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潜在顧客やライトカスタマーをファンに! LINEを活用したBAKEのOMO戦略

株式会社BAKE

2025.07.25

株式会社BAKE 執行役員 ブランド戦略部 部長 馬場 諭氏

「BAKE CHEESE TART(ベイク チーズタルト)」を筆頭にスイーツの製造販売を行う株式会社BAKE(以下、BAKE)。同社はコロナ禍以降、急速に変化する市場環境に合わせて、近年、「OMO(Online Merges with Offline)戦略」や「マスターブランド戦略」を掲げ、全社的なブランドの再構築に取り組んでいます。そのマーケティング戦略の柱となっているのがLINE公式アカウントLINEミニアプリです。BAKEが目指す新たなステージとは?同社 執行役員ブランド戦略部 部長の馬場諭氏(以下、馬場氏)に話を聞きました。

目的
  • オンライン(ECサイトやネイティブアプリ)とオフライン(実店舗)の垣根をなくし、シームレスな顧客体験を提供したい
  • ライトカスタマーのファン化を促したい
  • ポイントプログラム「BAKE Membership Program(BMP)」の会員数100万人を突破したい
     
施策
  • ライトカスタマーにLINE公式アカウントの友だち追加を促し、ユーザーとコミュニケーションを図りながらファン化を推進
  • LINEミニアプリのデジタル会員証を導入し、会員登録の負担を軽減
  • 潜在顧客をターゲットに「LINE広告(友だち追加)」を活用
  • 購買データとLINEミニアプリで取得したデータを連携し、一人ひとりに最適化したコンテンツをLINE公式アカウントのメッセージ配信に利用
効果
  • 導入から半年ほどでLINE公式アカウントの友だち数ならびにID連携数(ユーザーのLINEアカウントとBMP会員情報の連携)が1.6倍以上に増加
  • 「LINE広告(友だち追加)」で新規友だちを集客し、潜在顧客の会員化に成功
  • 顧客データを用いたメッセージのセグメント配信で、メッセージの開封率やクリック率が向上
  • メッセージ配信の見せ方を工夫し、LINE公式アカウント経由のECサイトの売り上げは155%まで伸長
  • リッチメッセージで新商品の訴求を開始したところ、ECサイトの初回購入額が840%に増加

OMO推進のカギを握るユーザーのファン化

2013年に東京で創業したBAKEは、和洋のスイーツを扱う製造小売企業です。同社は、これまで「1ブランド=1プロダクト」や「工房一体型店舗」にこだわり、主力ブランドの「BAKE CHEESE TART」をはじめ、バターサンド専門店の「PRESS BUTTER SAND(プレスバターサンド)、焼きたてカスタードアップルパイ専門店の「RINGO(リンゴ)」など、複数ブランドを多店舗展開し、順調な成長を続けてきました。

バターサンド専門店の「PRESS BUTTER SAND(プレスバターサンド)」
焼きたてカスタードアップルパイ専門店の「RINGO(リンゴ)」

しかし、コロナ禍で状況が一変。外出自粛の影響により来店客が激減し、帰省や会食といった手土産需要も消滅したため、売り上げが大きく落ち込みました。そこで同社は2020年6月にオンラインショップ「BAKE the ONLINE」を立ち上げ、「OMO(Online Merges with Offline)戦略」を打ち立てます。オンライン(ECサイトやネイティブアプリ)とオフライン(実店舗)の垣根をなくし、シームレスな顧客体験を提供する。その目標に向けて各ブランドの会員情報の統合や、店舗でもECサイトでも使えるポイントプログラム「BAKE Membership Program(BMP)」の導入などを進め、ユーザーとの接点を広げています。

 

さらに、ユーザーの嗜好が多様化し、購買行動も複雑になる中で、これまで掲げていた「1ブランド=1プロダクト」の方針を転換。ブランド間の連携や体験価値を高めるため、「BAKE INC.」をマスターブランドとして定義し、認知強化を進める「マスターブランド戦略」にシフトしました。例えば「BAKE CHEESE TART」は、2025年4月から従来の「焼きたてチーズタルト」にとどまらず、「スフレケーキ」や「フロマージュタルト」など幅広いプロダクトを展開しています。

新戦略に伴う「BAKE CHEESE TART」のリブランディング

こうした改革期にあるBAKEは、マーケティング戦略のKPIに「BMPの会員数100万人突破」を掲げました。馬場氏は「このKPI達成にはLINEミニアプリやLINE公式アカウントの活用が欠かせない」と力説します。

株式会社BAKE 執行役員 ブランド戦略部 部長 馬場 諭氏

「OMO推進のカギになるのは、ユーザーのファン化です。当社では“ネイティブアプリをダウンロードしているロイヤルカスタマー”をコアなファンと位置付けており、潜在顧客からダウンロードに至るまでの通過ポイントとして“BMPの会員化”を設計しています。その会員化に大きく寄与してくれるのがLINEミニアプリやLINE公式アカウントなどLINEの各種法人向けサービスです」

BAKEでは、ライトカスタマーにLINE公式アカウントの友だち追加を促し、ユーザーとコミュニケーションを図りながらBMP会員化、さらにはネイティブアプリのダウンロード誘導と、段階的に関係性を深化させていく施策を実施しています。その一環として、2024年11月にLINEミニアプリのデジタル会員証を導入。LINEミニアプリは初回利用時にLINE公式アカウントの友だち追加を自然に促せるため、友だち数も大幅に増加しました。

 

