• ホーム
  • 事例
  • 一人ひとりに最適な情報を。「ドコモ経済圏」を支えるdポイントクラブのLINE活用戦略
LINE公式アカウント

一人ひとりに最適な情報を。「ドコモ経済圏」を支えるdポイントクラブのLINE活用戦略

株式会社NTTドコモ

2026.01.28

株式会社NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー マーケティング推進部 コンシューママーケティング推進室 室長 橋田直樹氏
株式会社NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー マーケティングメディア部 メディア推進室 メディアサービス dポイントクラブ担当 主査 須藤志保氏

株式会社NTTドコモ(以下、NTTドコモ)が提供する「dポイントクラブ」は、会員数が1億人を超え、日本有数の一大経済圏を形成しているポイントプログラムです。NTTドコモでは会員のLTV(顧客生涯価値)の向上を目指すためにLINE公式アカウントを活用し、dアカウントとLINEアカウントのID連携を推進してきました。その取り組みや軸となるデータの活用戦略、得られた成果について同社の橋田直樹氏(以下、橋田氏)、須藤志保氏(以下、須藤氏)に話を聞きました。

目的
  • dポイントクラブの認知拡大、会員数増、ドコモ経済圏内のサービス・決済等の利用促進をさらに図りたい
  • dアカウントとLINEアカウントのID連携によって会員データを活用したOne to One コミュニケーションを実現し、LTV向上を目指したい
施策
  • LINEプロモーション絵文字やLINEプロモーションスタンプ、LINEで応募を活用して定期的に友だち数の増加施策を実施
  • ID連携数を増やすために、ポイントくじやダイレクトミッションスタンプなど、インセンティブを活用した施策を展開
  • ID連携ユーザーにはNTTドコモが保有するデータを掛け合わせ、それぞれのユーザーに最適な情報を発信
効果
  • LINEプロモーション絵文字を活用し、10~20代の友だちが129%増
  • ID連携数は2020~2024年の4年間で45倍に増加
  • データを掛け合わせた配信を行う中で、回線契約者の獲得訴求を行った配信において獲得単価がWeb広告経由より60%も低い結果を記録
  • ユーザーに最適な情報を届けることで、LINE公式アカウントでID連携者のブロック率は約1/5に

dポイントクラブはドコモ経済圏への「入口」、LINE公式アカウントでさらなる認知拡大と利用促進

NTTドコモでは、『つなごう。驚きを。幸せを。』というブランドスローガンのもと、モバイルなどの通信サービスだけでなく、キャッシュレス決済のd払いやクレジットカードのdカードといった金融決済サービス、動画配信のLemino、ドコモでんき、ドコモガスなどのコンテンツライフスタイルサービスなど、多岐にわたる事業を展開しています。

NTTドコモが提供する会員制のポイントプログラム「dポイントクラブ」は、同社の回線ユーザーでなくても、誰でも無料で入会が可能。会員数は2024年に1億人を超え、「ドコモ経済圏」と呼ぶべき日本有数の一大経済圏を形成しています。dポイントは、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、飲食店などのdポイント加盟店のほか、インターネットショッピング、同社の各種サービスなどでためたり、利用したりすることが可能です。

 

dポイントは2015年12月のサービス開始以降、累計利用数が3040億ポイント、決済利用可能箇所数は641万箇所に上っています。

 

「dポイントは、ドコモ経済圏に新規顧客を呼ぶ入口となっています。そのため、当社の事業別の主要指標として設定している『LTV』の上昇を、dポイントクラブのミッションとしています。LTV上昇のためのKPIの一例としては、当社のWebサイトやアプリなどのオウンドメディアにおけるメディアアクティブ率、通信サービスの回線解約率、そしてコンシューマ向けサービス事業における利益金額などがあげられます」(橋田氏)

株式会社NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー マーケティング推進部 コンシューママーケティング推進室 室長 橋田直樹氏

2020年7月からは、dポイントクラブのさらなる認知拡大と会員数の増加、dポイントの利用促進を図るため、dポイントクラブのLINE公式アカウントの運用を開始しました。2025年10月にはLINE公式アカウントの友だち数が2800万人を突破。日々のメッセージでは便利でお得なキャンペーン情報や、さまざまなサービスの紹介をしています。

dアカウントとLINEアカウントのID連携で、LTV向上を図る

LINE公式アカウントを導入した当初、NTTドコモはオウンドメディアではリーチできないユーザー、特に若年層へのリーチを強化することを目的としていました。そのため、当時はLINE公式アカウントの運用目標もリーチメディアとしての指標を追っていたそうです。

 

「運用当初はLINE公式アカウントの友だち数、ブロック率が抑えられているか把握するためのターゲットリーチ数、配信したメッセージに対するCTR(クリック率)の3点を追っていました。しかし運用をしていくうちに、当社が提供するサービスの共通IDである『dアカウント』の会員データと、ユーザーのLINEアカウントのID連携(※)をすることで、LINEで出会ったユーザーに関してもドコモ経済圏内での行動を可視化し、dポイントクラブが目指す『LTVの向上』を見ていこうと方針転換をしました」(橋田氏)

