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ガイドライン・広告品質 公開日:2023.10.02 更新日:2023.10.02

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは?概念や重要性を解説

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DE&I(Diversity Equity & Inclusion:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)は企業経営の新たな基本方針になりつつあります。本記事では、DE&Iの意味や必要性、DE&Iを推進するメリットと取り組みのポイント、企業事例などを解説します。

 

昨今DE&I(Diversity Equity & Inclusion)といった考え方に触れる機会が多くなったビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。実際、現代社会でビジネスをしていくうえで重要な考え方のため、企業理念として掲げる企業も増えています。

 

しかし、DE&Iの意味や必要性が今一つよくわからない方もいることでしょう。本記事は、DE&Iの意味や尊重されるようになった背景、企業がDE&Iを推進するメリットと取り組む際に意識したいポイント、企業事例などについて解説します。

 

DE&I(Diversity Equity & Inclusion)とは

DE&I(Diversity Equity & Inclusion:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは、これまで企業が取り組んできたD&I(Diversity & Inclusion:ダイバーシティ&インクルージョン)にエクイティ(公平性)を加えた考え方です。

 

そもそもD&Iとは、人材の多様性(ダイバーシティ)を受け入れて企業や社会の活力とする(インクルージョン)考え方を指します。このD&Iの環境・機会を、あらゆる人に公平に与えるようにするエクイティ(公平性)の考え方を加えたのがDE&Iです。

 

各要素の意味と理想的な状態を以下にまとめました。

 

分類

理想的な状態

D:ダイバーシティ(多様性)

性別、年齢、国籍、障がいなどの違いを問わず、多様な人材が存在している

E:エクイティ(公平性)

設備や情報などのリソース、および活用機会が公平に与えられている

I:インクルージョン(受容)

多様性を受け入れ、各人がいきいきと能力を最大限発揮できている

 

それでは各要素について詳しくみていきましょう。

 

D|ダイバーシティ(多様性)

ダイバーシティ(多様性)とは、性別や年齢、国籍、障がいの有無などの違いで差別することなく、個性を尊重しようとする考え方です。ダイバーシティは以下のように分類されています。

 

  • ・表層的ダイバーシティ:年齢、性別、民族、国籍、外見など個人の意思で変えられないもの
  • ・深層的ダイバーシティ:教育、文化、宗教、価値観、パーソナリティーなど外から識別しにくいもの

 

例えば、女性活躍推進や、LGBT雇用差別規制などの取り組みは、ダイバーシティの考え方に基づいています。近年では「ダイバーシティ経営」も一般的になりました。ダイバーシティ経営は、例えばトランスジェンダーの従業員に対してトイレや更衣室を配慮したり、障がい者を積極的に雇用したりするなど、多様性を尊重した経営がおこなわれているのが特徴です。

 

E|エクイティ(公平性)

エクイティ(公平性)とは、多様な人材が力を発揮できる仕組みや環境を推進しようとする考え方です。例えば取締役の4割を女性にする「クオータ制」の導入は、女性に不利な環境を是正するエクイティ(公平性)の考えが含まれています。

 

エクイティ(公平性)はイコーリティ(Equality:平等)と混在されてしまうことがありますが両者は異なります。

例えば、リンゴの木のそばに大人と子どもがいた場合、リンゴを取る機会は平等に与えられていますが、身長差があるため公平とはいえません。そこで身長差を補うため、子どもに踏み台を置いてあげる施策が、エクイティにあたります。

 

 

I|インクルージョン(受容)

インクルージョン(受容)とは、多様性を受け入れ、各人がやりがいを感じながら最大限に能力を発揮させてもらうことで、組織の活力とする考え方です。インクルージョンを実現するには、ダイバーシティが前提です。

 

例えば企業が多様な人材を登用してプロジェクトチームを作り、ダイバーシティを実現したとします。このうえで多様性を受け入れ、働きやすい環境、モチベーションを持てる業務などを整えて、はじめてインクルージョンが実現できるわけです。

 

 

DE&Iを尊重する背景

DE&Iが注目されるようになった背景として、しばしばSDGsの目標である持続可能な社会の実現や人種差別問題の解決、男女格差是正などが挙げられます。

しかし、DE&Iが要請されるようになった大元の背景には、移動手段やテクノロジーの進化によって、人と人との交流が加速度的に活発になった現状があります。主な内容は以下のとおりです。

 

  • ・多人種、多国籍の交流が活発になった
  • ・時間や距離の制約がないオンライン空間での交流が活発になった
  • ・インターネットやSNSによって、個人が広範囲に情報発信できるようになった
  • ・医療の進歩による長寿命化とともに、いろいろな身体的特徴を持つ人が増えた

 

こうした状況で、各人が互いに尊重しながら働くためには、DE&Iの考え方が重要です。

 

企業がDE&Iを推進するべき理由

経営側の立場からDE&Iの実現を考えたとき、その労力やコストは大きなものになると予想できます。しかし、DE&I推進とビジネスは相いれないものではありません。

 

