行くと近くの眼科を紹介され、紙ベースの指示箋を出してもらうだけでかなりの時間が割かれてしまいます。しかも、購入する店舗を変えた場合、再び指示箋が必要になるケースも多い。

 

Touch & Collectで『JINS 1DAY』を購入する場合は、ユーザーの受診記録を登録し、いつでもLINE上で確認することができます。また、指示箋の期限内であれば、購入のたび眼科を受診する必要がないため、お客さまの利便性向上に寄与できると考えています」

「JINS渋谷パルコ店」に設置されたコンタクト⾃動販売機『Touch & Collect』

世の中の変化に合わせて、顧客体験の価値を見直す

現在、JINS 1DAYを購入できるTouch & Collectは渋谷パルコ店でのみ設置されていますが、「設置場所の拡大も見込んでいる」と海江田氏は語ります。

 

「JINS 1DAYの対面販売を行っている他店舗に比べると、オペレーションの手間は確実に減っています。その分、お客さまにお似合いの商品を提案するなど、店舗で行うべきサービスにスタッフが注力できていると思います。Touch & Collectはお客さまからフィードバックもいただきながら、さらなる拡大に努めたいです」

 

また2020年夏には、LINEを活用した新たな顧客体験の提供を目指し、OMO(Online Merges with Offline)施策をリッチメニュー内から提供する予定です。

 

「新型コロナウイルスの流行により、多くの小売業では購入体験にかかる“価値”の見直しが進んでいます。Touch & Collectの場合も、『自動販売機でコンタクトレンズを購入できれば便利』という当初の顧客ニーズに、『対面販売を避けられる』という新たな価値が加わりました。そうした世の中の仕組みやお客さまの生活様式の変化を常に注視しながら、今後も新たな顧客体験を提供していきたいと考えています」

 

(公開:2020年6月/文:安田博勇)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

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