埼玉県北西部に位置する美里町は、豊かな自然環境と落ち着いた住環境を併せ持つ町です。子育て支援が充実し、住むにも企業立地にも適した町です。一方で、高校や大学が町内にはないことから、中学校卒業後に多くの若者が町外へ進学・通学するという地域特性もあります。
美里町では、こうした若年層との関係性をいかに維持していくかを重要なテーマと捉え、行政サービスのデジタル化や情報発信の強化に取り組んできました。特に近年は、LINE公式アカウントを活用した住民との接点づくりに注力。高校生世代を対象とした給付金施策をきっかけに、LINEとLINE 公的個人認証サービス(JPKI)を活用した新たな行政サービスの形を模索しています。

LINE 公的個人認証サービス(JPKI)を採用した理由を教えてください

高校生世代応援給付金の実施にあたり、美里町が重視したのは「職員の事務負担をできる限り軽減すること」と「対象者が迷わず申請できること」でした。従来の給付金事務では、銀行口座情報の確認や入力作業が大きな負担となっていました。
LINE 公的個人認証サービス(JPKI)を活用し、ATM受取方式を採用することで、口座情報の入力や確認が不要となり、職員負担を約9割削減できる見込みが立ちました。また、LINE上で本人確認と申請が完結するため、高校生世代にも分かりやすく、利用しやすい仕組みだと判断し、採用を決定しました。
導入までの経緯と運用の工夫を教えてください

給付金事務の効率化や、LINEを通じた若年層との接点づくりといった目的を丁寧に共有することで、庁内での合意形成につなげました。
運用面では、審査から給付までを管理システムで数クリック・数秒で完結できる仕組みを構築。担当職員が複雑な確認作業を行う必要がなく、限られた人員でもスムーズに対応できる体制を整えました。導入後、町長・副町長を含む庁内全体を対象に、2度にわたってプレゼンテーションを実施したことで、庁内全体に前向きな雰囲気が生まれました。今回の施策では、対象者からのLINE申請率100%を達成しています。(令和8年2月12日現在)
ご利用いただいた住民の反応を教えてください

高校生世代からは、「LINEで簡単に申請できた」「銀行口座を登録しなくてよいのが安心」といった声が聞かれました。普段使い慣れているLINEで申請が完結する点が、スムーズな利用につながったと感じています。
また、1万円の給付をきっかけにLINE公式アカウントを友だち追加してもらうことで、高校卒業後も町からの情報を継続的に届けられる環境が整いました。町に高校や大学がない中で、若年層とのつながりを保つきっかけとして、今回の取り組みは大きな意味を持っています。
職員の反応を教えてください

職員からは、「口座情報の確認が不要になり、事務負担が大幅に減った」「審査から給付までが驚くほど短時間で終わる」といった声が多く上がりました。従来の給付金事務と比べ、作業時間が劇的に短縮されたことで、他業務との両立がしやすくなっています。
一方で、町民全体を対象とした給付を行う場合、LINEを利用できない一定数の住民への対応をどうするかという課題も認識されています。窓口や郵送対応を併用する必要性は理解しつつも、どこまでLINE中心の運用に踏み切るかは今後の検討事項となっています。
今後の展望・提言

美里町では、継続的な事業の実施が検討されています。LINE公式アカウントを通じて若年層との接点を維持し、町民との関係性が途切れない仕組みづくりを進めていきたいと考えています。
一方で、事前に利用者データを把握できない場合、給付額の差分設計などが難しいという課題もあります。今後は、データ整備とLINE活用を組み合わせることで、より柔軟な施策設計を目指します。
他自治体にとっても、まずは対象が明確な施策からLINE 公的個人認証サービス(JPKI)を導入し、成功体験を積み重ねていくことが、持続的な行政DXにつながると考えています。
ありがとうございました
| 埼玉県美里町 |
| 人口:10,571人(令和8年1月1日現在) | |
| 住所:〒367-0194 埼玉県児玉郡美里町大字木部323番地1 |