イノベーションの創出につながる

多様な人材と価値観を大切にすることで、イノベーションを創出しやすくなります。今までになかった意見やアイデアが集まり、商品やサービスの質を高めるきっかけになるケースが多いためです。

 

実際、経済産業省の資料でも、”従来とは異なる多様な人材の能力や特性を最大限に活かすこと、すなわち「ダイバーシティ経営」が、新たな企業価値の創造にも繋がります”と述べられています。DE&Iを推進すれば、必然的にダイバーシティ経営に取り組むことになるため、製品・サービス自体を開発・改良するプロダクト・イノベーションや、業務プロセスを開発・改良するプロセス・イノベーションを期待できます。

 

引用:経済産業省「多様な個を活かす経営へ~ダイバーシティ経営への第一歩~」

 

優秀な人材の確保につながる

DE&Iを推進すると、多様な人材を確保できるようになります。例えば、DE&Iを推進しておらず、男性ばかりを採用している企業は、優秀な女性を戦力に加えられていない状況です。男女関係なく採用するようにすれば、優秀な人材を採用できるチャンスは広がるでしょう。

 

また、地方の企業は、優秀な人材を集めにくい傾向がありますが、テレワークを導入すれば全国や諸外国にいる人材も雇用対象にできます。結果として優秀な人材を採用しやすくなりますし、人材の多様化による組織力向上も図れます。

 

従業員の定着率が高まる

DE&Iでは、多様な人材がやりがいを持って能力を最大限発揮できる状況を目指します。従業員一人ひとりを大切にすることになるため、やりがいや働きやすさを感じて、定着率が高まるでしょう。

 

例えば、育児や介護のために離職を考えている人に対して、テレワークでの在宅勤務や短時間労働を認めているケースがあります。こうした従業員の立場に立った制度は、帰属意識やロイヤルティーを高めるため、従業員の定着につながります。

 

企業価値の向上

DE&Iを推進すると、ステークホルダーからみた企業価値の向上につながります。イノベーションの創造企業として存在感が増したり、従業員を大切にする企業として就職希望者が増えたりするなど、企業イメージが高まるケースが多いためです。

 

また、ESG投資を呼び込む経営戦略としてDE&Iに取り組む企業も増えています。ESG投資とは、SDGsに関する取り組みを評価項目に加えた投資です。SDGsには「ジェンダー平等を実現しよう」「人や国の不平等をなくそう」など、DE&Iに関連する目標が多くあるため、投資を呼び込みやすくなります。

 

一般的にDE&Iに取り組む際に意識されるポイント

企業がDE&Iに取り組む際には、一般的にどのような点を意識すればよいのでしょうか。4つのポイントを紹介します。

 

DE&I活動の共有と連携を心がける

DE&Iに取り組む際は、DE&Iについて周知し、従業員との対話を重ねながら、会社全体として理解を深めていく必要があります。そのため、DE&Iの多様性の受容、公平性などの考え方はトップダウンによる押し付けでは浸透させるのが難しいでしょう。

従業員が参加意識を持って積極的に発言し、上層部がその意見を受け入れるボトムアップ型の経営方針に変革して、はじめて企業の文化・理念になっていきます。

 

そのためには、社内で相互理解のための対話の機会を設けたり、DE&Iに関する社員研修を実施したりするなど、情報共有と連携を強化することが重要です。

 

アンコンシャス・バイアスを自覚する

アンコンシャス・バイアスは、「高齢者は頑固な人が多い」「女性は感情的で論理的な思考ができない」などの無意識の思い込みや偏見です。アンコンシャス・バイアスはDE&Iを推進するうえで障壁です。なぜならアンコンシャス・バイアスは、立場が違う人に対する理解力や共感力を働かせなくする性質を持っているからです。

 

例えば、ジェンダーバイアスを持っている人のなかには、「リーダーは男性がやるべき」と無意識に考えてしまう人がいます。こうした人が上司なら、女性は人事評価で不公平な評価をされるでしょう。アンコンシャス・バイアスは自分ではなかなか気付けず、払拭(ふっしょく)することも容易ではないため、企業によっては、従業員や上層部に対して基礎知識の研修や、ワークショップなどをおこなっているところもあります。

 

少数派の意見にも耳を傾ける

DE&Iの実現のための土台となるのが、少数派の意見にも耳を傾けられる環境です。DE&Iを推進するにあたっては、「対話」による相互理解が大切であるため、少数派が安心して自分の意見や考えを言える「心理的安全性」が保障されていなければなりません。

 

心理的安全性とは、組織のために発言することに恐れや不安を抱かないことです。組織マネジメントでは、生産性向上のカギとなる要素とされています。DE&Iを推進すれば多様な人材が集まるため、個々が自分らしく働ける職場を目指すうえで少数派の心理的安全性確保は今まで以上に重要となるでしょう。

