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LINE 公的個人認証サービス(JPKI)

市民の利便性向上と業務効率化を両立!LINEを活用した神奈川県伊勢原市の定額減税補足給付金対応に学ぶ

神奈川県伊勢原市

2025.11.28

神奈川県のほぼ中央に位置する伊勢原市は、豊かな自然と都市機能が調和したまちです。市のシンボルである大山は古くから信仰の対象として知られ、観光地としても多くの人々に親しまれています。また、都心から約1時間というアクセスの良さを活かし、住宅都市として発展を続ける一方で、地域のつながりを大切にする文化が息づいています。
伊勢原市では、市民のニーズに応じた利便性の高いオンライン行政サービスの提供に取り組んでいます。特に近年は、LINEを活用した情報発信や申請手続きのオンライン化を推進し、住民サービスの質向上と職員業務の効率化を両立。公的個人認証(JPKI)を活用した取り組みは、より安全で簡便な行政手続の実現に向けた先進的な事例として注目されています。
 

LINE 公的個人認証サービス(JPKI)を採用した理由を教えてください

従来の紙申請では、本人確認書類の確認や入力作業などに多くの時間と労力を要していました。
こうした課題を解消するため、伊勢原市ではLINE 公的個人認証サービス(JPKI)を活用し、本人確認をオンライン化する仕組みを導入しました。
 

 

これにより、職員側では申請データの電子化による事務処理の効率化・ミス削減を実現し、住民側では普段使い慣れたLINEから手軽に申請できる利便性を提供することができました。
伊勢原市が掲げる「誰でもいつでも利用できるICTサービス」を実現するための効果的なツールとして採用に至りました。

 

LINE 公的個人認証サービス(JPKI)を導入前の対応と困りごとを教えてください

 

導入前は紙での申請を中心に受け付けており、住民には「確認書」を郵送し、必要事項を手書きで記入のうえ、本人確認書類や振込口座確認書類の写しを添付して返送していただく形でした。
この方法では、郵送期間が発生するほか、添付漏れや記入ミスによる再提出も多く、住民にとっては手間がかかり、職員にとっても確認作業の負担が大きいという課題がありました。
また、問い合わせ対応や窓口の混雑も増加し、担当職員の事務負担は相当なものとなっていました。電子申請を取り入れることで、これらの課題を抜本的に解消できると考えたことが導入検討の大きなきっかけです。
 

導入までの経緯と運用の工夫を教えてください

導入検討の際には、住民サービスの向上、職員の負担軽減、ペーパーレス化といった具体的なメリットを各部署に提示し、従来の課題を共有することで、庁内での理解と協力を得ました。複数の部署が関わる施策であるため、課題意識を共通化し、部署横断的な合意形成を重視しました。

 

システム構築では、他自治体での導入実績を持つベンダーのパッケージをベースに、伊勢原市の運用要件に合わせて迅速にカスタマイズを実施。LINEヤフーおよびベンダー双方から、開発中に発生する技術的課題への迅速かつ的確なサポートを受けることで、スムーズな導入を実現しました。
構築開始からサービスリリースまでは約2か月という短期間で完了。スピード感のある対応が可能となった背景には、既存の実績を活用した柔軟な開発体制と、明確な目的意識の共有がありました。

 

 

 

また、住民への周知にも工夫を凝らしました。市役所入口に横断幕を掲示し、待合い所の椅子裏にはポスターを貼付。LINE公式アカウントへの友だち追加を促すことで、自然な導線で申請に誘導しました。さらに、庁舎内のモニターでデジタルサイネージを放映し、来庁者に効果的に情報を届けました。

ご利用いただいた住民の反応を教えてください

「LINEからすぐに申請できて便利」「市役所に行かずに完結できるのがありがたい」「こんなに簡単に申請できるなら、他の手続きもLINEでできるようになってほしい」など、非常に前向きな反応を多くいただきました。
日常的に利用しているLINE上で手続きができるため、操作のしやすさと安心感が特に評価されました。
また、申請後の進捗が分かりやすく、問い合わせ件数も減少。市としても、デジタルサービスに対する住民の受け入れ意識が高まったことを実感しています。

サービス開始後の職員の反応を教えてください

「確認作業がスムーズになった」「書類不備による再確認が減った」といった声が多く上がりました。
LINE 公的個人認証サービス(JPKI)による本人確認の自動化で、申請内容のチェック工数が大幅に削減され、事務処理のスピードと正確性が向上しています。
また、電子データの活用により庁内での情報共有や進捗管理も容易になり、職員間の業務連携もスムーズに。これまで煩雑だった給付事務の効率化が着実に進んでいます。

効果・成果

定額減税補足給付金の受付にあたり、対象となる約1万人のうちLINEを通じた申請件数は全体の約20%を占め、当初想定を上回る利用がありました。紙申請に比べて処理にかかる時間は約40%短縮され、申請から給付までのリードタイムが大幅に短縮し、迅速な給付が可能となりました。
また、手続きに関する問い合わせ件数も紙申請時と比べて大幅に減少し、窓口混雑の緩和にも寄与。職員がよりきめ細やかな対応や他業務に時間を充てられるようになりました。
 

今後の展望・提言

今後は、LINEやLINE 公的個人認証サービス(JPKI)を活用した各種申請手続きのオンライン化をさらに拡大し、「行かない窓口」の実現を目指していきます。
また、他の自治体へアドバイスするとしたら、まずは効果が見えやすい業務から着手し、成功体験を積み重ねることが重要だと考えています。小さな成功をもとに庁内理解を広げることで、行政全体のDX化を着実に進めることができると思います。

ありがとうございました

 

 

神奈川県伊勢原市
人口:100,568人(令和7年11月1日現在)
住所:〒259-1188 神奈川県伊勢原市田中348番地