保険相談窓口「保険見直し本舗」を全国で展開している株式会社保険見直し本舗(以下、保険見直し本舗)は2025年3月末から、情報発信や無料相談の予約をしたユーザーとのコミュニケーションのために、LINE公式アカウントやLINE通知メッセージを活用しています。その結果、予約からの面談実施率が5ポイント増加。またLINE公式アカウントの友だちから面談予約に至るユーザーも、月に約100件増えています。
同社の取り組みについて、代表取締役社長の遠山拓馬氏(以下、遠山氏)、マーケティング本部アライアンス部 部長 前田雅貴氏(以下、前田氏)、株式会社保険見直し本舗グループ 事業企画本部 法人アライアンス企画推進部 兼 社長室 部長 夏目拓也氏(以下、夏目氏)に、話を聞きました。
- 競合他社との差別化を図りたい
- 保険無料相談の面談を予約したユーザーのうち、来店に至らない2~3割の機会損失を減らしたい
- 予約後のユーザーに、日時の確認連絡をスムーズに行い、安心感を届けたい
- LINE通知メッセージを利用し、予約したユーザーに予約日時のリマインドや面談後の問い合わせ先の通知を配信
- LINE公式アカウントを活用し、ユーザーからの予約日時の変更などの問い合わせにLINEチャットで対応
- LINE公式アカウントから面談予約をしていないユーザーに対し、継続的に情報を発信
- LINE通知メッセージの導入で予約からの面談実施率が、5ポイント増加
- LINEで気軽に問い合わせをするユーザーが増加し、保険無料相談の面談予約に至るユーザーが月約100件増
コミュニケーションの行き違いによる、機会損失が課題
保険見直し本舗は、全国360店舗(2025年11月時点、フランチャイズ店舗を含む)で保険相談窓口を運営し、ユーザーの保険に関する相談を受けています。来店するユーザーのライフプランに合わせて、保険のプロである「コンサルティングアドバイザー」が、40社以上の保険商品から最適な組み合わせを提案。相談は何度でも無料で利用できます。
「当社の店舗の多くはショッピングモールなどに出店しており、買い物のついでや仕事帰りなどに気軽に立ち寄れる場として、30代から60代までを中心とした幅広い年齢層のお客さまにご利用いただいています。ご新規の相談者数は毎月1万人以上、契約実績は120万件(同社調べ)を突破しました」(遠山氏)
保険見直し本舗の無料相談サービスを希望するユーザーは、店舗に直接足を運ぶか、または同社Webサイトの予約システムを使って面談日時を予約します。ユーザーは予約時に自分の電話番号を登録するため、これまで面談前の予約確認は店舗スタッフが事前に電話をかけるか、SMS(ショートメッセージサービス)で連絡をしていました。
「ここに2つの課題がありました。一つは、スタッフによるお客さまへの予約確認は方針としてあるものの、どのくらい実施できているかが可視化しづらかったこと。もう一つは、知らない番号からの電話に出ない方や、SMSも普段ほとんど使わないという方が多いことが想定され、当社から連絡をしてもつながらないケースが見受けられていたことです」(遠山氏)
こうした面談までのコミュニケーションの“行き違い”から、予約したユーザーが来店せず、サービスの提供に至らないことがあるのではないか――と遠山氏は感じていました。
「実は、せっかく予約をしてくださったお客さまの約2〜3割は面談にお見えにならず、『機会損失』が発生していました。この2~3割には、単純に都合が合わなくなりキャンセルされたお客さまも含みますが、来店いただけなかったお客さまの半数ほどは、コミュニケーションの行き違いが理由ではないかと考えていました」(遠山氏)
「LINE通知メッセージ」を用いて予約のリマインドを配信
保険見直し本舗では新たな予約リマインドのツールとして「LINE通知メッセージ」、予約や面談後のフォローを行うツールとして、企業がLINE上で直接ユーザーにメッセージを配信できるサービス「LINE公式アカウント」を2025年3月から導入しています。
「LINE通知メッセージ」は、電話番号を用いて重要性や必要性の高いメッセージをユーザーに通知するサービスです。企業が保有する電話番号とLINEに登録されているユーザーの電話番号とをマッチングすることで、友だち追加されていないユーザーにもメッセージとして通知を配信することができます(※)。
広告を除く、ユーザーにとって重要性や必要性の高いメッセージに限定して、利用することが可能です
「LINEは日本国内で9900万人(2025年6月末時点)が利用し、若い方からご年配の方まで幅広く普及しています。多くの方のスマートフォンに入っていて、日常的に利用されているLINE上で予約確認の通知を届けることで、お客さまの『本当に予約できているのか?』『予約日時はいつだったか?』といった不安を軽減し、顧客満足度の向上につながると考えました。
また、急用ができて予約日時に来られなくなってしまった場合、これまでは電話でしか変更を受けていなかったため、電話をかけるハードルの高さから無断キャンセルされるお客さまも一定数いらっしゃいました。LINEで気軽に日時変更の連絡ができれば、お客さまの利便性が高まるだけでなく、当社にとっても安心感があります。双方にメリットがあると思いました」(遠山氏)
LINE通知メッセージでは主に面談前の予約リマインドのほか、面談後の問い合わせ窓口の案内を配信しています。
「面談の予約のお申し込みが完了したときと予約日の3日前に、『〇〇店で〇時に予約をいただきました。当日お会いできるのを楽しみにしております』といった予約確認のメッセージをお送りしています。また、予約前日にも『ご予定はお変わりありませんか』というような形で通知を届けています」(前田氏)
LINE公式アカウントの情報発信で、「見込み客」や「潜在顧客」にもアプローチ
保険見直し本舗ではLINE通知メッセージやLINE公式アカウントの利用に際し、株式会社Micoが提供するLINEマーケティングツール「Mico Engage AI」と、LINE 1to1 ビジネスチャット「BizClo」を導入しています。
