• ホーム
  • 事例
  • 自宅需要の売上3倍|ギフト依存から脱却した花屋のLINEミニアプリ活用
LINEミニアプリ LINE公式アカウント

自宅需要の売上3倍|ギフト依存から脱却した花屋のLINEミニアプリ活用

株式会社ヌボー生花店

2025.07.01

株式会社ヌボー生花店 代表取締役 山崎年起氏

長野県で3店舗を展開する株式会社ヌボー生花店(以下、ヌボー生花店)。2023年からLINEミニアプリLINE公式アカウントの本格運用を開始し、“顧客の常連化”で大きな成功を収めています。その具体的な手法と成果について、同社代表取締役の山崎年起氏に話を聞きました。

目的
  • ギフト依存から脱却し、自宅需要を増やして売り上げを伸ばしたい
  • 既存顧客との接点を強化し、常連化を促進したい
  • 顧客の購入データや情報を活用して、適切なタイミングで最適な情報を届けたい
施策
  • 紙の会員証を廃止しEDWARDのLINEミニアプリによるデジタル会員証導入
  • 来店回数に応じたランクアップ制度を設定し、顧客ロイヤルティーを可視化
  • 来店頻度に応じてLINE公式アカウントからクーポン配布
  • 入荷状況に応じてタイムリーにLINE公式アカウントで情報配信
効果
  • 自宅用の売り上げが2019年比で3倍、売り上げ構成比は5割から7割に
  • 常連の会員数が3.2倍に、常連会員による売り上げが3.5倍に
  • 常連15%、休眠顧客3%のクーポン利用率で再来店につながる
  • LINE公式アカウントのメッセージ配信週は来店者数が15%増
  • 購入履歴や来店頻度に応じた接客が可能になり、スタッフの意欲向上につながる

「ギフト需要」依存からの脱却をめざしLINEミニアプリを導入

長野県長野市に本社を置くヌボー生花店は、1974年の創業以来、地域密着型の“まちの花屋”として多くの市民に愛されてきました。2025年6月現在、市内に3店舗を構え、全国各地の生産者から仕入れた四季折々の草花を販売しています。

 

同社は2023年に「EDWARD(エドワード)」(北海道デジタル・アンド・コンサルティング株式会社提供)のLINEミニアプリをパッケージで導入し、同時にLINE公式アカウントの本格運用を開始しました。

 

EDWARDの最大の特長は、クラウドPOSレジ「スマレジ」(株式会社スマレジ提供)と連携し、購入情報に基づいた会員管理ができること。また、LINE IDと結びつけて(*)LINEでデジタル会員証として利用できるようになる点です。導入の背景について、山崎氏は次のように語ります。
 

  • ユーザーの同意を得た上でデータを活用しています

株式会社ヌボー生花店 代表取締役の山崎年起氏

「生花店の多くは、売り上げの大部分をギフト需要に依存しています。当社もその例外ではなく、売り上げを伸ばすには、いかに自宅需要を伸ばしていくかが長年の課題でした。一方で以前からスマレジを利用していたものの、蓄積された購入データを十分に活用できていないという、もどかしさもありました。こうした課題から、スマレジと連携可能なEDWARDのLINEミニアプリを導入し、LINE公式アカウントから顧客ごとに最適なメッセージを配信。自宅用生花の購入を促す、データドリブンな発信が可能になりました」

ヌボー生花店のマーケティング戦略
「嗜好品」である花を日常に根付く存在にして、自宅需要を広げる目的でLINEミニアプリを導入

当初、山崎氏は自社アプリの開発も検討したそうですが、「やはり相応の開発費がかかるうえに、インストールという手間をユーザーにかけることを考えると、LINEミニアプリのほうがベターという結論に至った」と明かします。

 

導入後は紙の会員証を廃止して、LINEミニアプリのデジタル会員証に一本化。6カ月間の来店回数に応じたランクアップ制度を導入することで、顧客ロイヤルティーの向上とリピート利用の増加を促進しています。
 

「生花は嗜好品ですから、万人に購入いただけるものではありません。いわば“推し活”のような面があり、本当に花が好きな方だけが熱心に買ってくれるというものです。もともと顧客ターゲットが限定的なので、既存客との接点を維持し、常連化することがより重要になります。そのためのツールとして、LINEミニアプリとLINE公式アカウントは非常に有用だと感じています」
 

「個人情報×購入データ」で効果的なセグメント配信が可能に

では、ヌボー生花店ではどのようにLINEミニアプリとLINE公式アカウントを運用しているのでしょうか。

 

「まず新規のお客さまには、店頭に設置したQRコードを読み込んでいただき、LINE公式アカウントの友だち追加とLINEミニアプリ上での仮会員登録をしてもらいます。その後、ユーザーの任意のタイミングで個人情報を入力していただければ本会員登録が完了。以後、アンケート結果や購入データに基づく適切なメッセージ配信が可能になり、再来店(=常連化)を効果的に促せるという仕組みです」
 

