暮らしを支える多彩な家電商品を展開するパナソニック株式会社(以下、パナソニック)。主力カテゴリーの1つである白物家電、とりわけ冷蔵庫は長く使われる商品である一方、買い替えの約60%が故障などによる “急な購買”であり、検討時にブランドを想起してもらいにくいというマーケティング課題を抱えていました。
「必要になるその日に、真っ先に思い浮かべてもらえる存在でありたい」──純粋想起を重要指標として掲げる同社が、2024年10月から導入したのがYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)インストリーム広告でした。LINEヤフーのビッグデータを活用した精緻なターゲティングのもと動画広告を配信。ブランドリフト調査で商品興味度、商品購入・利用意向度、商品再購入・利用意向度が向上するなど、認知にとどまらない成果を上げました。
本施策の狙いや得られた気づきについて、メディアアナリティクスチーム チームリーダーの高須泰行氏(以下、高須氏)に話を聞きました。
- 急な故障や不具合をきっかけに冷蔵庫の購入を検討する際、真っ先に社名を思い浮かべてもらえるよう、純粋想起率の向上を図る
- Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)インストリーム広告を活用。LINEヤフーが持つビッグデータのもと、高精度のターゲティングを行って30秒の動画広告を配信
- ブランドリフト調査において、実施前に比べ「商品興味度 +9.5ポイント」、「商品購入・利用意向度+4.8ポイント」、「商品再購入・利用意向度+7.8ポイント」など、高い数値を獲得
長く使われる家電だからこそ生まれる、マーケティング課題
パナソニックは1918年の創業以来、人々の暮らしに寄り添う家電を数多く提供してきました。「大切な商品を長く使い続けてもらいたい」という考えのもと、品質向上に努めてきた一方で、マーケティング活動においては特有の課題があると高須氏は話します。
コミュニケーションデザインセンター メディアプランニング部 メディアアナリティクスチーム チームリーダー 高須 泰行氏
「私が担当する家電商品は、一度購入すると10年ほど使用されるケースがほとんどです。購入直後は、どのブランドを選んだのかしっかり覚えていても、買い替えのタイミングになると忘れてしまっているお客さまが多い。特に冷蔵庫は、一度電源を入れたら、あとは食材の出し入れをするだけで日常的にスイッチをオンオフする必要がありません。そのため、お客さまにとっては非常に愛着の湧きにくい商品であり、メーカー側にとっても、お客さまとの接点を創出しにくい商品なんです」
加えて、冷蔵庫の買い替え理由の約60%は、急な故障や不具合によるもの。そのうち、当日から数日以内に購入する層は半数近くにのぼります。
「急に必要になる“その日”に『冷蔵庫と言えばパナソニック』と思い浮かべていただければ、購買に直結する可能性は高い。冷蔵庫をはじめとする白物家電のマーケティングにおいて、私たちが大切にしている指標は純粋想起です」
本画像はパナソニック株式会社の許諾を得て掲載しています。
以前は、認知度向上を目的としたテレビCMや交通広告などマス広告と、購入を検討している層に向けたデジタル広告を使い分けてきたと話す高須氏。インターネット経由の動画コンテンツを大画面で視聴できるコネクテッドTVの出現で、その考え方が変わったと言います。
「冷蔵庫に限らず、当社の商品は高価格帯商品が中心で、ご家族で相談したうえで購入を決めるケースがほとんどです。動画メディアのなかでも、特にコネクテッドTVに着目したのは、リビングにあるテレビで、家族団らんの時間に視聴されるシーンが想像できたからです」
以前からインストリーム広告自体は活用していた同社が、新たにYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)インストリーム広告を導入した理由について、高須氏はこう語ります。
「最も興味を引かれたのは、LINEヤフーが持つビッグデータを活用した独自のターゲティングが可能だった点です。個人的には、テレビCM用に制作した30秒のCM素材をデジタル広告に活用した場合、どのように効果が変わるのかを自分の目で確かめたい、という思いもありました」
準顕在層を逃さない。ビッグデータに基づいたターゲティング設計
Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)インストリーム広告の特徴
