増田勝治（以下、増田）：美濃加茂市さんは「子育て事業」にLINEを上手く活用していますよね。

大下智也様（以下、大下）：美濃加茂市では、2016年にLINE公式アカウントを開設していましたが、市と住民の双方向のコミュニケーションを強化するため、2023年にリニューアルをしました。
いつでもどこでも市役所の手続きができる美濃加茂市LINE公式アカウントを活用した「スマホ市役所」※1を開設し、市役所の手続きやサービスをもっと簡単に利用できるよう取り組んでいます。
スマホ市役所の利便性を上げるため、力を入れて取り組んだことは、「子育て支援センターの入退館手続き」です。
今までは支援センターの受付にある紙へ5分程度で記入していたものを、QRコードを読み取り、約10秒で完了ができるようになりました。
 

※1：Bot Express社のGoveth Expressを利用
この取り組みが好評だったこともあり、子育て支援課と他にどのような取り組みができるか模索したところ、「乳幼児一時預かり事業の利用者登録からオンライン決済」でLINE及びLINE 公的個人認証サービス（JPKI）の活用に至ります。

増田：令和5年に美濃加茂市LINE公式アカウントをリニューアルしたことやLINE 公的個人認証サービス（JPKI）を導入したこと、庁内の反応は如何ですか。

大下：乳幼児一時預かり事業におけるLINE活用は、新聞やwebの記事、市長からの発信を通して庁内でも話題となりました。
しかし、職員が実際にどのように感じているのか、自分たちの課にも取り入れたいと考えているのか、その反応があまり見えてきません。
企画課としては、他の課でも積極的にこのシステムを活用してほしいと考えています。
そこで、庁内の各課に所属するシステムサポーターを対象にセミナーを開催しました。

増田：システムサポーター、初めて耳にします。

大下：各課にはシステムサポーターが選任されており、庁内のDXに関する案件も担当しています。
LINE公式アカウントやLINE 公的個人認証サービス（JPKI）、オンライン決済についての情報を定期的にインプットすることで、各課との横の繋がりが強化され、軽い相談からでもデジタル化が進む環境が整っています。
さらに、システムサポーターは担当課の上長や同僚と情報を共有するため、周知がしやすい環境が構築されています。
これにより、庁内でのデジタル化の推進がスムーズに行われていると思います。

増田：システムサポーター制度によって、庁内のナレッジ共有がしやすい環境ですね！

大下：はい、まさにその通りです。
実際に子育て支援課の取り組みに興味を持って、税務課より税関連証明書の発行時の本人確認にLINE 公的個人認証サービス（JPKI）を利用する予定です。

増田：お話を聞いていると、一度きりではなく、定期的にインプットすることが重要だと思いました。
企画課がデジタルに関する庁内営業の役割を担っている気がします。

大下：一度きりの情報共有では、なかなか職員の心に響かないことがあります。
LINE 公的個人認証サービス（JPKI）に関しては、機能の説明だけでなく、実際の運用効果や管理画面を見せることで、「自分たちの課でも導入してみたい！」と思ってもらえるよう工夫しています。
すぐに採用に至らなくても、改善を検討する段階で思い出してもらえるよう、庁内での種まき活動と捉えています。

増田：各課にデジタル人材を設ける制度、定期的に情報をインプットする種まき活動。
この２つが美濃加茂市の「スマホ市役所」の利便性を向上させていることが分かりました！
貴重なお話をお伺いさせていただき、ありがとうございます！

大下：こちらこそ、ありがとうございます。
事業内容などでご質問あれば、ぜひ当庁にお気軽にご相談ください。