「従来、BMPの会員登録にはネイティブアプリのダウンロードが必須だったのですが、駅ナカに構える店舗は特に購入から退店まで数分しかないという状況の中、店頭で新たなアプリをダウンロードしてもらうのはなかなかハードルが高く……会員登録の足かせになっていました。しかし、LINEミニアプリであれば、LINEを利用しているユーザーは新たなアプリのダウンロードが必要ありません。また、日常的に使っているLINE上で利用できるため簡単に登録でき、ライト層のお客さまも気軽に会員登録してくれます。実際、導入から半年ほどでLINE公式アカウントの友だち数も、ID連携数(ユーザーのLINEアカウントとBMP会員情報の連携 ※)も1.6倍以上に増加しました。LINE上で手軽に会員証を発行でき、ネイティブアプリとの共存ができることもLINEミニアプリの強みだと思います」

 

※ ID連携はユーザーによる同意が必要です

最適なメッセージ配信とクリエイティブの工夫で購入を促進

BAKEはLINEミニアプリやLINE公式アカウントの活用以外にも、LINEアプリ上で広告を配信し、LINE公式アカウントの友だちを集める機能「LINE広告(友だち追加)」を活用。広告経由で友だち追加したユーザーにBMPの会員登録を促し、新規会員の獲得に成功しています。会員登録を促すポイントになるのは、LINE公式アカウントのトークルーム下部に表示される「リッチメニュー」の活用です。

 

LINE広告を含め、新規で友だち追加したユーザーのリッチメニューには、最初、鍵がかかったイラストが描かれており、『100円相当のポイントGetはこちらから!』と表示しています。タップするとLINEミニアプリに遷移します。LINEミニアプリ上でLINEアカウントとのID連携を行い、BMP会員になると、ポイントが手に入るという仕組みです。鍵を解除した後は、『会員証表示』や『オンラインショップ』など会員向けのメニューボタンが自動的に表示されます。こうした工夫をすることで、潜在顧客の会員化を効果的に促せます」

同社では購買データとLINEミニアプリで取得したデータを連携し、一人ひとりに最適化したコンテンツをLINE公式アカウントのメッセージ配信に利用しています(※)。

 

※ LINEアカウントと紐づいた行動データの取得・活用にはユーザーの許諾が必須となります。

 

「季節限定クーポンの配布や新商品のお知らせなどは、友だち全員に対して一斉配信をしています。一方で、ECサイトのカートに商品が残ったままの方へのリマインドや購入履歴に応じた商品提案、利用店舗への再来店訴求など、パーソナライズした内容のセグメント配信も行っています。例えば、『店舗でもECサイトでも購入経験のあるユーザー』に限定して誕生日クーポンを配布したところ、クリック率は21.6%を記録しました。また、『ECサイト購入履歴のある東京在住者』に対して新商品情報を配信したところ、開封率52%と高い数字が出ています(2025年5月実績)」

そして「効果的なメッセージ配信には、クリエイティブも重要」と馬場氏は続けます。

 

「以前はテキスト主体のメッセージ配信を行っていたのですが、写真と情報を一体化したクリエイティブに変更したところ、クリック率が上がり、LINE公式アカウント経由のECサイト売り上げは155%まで伸長しました(2024年4月時点)。またリッチメッセージで新商品の訴求を開始したところ、ECサイトの初回購入額が840%に増加したという結果が出ています(2024年11月時点)。やはり、ファーストビューでインパクトを与えることが大切です」

未出店エリアのユーザーともLINEで継続的な関係を構築

2025年6月時点で8ブランドを展開するBAKEでは、“親和性の高いブランドの組み合わせ”や“相性の良い商品による掛け合わせ”など、蓄積されるデータを活用してさまざまなセグメント配信をテストしています。その一方でECサイトでの購入者に向けて、店舗への送客を促すようなクーポン配信も実施。「全社的にOMOを推進している中で、単に売り上げを伸ばすだけでなく、“店舗とECサイトのそれぞれの提供価値”を大切にしながら施策を実行していきたい」と馬場氏は話します。

 

「店舗での購入体験をECサイトでも実現するためには、店舗スタッフの声かけが重要です。当社では全社的にOMOを推進するため、LINE公式アカウントの友だち追加数およびLINEミニアプリの会員証発行数を店舗ごとに競うコンテストを3カ月に1回開催しています。本部と店舗の意思疎通がなされ、全社一丸となってOMO推進に取り組めていることがいい成果につながっている要因だと思います」

 

また、同社では全国各地のデパートなど、期間限定の催事出店も多く、「その際にLINEミニアプリやLINE公式アカウントはとても重要な役割を果たしている」と馬場氏は語ります。

 

「未出店エリアに催事出店した時でも、LINEミニアプリのデジタル会員証発行やLINE公式アカウントの友だち追加を通じて、ECチャネルを軸とした継続的な関係づくりができます。イベント出店を新規会員集客の場、また新たな販売チャネルとして活用できているのもLINEがあればこそです」

 

最後に、LINEミニアプリやLINE公式アカウント活用における今後の展望について伺いました。

 

「今後は『ビジネスマネージャー』や『ステップ配信』なども活用しながら、潜在顧客の囲い込みからナーチャリングをさらに強化し、ファン化を加速させていきたいと思います。店舗とECサイトを使い分けながら複数ブランドを回遊して、BAKEというブランドそのものを好きになってもらう。『OMO戦略』『マスターブランド戦略』の柱としてLINEミニアプリとLINE公式アカウントを今後も活用していきます」

(公開:2025年7月、取材・文/相澤良晃、写真/慎芝賢)

 

※ 本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※ 本記事内の実績は取材先調べによる数値です

企業名 株式会社BAKE
所在地
東京都港区
事業内容
菓子の製造・販売、ECサイト運営、Webメディア運営
サービス BAKE CHEESE TART ほか