TVer、ABEMAに動画広告を配信できるYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)インストリーム広告は、LINEヤフーが持つビッグデータを駆使し、1000種以上のセグメントからターゲティングができるのが最大の特徴です。
本施策実施時はTVerへの配信のみ
インストリーム広告の詳細はこちら
本施策では、故障や不具合をきっかけに冷蔵庫を必要とする「準顕在層」を的確に捉えつつ、潜在層や顕在層にも効果的にアプローチできるターゲティング設計を行いました。
今回、Yahoo!検索で「冷蔵庫」を検索する前のカスタマージャーニーを分析した所感について、高須氏は次のように話します。
「『引越し』や『冷凍食品』など、今まで何となく冷蔵庫と関連性が高そうだと思っていたキーワードが、実際にデータとして可視化されたことで、仮説の答え合わせができた感覚でした」
綿密なターゲティング設定のもと、2024年10月から動画広告の配信を開始。約半年後に実施したブランドリフト調査では、メインターゲット層である30代から50代において、特に「商品興味度」「商品購入・利用意向度」「商品再購入・利用意向度」で高い数値を獲得しました。
「商品理解を促進するうえで、動画は有効な手段だと認識していましたが、ここまで顕著に高スコアが出るとは正直驚きました。誰に、どんな環境で届けるかという“広告の質”の重要性をあらためて実感しましたね。これまで十分にリーチできていなかった層に対して、効果的に費用を投下できたという手応えもありました」
さらに高須氏は、コンテンツそのもののあり方についても新たな気づきがあったと話します。
「TVerやABEMAは、広告の視聴完了を前提とした配信設計です。以前、タイアップ色の強い広告を出稿した際には、『しつこい』『暑苦しい』といった声が寄せられたこともありました。今回の動画広告は、商品そのものではなく、当社の商品が支える“心地よい暮らし”に焦点を当てた内容だった点が、受け入れられた理由の一つだと考えています。お客さまの立場に立って最適なコンテンツを配信する視点は、引き続き大事にしたいですね」
多様な暮らしに彩りを。次の時代へ広がるマーケティング視点
今回のYahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)インストリーム広告の取り組みに加え、商品戦略との相乗効果もあり、冷蔵庫の国内シェアも増加しました。ブランド想起の向上が、実際の市場成果にもつながりつつあります。
また本施策は、パナソニック社内でも高い評価を得ており、すでに他商品のプロジェクトへと活用が広がっています。高須氏は、動画広告に対する今後の取り組みについて、こう語ります。
「今回はあえて、テレビCM素材を活用しましたが、今後はインストリーム広告用、SNS用といったように、媒体特性に合わせた動画制作にも取り組んでいきたいですね。動画広告の可能性を、さらに広げていきたいと考えています」
最後に、高須氏は今後の宣伝・マーケティング活動について、次のように語りました。
「家電業界は、以前に比べて参入障壁が下がり、競合他社との競争はますます激化しています。多様化する家族形態やライフスタイルに寄り添う商品づくりを念頭に、お客さまとのコミュニケーションをさらに増やしていきたい。具体的には、冷蔵庫単体ではなく、洗濯機やエアコンなども含めた“くらし全体”の提案ができる存在を目指したい。そのためにも、少し先のトレンドを見据えたプランニングやクリエイティブが重要になると考えています。
そうした取り組みを進めるうえで、もともとLINEヤフーが展開するメディアは国内で圧倒的なリーチ力があり、信頼は厚かったのですが、今回の施策で新たにビッグデータを活用させてもらったことで、その実力を確かめることができました。
今後もLINEヤフーと密に連携しながら、トレンドを予測し、新たな取り組みにつなげていけたら嬉しいですね」
(写真左)同社担当営業のLINEヤフー株式会社 石野泰将
| 企業名 | パナソニック株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府門真市
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| 事業内容 | 家電・空質空調・食品流通・電気設備・デバイス等の開発・製造・販売
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(公開:2026年2月、取材・文/福嶋聡美、写真/慎芝賢)
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