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LINE 公的個人認証サービス(JPKI)

LINE 公的個人認証サービス(JPKI)を継続的に使う方法

秋田県湯沢市

2025.12.05

マイナンバーカードを利用した公的個人認証サービスは、住民票の写しの申請や印鑑登録証明書、施設予約など、多くの行政手続きで利用されています。
LINEヤフーが提供する「LINE 公的個人認証サービス(JPKI)」は、専用アプリのインストールが不要で、LINEアプリで本人確認が実行できます。

 

 

便利なLINE 公的個人認証サービス(JPKI)ですが、契約はしてみたものの、「単発の事業の利用に留まってしまう」、「庁内での利用促進がうまくいかない」という悩みをよく耳にします。
そこで、実際にLINE 公的個人認証サービス(JPKI)の活用に成功した自治体の事例を紹介し、採用までにどのような庁内調整や活動を行ったのか伺いました。
 

増田 勝治(以下、増田):「ふるさとdeまんぷく支援事業」に続き、「子育てまるっと応援給付金」でLINE 公的個人認証サービス(JPKI)をご活用いただき、ありがとうございます。
 

 

鍛冶 幸正様(以下、鍛冶):こちらこそありがとうございます。「ふるさとdeまんぷく支援事業」では、湯沢市を離れた若者を対象に、帰省時に市内の飲食店を利用すると、一人あたり最大5,000円分相当をLINE Pay残高※で還元しました。この際、LINE 公的個人認証サービス(JPKI)を利用者登録時の本人確認に活用しました。※LINE Payは令和7年4月でサービス終了しました。 
 

増田:ご利用した学生さんにかなり好評でしたよね。こちらの成功があって、「子育てまるっと応援給付金」でもLINE 公的個人認証サービス(JPKI)を活用されたと伺っていますが、どのような経緯でLINEの活用に至ったのか、経緯を教えてください。
 

 

鍛冶 :給付金を支給するにあたり支給の根拠となる子どもの情報はありましたが、申請者となるその親の情報はありませんでした。そのため、従来であれば、申請書に住所や氏名などを記載し提出してもらう必要がありましたが、これは記入する申請者にとっても一枚一枚確認する職員にとっても手間になります。
LINE JPKIを使えば、申請者は簡単に住所氏名の入力ができますし、職員側も正確な情報が把握できます。申請者と職員の利便性を考えて、LINEを使った申請の導入を決定しました。
 

 

増田:子ども未来課をはじめ、各課の悩みや課題をどのように把握されているのでしょうか。

 

鍛冶:定期的に庁内で困りごとの募集を行っています。最近ではDXリーダー研修を通じて、各課のリーダーが集まりデジタル化事例を定例で情報共有しています。 これにより庁内のデジタル意識が向上しますし、横の繋がりができて、お互い気軽に話せる環境が自然と出来上がっている気がします。
 

 

増田:庁内調整に頭を抱える自治体も多い中、定期的な情報共有の場を設けることで各課の状況を把握されているのですね。参考になります!とはいえ、従来と異なる給付方法、ATM受取は苦戦しませんでしたか?

 

鍛冶:はい、正直とても苦労しました。まず、会計処理に関しては、金額確定していない事前預け金の処理方法をどうするか、頭を抱えていました。そこで、DXリーダー研修に参加していた会計課 の担当に相談し、庁内調整してくれたことで何とか方針を確定することができました。また、スケジュールもかなりタイトでしたが、市長をはじめ各課の理解があり、スムーズに承認を得ることができました。

 

増田:DXリーダー研修で庁内全体のデジタル知見の底上げと各課の繋がりができていたことが、事業成功の要因ですね。

 

鍛冶:はい、仰る通りです。一方で、デジタル化に前向きになるケースは稀で、今の業務フローを変えることに難色を示し、LINE公式アカウントやLINE 公的個人認証サービス(JPKI)の活用に難色を示すことが多いです。今は不要でも、後々「詳しく聞きたい」と反応をいただくこともあるので、地道な庁内周知と成功事例の紹介を行っています。また、アナログ業務のデジタル化により、業務フローが大きく変わるのではないかとイメージする職員もいるので、ハードルを下げることが大切かと思います。

 

増田:デジタル化と聞くと、業務フローが大きく変わるのではないかと構えてしまう気持ち、よく分かります。

 

鍛冶:そうですよね。私たちとしては、住民も職員も便利になることを目指しているので、ハードル低く利便性を高めることを重視しています。何をデジタル化し、何をアナログで残すのか、その見極めが重要です。
例えば、「子育てまるっと応援給付金」では、オンライン申請をLINEで一貫して行えるようにし、ATM受取を採用しました。一方で、口座振り込みを希望する方には郵送申請や窓口申請を用意しています。住民目線で、デジタルが最大限便利であることを常に意識しています。

 

 

増田:DXリーダー研修を通じて、庁内のDXに関する知見を向上させ、横の繋がりを作ることで、庁内全体のデジタル意識を底上げしている点。そして、デジタルとアナログを適切に切り分けることで、住民と職員の利便性を達成している点、とても参考になりました。

 

ありがとうございました。