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LINE公式アカウント

店舗のファンをエコ贔屓するために。 イタリアンレストラン「VANSAN」のLINE戦略

株式会社VANSAN

2022.10.19

株式会社VANSAN 経営企画室 大山 純矢 氏

全国67店舗を展開するカジュアルイタリアンレストラン「Italian Kitchen VANSAN(バンサン)では、「LINE@」の時代から全店でLINE公式アカウントを導入しています。ファンのエンゲージメント向上を目的としたメッセージ配信を中心に、近年は「LINEで予約」や「LINEミニアプリ」の活用も開始した同社の取り組みについて、店舗を運営する株式会社VANSAN 経営企画室の大山純矢氏に話を伺いました。

目的
  • 店舗のファンであるユーザーとの接点を強化するツールを導入したい
施策
  • 67店舗の全店で店舗ごとにLINE公式アカウントを開設
  • メッセージ配信やショップカードを活用してファンのエンゲージメントを向上
  • LINEで予約、LINEミニアプリなど、LINE公式アカウントを起点にサービスの利用範囲を拡大
効果
  • LINE公式アカウントと連携したテーブルオーダーの導入効果もあり、LINE公式アカウントの友だちは全店合計で30万人まで増加
  • 緊急事態宣言を乗り切ったお礼のメッセージクリック率は2.6倍を記録するなど、店舗とのファンとのつながりを実感

ターゲットは「ママさん世代」。全国67店舗に出店を伸ばす

「Italian Kitchen VANSAN」は、株式会社VANSANが全国67店舗を展開するカジュアルイタリアンレストランです。店舗の主なターゲットは、保育園・幼稚園への子どもの送迎など、毎日の子育てに忙しい「ママさん」たち。ママ友同士でもお店に入りやすく、子ども連れでもゆっくりとくつろげる店内設計が大きな特徴です。自家製生パスタ・窯焼きピッツァなどの本格イタリアンメニューも好評で、過去には各種メディアにもたびたび取り上げられています。

 

「以前まで、ママさんたちが気兼ねなく集まれる場所といえば、ファミリーレストランやカラオケ店などに限られていたと思います。でも、本音では物足りなさを感じていたり、せっかく集まるならもっとオシャレにランチを楽しみたいというニーズがあると考えました。そこで、東京・表参道のような場所にある本格イタリアン料理店を、家の近くで利用してもらうため、『歩いて行ける本格イタリアン』をテーマに駅前や住宅街を中心に出店数を伸ばしてきました。最近は家族が車で行けるようなロードサイド店舗の出店数も増やしていて、コロナ禍3年間でも出店数を大きく伸ばすことができています」

2022年8月末時点 VANSAN調べ

そんなVANSANでは67店舗全店で、店舗ごとのLINE公式アカウントを開設しています。2016年頃、当初はママさん世代からニーズが高かったポイントを貯めるためのプラットフォームとして導入を開始しましたが、コロナ禍を経て店舗のファンとつながることの重要性に気付き、メッセージ配信に注力してきました。

 

「多くはママさんやそのご家族にとっての季節イベントを強く意識したメッセージ配信ですね。お子さんの進級祝い、誕生日祝い、お正月……などをきっかけにお店の存在を思い出していただき、再来店へ誘導しています」

株式会社VANSAN 経営企画室 大山 純矢 氏

脱・クーポン。ユーザーに手紙を送る感覚でメッセージを配信

前職から飲食業界で勤務していた大山氏は、以前もLINE公式アカウントの開設を担当した経験がありますが、当時、LINE公式アカウントはクーポン配信ツールというイメージが強かったと振り返ります。

 

「LINE公式アカウントについて、当時はクーポンを配信して来店を促すという活用方法が一般的というイメージを持っていました。そのため、VANSANではクーポンを配信するだけの活用から脱却したいという思いがありました。ただ、実際に配信してみるとイメージは刷新され、お客さまとつながることの大切さを実感できるツールだと思えるようになりました」