LINE IDの連携で、スムーズに登録・ファン化

本会員登録後は、会計時にデジタル会員証を提示してもらうことで、商品カテゴリーや購入金額などのデータがスマレジに自動で蓄積され、LINEミニアプリとデータが連携されます。ヌボー生花店では、施策を行う上で重要な情報である「ギフト用/自宅用」の情報をスタッフが手動で打ち込んで、購買データを紐付けしています。

 

取得した購入データを活用して、後日、LINE公式アカウントから顧客に合ったメッセージを配信。例えば、「自宅用購入者」に対しては、商品情報に加えて、「花のストーリー」や「自宅での飾り方」、「産地インタビュー」など、読み応えのあるコンテンツを配信。一方、ギフト用購入者には、「お得なクーポン」や「仕入れ情報」、「記念日のリマインド」など、実用的な情報を配信しています。

 

「来店頻度に応じてクーポンの配布も行っており、常連客にはリピーター維持のために高割引率の『20%offクーポン』を配布。一方、来店間隔が空いている休眠顧客には、気軽に使える『500円offクーポン』を配布しています。常連客の利用率は15%、休眠顧客の利用率は約3%です。3%と聞くと、一見、少ないと思われるかもしれませんが、何もしなければ失っていた顧客ですから、非常に意義のある数字だと感じています。この3%を常連化できれば、さらに売り上げへの貢献が大きくなります」
 

来店データを活用したクーポン配信
※2024年12月時点 株式会社ヌボー生花店調べ

同社ではLINE公式アカウントのメッセージ配信を、曜日や時間帯を決めずに不定期で実施。その理由について山崎氏は次のように説明します。

 

「やはり生花は農産物ですから、天候や気象、生育状況などによって日々、仕入れが変わります。ですから、詳細な配信計画は立てずに、なるべくそのときの入荷状況に合わせてリアルタイムにメッセージを配信することを心掛けています。最近では、母の日が終わった直後の閑散期に、人気の枝物のドウダンツツジを200本ほど割安で入荷できました。この情報を自宅用購入層に向けてセグメント配信したところ、1週間で大半が売り切れました。こうした即時性もLINE公式アカウントの大きな強みで、お客さまにしてみれば“私にぴったりの情報がタイムリーに届く”となり、顧客エンゲージメントの向上にもつながっています。実際、メッセージ配信を行った週は、15%ほど来店数が増加しています」
 

常連会員による売り上げが3倍以上に!

LINEミニアプリとLINE公式アカウントの本格運用から約2年。ヌボー生花店の会員数や売り上げにはどうつながっているのでしょうか。

 

「まず2023年の導入開始から2カ月で、600名が紙の会員証からLINEミニアプリのデジタル会員証へと移行しました。2025年3月時点、約4200名のアクティブ会員がいます。会員管理のデジタル化により、戦略的な情報配信と分析が可能になっただけでなく、常連実績の見える化により接客の質が向上し、スタッフの現場判断のサポートにも役立っています」

 

そして特筆すべき成果は、常連の会員数と売り上げの大幅増加です。コロナ禍前の2019年と比較して、2024年は「6カ月に6回以上来店する常連会員」が3.2倍に増加。特に、最上位ランクである「6カ月に12回以上来店する会員」による売り上げは3.5倍と、飛躍的に伸びています。
 

常連の会員数と売り上げ推移

「さらに当初の狙いだった“自宅需要の増加”も実現できました。自宅用の売り上げは2019年から3倍に増加。それにともない、5割ずつだった自宅用とギフト用の売上構成比も、いまや自宅用が7割を占めるまで拡大しています。ギフト需要に依存していると、どうしても“待ちの姿勢”が染みついてしまうのですが、今回、LINEミニアプリとLINE公式アカウントを活用してしっかり成果を出すことができたので、『工夫次第でさらに売り上げアップを実現できるのではないか』と、店舗スタッフのモチベーションも上がっています」

自宅需要の来店数と売り上げ推移
※ヌボー生花店調べ 2019年~2025年実績

商圏や顧客ターゲットが限られる中、LINEミニアプリとLINE公式アカウントで顧客との信頼関係を構築し、“常連化”に成功したヌボー生花店。最後に今後の展望について伺いました。

 

「さらにユーザーにお花への愛着を持ってもらうために、生産者を取材した動画配信を予定しています。また、主に低ランクの会員を対象に産地訪問ツアーなどのイベントを行うなどして、当社のファンをどんどん増やしていきたいですね。お花を生活の一部にしてもらい、産地の多様性と文化継承を守るためにもLINEミニアプリとLINE公式アカウントを活用していきます」
 

(公開:2025年7月、取材・文/相澤良晃、写真/慎芝賢)

  • 本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

  • 本記事内の実績は取材先調べによる数値です

企業名 株式会社ヌボー生花店
所在地
長野県長野市
事業内容
生花ギフト事業、空間装飾事業、ウエディング装飾事業、葬祭装飾事業、グリーンレンタル事業、カフェ事業
サービス オンラインショップ