 

多様な人材の雇用を想定して環境を整備する

多様な人材を受け入れるためには、ルール整備も重要です。一例を挙げると次のとおりです。

 

  • ・通院休暇や車通勤の許可
  • ・外国人従業員に関する語学サポート
  • ・子育てや介護のための休暇、短時間労働制度
  • ・生理休暇制度

 

DE&Iが推進するにつれて、人材の多様化は進みます。はじめに完璧なルールを作るというよりは、柔軟にルールを見直して改善できる体制であることが求められます。

 

企業におけるDE&Iの事例

ここでは企業におけるDE&Iの事例を、国内の女性活躍推進にスポットをあてて紹介します。

 

多様な価値観をもつ人材が働きやすい組織風土への改革

建設業界は労働人口の減少、給与の低さによる若者離れ、需要拡大などにより、深刻な人材不足に陥っています。また、男性中心というイメージが根強い建設業界では、全体的に女性社員が少ないうえ、女性総合職の本格採用が始まったのも2000年の後半からという状況でした。

 

こうした状況から、ある大手建設会社は女性活躍推進による働き手の確保と組織体制の見直しをおこないました。

まず、同社は女性取締役をオブザーバーとする組織横断的なダイバーシティ推進委員会を設置。さらに当時の経営トップが初代室長となる推進室の部署も新設しました。取り組み事例の一例を紹介すると以下のとおりです。

 

  • ・ダイバーシティ推進のメッセージ配信、ホームページを通じた啓蒙活動
  • ・推進委員会による事業所巡回でトイレ、更衣室、アメニティー設備など女性の働きやすさをチェック
  • ・「意識改革」、「職場環境整備」、「両立(育児・介護)制度」などについてのヒアリング、アンケートを実施

 

女性の働きやすい環境を整え、ダイバーシティ経営を実現していく計画です。

 

女性社員のキャリア意識改革とサクセッションプランのための経営塾

菓子製造をメイン事業とするある企業は、人口減少や少子高齢化によって市場規模の大きな成長が見込めないことに危機感を抱いていました。今後事業を拡大していくには、イノベーションの源泉である多様性が重要として、ダイバーシティの取り組み方針を作成しました。

 

活動は多岐にわたりますが、女性社員に対してはキャリア意識改革とサクセッションプラン(後継者育成計画)につながる「経営塾」を実施しています。キャリア意識改革では、ダイバーシティ推進室と人事部が協力して女性意識改革セミナーやキャリアアップセミナー、管理職セミナーなどを継続的におこなっています。また、サクセッションプランでは経営幹部候補の若手女性社員を育成する特別クラスを設けました。

 

これらの施策の成果はすでに出ており、多くの女性社員が管理職として活躍しています。また、ある子ども向け製菓開発プロジェクトでは、育児休業を終えた短時間勤務中の女性社員をリーダーに据える前例のない人材配置によって、新たなターゲット層を開拓できたとのことです。

 

これからの広告にはDE&Iが求められる

これからの広告制作では、DE&Iの尊重が求められます。DE&Iの意識の高まりとともに、多様性を否定したり誰かを差別したりする意識がなかったとしても、非難を受けるリスクが高まっているからです。

 

例えば、女性像へのアンコンシャス・バイアスを訴えた広告が、「女性をばかにしている」などと非難されるケースがあります。また、インターネットによって情報拡散が早くなった現代では、自国では問題のない広告でも、他国では文化の違いから差別表現となり抗議を受ける事例が増えています。

 

こうしたトラブルを防ぐには、DE&Iの観点から視野を広げ、この広告を出すことでどのように感じる人がいるかを考えてみることが必要です。また、知見を持つ他の広告代理店や社内の性別、国籍、年齢などが異なる人など、多様な方面から客観的な意見をもらうことも大切です。

 

すでに一部の企業は、広告制作チームの再編に着手しています。海外のある広告制作会社は、白人や男性が中心だった制作現場を見直し、BIPOC(黒人、先住民、有色人種)や女性を意思決定のポジションに加える人事戦略を採用しました。また、ポストに空きが出て、同等の実力を持つ男性と女性がいた場合、女性を積極的に採用するようにしています。DE&Iを尊重した広告制作では、多様な人材を雇うだけでなく、これらの人材が広告制作に関わり、意見が偏重しないようにすることが重要です。

 

まとめ

現代社会は、人と人との交流がかつてないほど活発になっています。それにともない、多様性を受け入れ公平に活躍の場を与えるDE&Iの考え方が企業に求められるようになりました。すでに組織運営や人材確保、広告運用など多方面で変化が起きているため、DE&Iについての理解を深めていきましょう。

 

LINEヤフーはD&Iを推進しています。広告配信や市場・顧客リサーチなどにおいても、皆様と一緒に考えながら取り組み、この活動を推進していきます。


制作:デジタルアイデンティティ株式会社

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