現在もキャンペーンなどでクーポンを配信することはあるが、基本は季節のイベントなどに合わせた情報発信がメイン

事実、コロナ禍では思い出深い出来事があったといいます。2020年4〜5月、都内を中心に緊急事態宣言が発令され、多くの人が外食を控えるようになりました。飲食店に対しても時短営業や休業要請が出された時期ですが、VANSANでは1度目の緊急事態宣言が解除された同年6月、緊急事態宣言を乗り切ったことに対する“お礼”のメッセージを配信。その際、通常の配信と比較してメッセージのクリック率は2.6倍を記録したといいます。

「もちろん、我々も過去にはクーポン配信を行ったことがあります。反応率も良く、2020年9月の調査では『来店した5人に1人がLINEのクーポンを利用した』という効果も生まれています。しかし、ママさんたちを中心としたVANSANユーザーの行動特性を考えれば、クーポン一辺倒の施策はあまり相応しくないと思っています。我々にとって、LINE公式アカウントのメッセージ配信はあくまでファンの方へのお手紙であり、VANSANのファンクラブ通信のようなもの。そんなファンとつながりが持てるLINE公式アカウントの価値を、この時、あらためて体感できました」

LINE活用で「お客さまをもっと“エコ贔屓”したい」

VANSANではLINE公式アカウント以外にも、コロナ禍での非接触ニーズへの対応やスタッフの業務効率化を目的に、2022年4月から店舗での商品注文から決済までLINEで完結するテーブルオーダー機能を実装。注文時に友だち追加が案内されるため、2022年7月現在、VANSAN全店でLINE公式アカウントの友だち数は約30万人に達しました。

LINE公式アカウントと連携したテーブルオーダーの流れ

さらに、LINE公式アカウント内に「LINEで予約」の機能も追加で実装。LINE公式アカウントの「プロフィール」「リッチメニュー」「メッセージ配信」や店舗のホームページに導線を設置しています。

 

「VANSANではママ会を開催するお客さまが多いのですが、人数も比較的多いということで簡単にネット予約がしたいという要望がありました。予約に関しては、当社もかつて大手グルメサイトを活用していましたが、現在はLINEで予約へ完全に切り換えています。LINEで予約は、リッチメニューなどから『予約する』ボタンをタップし、来店日時・人数・プランを選択するだけで予約が完了します。その簡単な予約方法を知った時、VANSANのお客さまにはぴったりな機能だと思いました」

 

2022年1〜7月、VANSAN直営15店舗において、LINEで予約からの平均予約件数は月に56件。その数字は、ネット予約全体の割合の4分の1に当たります。

「LINEで予約導入からの期間が短く、また、コロナ禍の影響もあったことから過去との単純比較は難しいですが、『ファンの予約数が可視化できた』ことの意味は大きいと思います。グルメサイトからの予約流入では予約来店者の情報を把握することはできませんでしたが、LINEで予約からの予約来店者の多くは、過去にご来店されたVANSANファンの方という前提があります。ファンの皆さんのリピート率や来店頻度を把握できるようになったことは、きっと今後の施策につながります」

 

VANSAN2店舗でLINEミニアプリの「順番待ち」機能を導入するなど、今後もLINE活用による利便性向上に努めていくと話す大山氏は、「LINEの活用でお客さまをもっと“エコ贔屓”したい」と話します。

 

「先般リリースした自社アプリ会員数が3万5,000人であるのに対し、LINE公式アカウントの友だち数は30万人です。LINEはライトなファン、アプリはそれよりもコアなファンと位置づけています。いずれにせよ、私たちがやりたいのは、コアなファン、ライトなファンにかかわらず、VANSANのファンに対してエコ贔屓をすること。やがてはファンの方を集めた限定イベント開催なども考えています。飲食店とお客さまとの理想の関係性は、『店員さん!』ではなく『○○さん!』と名前で呼ばれるような関係性です。そうした関係性を築き、お客さまをエコ贔屓していくためには、私たちがお客さまのことをもっと知る必要がある。LINEはそれを実現するツールだと思っています」

 

(公開:2022年10月、取材・文/安田博勇、写真/小川孝行)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です

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