「LINE通知メッセージやLINE公式アカウントの運用に携わるメンバーには、システム部門の者がいません。しかし、システム導入、コンサルティング、運用、リリース後のサポートまでMicoさんに尽力いただき、スピーディーにLINE通知メッセージやLINE公式アカウントを導入することができました。当社のやりたいことをお伝えして何ができるかご提案いただく。そうしたやりとりを、導入から現在に至るまで頻繁に行っています。『Micoさんと一緒にこの仕組みを作っている』という感覚です」(夏目氏)
同社では「Mico Engage AI」の機能を活用し、LINE公式アカウントの友だちになっているものの、面談を実施していない見込み客のユーザーに向け、さまざまなメッセージを配信しています。
「お客さまに合った保険のタイプはどんなものか判定する診断ツールのほか、保険を見直すポイントをまとめたカードタイプメッセージなどを配信しています。保険見直し本舗に興味を持っていただいた方に、その熱量を下げないような仕組みをLINE公式アカウント上で構築しようとしています」(前田氏)
見込み客の引き上げを目的とした配信のほかにも、潜在顧客への訴求として、2025年から新たな事業として取り組んでいる「家計の見直し」に関する情報も送っています。
「保険の見直しについては、すでにある程度世間に認知されていますが、家計の見直し相談ができることはまだ認知が広がり始めた状況です。幅広い年齢層のお客さまとつながっているLINE公式アカウントを活用することで、効率よく情報発信をしたいと思っています。家計見直しを利用しているお客さまから保険見直し、保険見直しを利用しているお客さまから家計見直しへと、双方に誘導できることが理想ですね」(夏目氏)
新規相談件数月100件、保険無料相談の面談実施率5ポイントアップを実現
保険見直し本舗のLINE公式アカウントの友だち数は、開設から1年せずに約2万人に達しました(2025年11月時点)。そのうち、友だちになったユーザーが新たに保険無料相談を予約する件数は、月100件ほどに上ります。
「Webサイトを見たけれども予約に至らなかった方々の背中を押すという観点で、LINE公式アカウントは有効に機能しています。さらにLINE通知メッセージで予約日時のリマインドを送るようになってから、保険無料相談の面談実施率が5ポイントほど向上しました(2025年11月時点)。これは当社の収益のインパクトとして、非常に大きな数字です。実施率が上がることで、営業活動の質が高まり、社内にポジティブな流れが広まっています」(遠山氏)
実施率向上を実現した背景の一つに、ユーザーからLINE公式アカウントに寄せられる問い合わせや予約変更に対応する専門のチャットスタッフの存在がありました。
「お客さまにとってもLINEは普段から使い慣れているアプリなので、チャットでお気軽にお問い合わせをされる方は日々増えてきています。当社からの返信に対するお客さまからの確認もとても早く、当社としてもしっかり情報が届いていると実感できてありがたく思っています。やりとりはコミュニケーションアプリであるLINEの特性を生かして堅苦しくなり過ぎず、親しみやすさを抱いていただけるように心掛けています」(前田氏)
LINEはサービスが選ばれる理由になり得る
LINE公式アカウントの活用に際して、夏目氏は以前、同社のイベント会場で印象的な出来事があったと振り返ります。
保険見直し本舗のLINE公式アカウントを友だち追加すると参加できるイベントを開催したところ、登録方法の説明をする前から、多くの人がカメラアプリを起動してQRコードを読み込む準備をしてくれたのです。
「LINE公式アカウントはこんなに世間に浸透しているんだなと実感しました。また、友だち追加はハードルが低く、すんなりと受け入れられることが分かりました。この浸透率とハードルの低さがやはりLINEの価値だなと感じています」(夏目氏)
前田氏は、競合他社の中から保険見直し本舗が選ばれる理由として、LINE公式アカウントが寄与しているのではないかと語ります。
「保険の見直しサービスを提供する企業は当社以外にもあり、多くの方が『その企業の店舗が自分の行動範囲の近くにあるか』という相談のしやすさを基準に選んでいるように思います。しかし『LINEでのコミュニケーションが取れるのは便利だから、少し遠くても保険見直し本舗にしよう』と、当社を選んでいただく可能性もあると思っています。そうした方が、少しでも増えればうれしいです」(前田氏)
前田氏の発言を受け、夏目氏と遠山氏も今後の展望を語ります。
「保険見直し本舗でのLINE公式アカウントの活用が軌道に乗ったため、グループ全体でLINE公式アカウントをどう活用していくかを検討しています。Micoさんとも引き続き連携し、保険見直し本舗の成功事例を、グループ全体に波及させていけるよう模索していきたいですね」(夏目氏)
「我々の中長期的な企業理念として、『ライフサポートプラットフォーマー』という言葉を用いています。保険の相談をすることは、人生の相談をすることと同義なので、保険以外のソリューションも正しくご提案してお客さまの人生を豊かにしたい。そう思い、家計の見直しや介護・健康などの事業にも取り組んでいます。お客さまにこれらのサービスを知ってもらい、利用いただくためのきっかけとして、LINEというプラットフォームを、中長期的にもどんどん活用していきたいです」(遠山氏)
(公開:2025年12月、取材・文/小泉明奈、POWER NEWS編集部、写真/山﨑美蔓)
本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
本記事内の実績は取材先調べによる数値です
| 企業名 | 株式会社保険見直し本舗 |
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| 所在地 | 東京都新宿区
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| 事業内容 | 保険代理店事業(保険代理店「保険見直し本舗」のショップ運営)、銀行代理事業、介護・健康関連事業等
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| サービス | 保険見直し本舗 |