  • ユーザーの同意・許諾が必要です

そこで同社は、LINE公式アカウントを通じたドコモ経済圏におけるLTV向上のための3つの注力施策として、「友だち数の増加」「ID連携の促進」「1to1(One to One)コミュニケーション」を設定。取り組みを開始しました。

「LINE公式アカウントを通じてLTVを上げるには、まずは情報を届けるために一定数の友だちが必要だと思い、友だち数とID連携数の増加を目指しました。そして、それぞれの友だちに合ったメッセージを送るなどのOne to One コミュニケーションを行うことで、顧客満足度も高まっていき、結果的にLTVの向上に寄与すると考えました。実際にLTVの向上がデータでも明らかになってからは、『さらに友だち数を増やそう』『ID連携数を増やそう』と取り組みを強化することで、好循環のサイクルが回っていきました」(橋田氏)

ドコモらしい「LINEプロモーション絵文字」の配布で、10~20代の友だちが129%増加

まず友だち数増加のための具体的な施策として、NTTドコモでは「LINEプロモーションスタンプ」の配布や「LINEで応募」を活用した販促キャンペーンの実施など、LINEユーザーとのさまざまなタッチポイントに友だち追加のための導線を設置しました。

 

「スタンプが欲しい方、キャンペーンを通じてポイントが欲しい方など、それぞれの興味関心に合わせた導線をつくることで、一人でも多くのLINEユーザーにdポイントクラブと出会ってほしいと考えました。実際に分析してみると、LINEプロモーションスタンプ経由で友だちになった方と、dポイントをフックに友だちになった方とでは、年齢などの属性やdポイントとの関与度も異なっていることが分かりました。引き続き多様な施策を通じて、幅広くいろいろな方々とつながっていきたいです」(須藤氏)

株式会社NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー マーケティングメディア部 メディア推進室 メディアサービス dポイントクラブ担当 主査 須藤志保氏

継続的に友だち集めの施策を実施する中で、新たに活用した「LINEプロモーション絵文字」がユーザーに好評だったといいます。

 

「日本で絵文字を最初に始めたのは当社なので、LINEプロモーション絵文字の正式提供が2025年4月からスタートすると知ったときには、社内ですぐに『やりたいね』と盛り上がりました。配布を開始したのはLINEのトーク内のリアクションで全絵文字が使用できる新機能がリリースされた2025年5月です。絵文字のデザインは、ガラケー時代のドット調で、ドコモらしい『エモさ』を出しつつ、今っぽさも融合させたものにしました。LINEの新しい機能をユーザーがワクワクしながら使うタイミングで、我々も絵文字をリリースすることができたのは、非常に良かったと思っています」(須藤氏)

 

NTTドコモが配布したLINEプロモーション絵文字の合計送信数は、2025年10月時点で1億回を突破。リアクション利用数も580万回と、拡散性も高いものとなりました。また同年に実施したLINEプロモーションスタンプ施策と比較して、LINEプロモーション絵文字経由でID連携を行った10~20代の割合が129%に伸長しました。

「若年層は新しい施策に敏感のため、絵文字を契機に多くの若年層ユーザーとの接点を得ることができました。また、SNSの投稿などでも『このdポイントクラブの絵文字かわいい』といった、ユーザーの好意的な声を多く見かけました。LINEを活用した施策は、ユーザーに楽しんでいただけることがとても素敵だと思います」(須藤氏)

ID連携によって、ユーザーに合わせたOne to One コミュニケーションが可能に

さまざまな施策で集めた友だちにID連携を促すための取り組みとして、NTTドコモではID未連携者のみを対象とした独自の「ポイントくじ」、ID連携というミッション条件を達成するとスタンプがダウンロードできる「ダイレクトミッションスタンプ」などを、定期的に実施してきました。

 

「その結果、おかげさまでID連携者数も右肩上がりに伸長しています。2020年と比べ、2024年はID連携者数が45倍にもなりました。友だち数の増加施策と同様に、多様なインセンティブも用いた施策を行うことで、さまざまな属性の方にID連携していただいています」(須藤氏)

ID連携を行ったユーザーに対しては、ユーザーごとのOne to One コミュニケーションを実現しています。例えば、同社の提供する料金プラン「ドコモMAX」を訴求する場合は、LINE公式アカウントの友だちの中から「ドコモ既存キャリアユーザーかつドコモMAXプラン未契約者」や「他キャリアユーザー」などのセグメントを作成。ターゲットユーザーに絞り、それぞれのユーザーの関心を引くような情報を配信したところ、それぞれのCV(コンバージョン)にかかるCPA(顧客獲得単価)がWeb広告経由の場合と比べて60%も低い結果に。潜在的な見込み層にリーチすることができました。

One to Oneコミュニケーションにおける利用データは年代・性別などの属性情報や、加盟店利用情報、ポイント利用情報など多岐にわたり、訴求内容に合わせた最適なセグメント設計ができます。例えば、地域限定のキャンペーン情報を該当加盟店を普段利用しているユーザーに送ることができるため、ユーザー目線でも「自分に合った情報が届く」というメリットがあります。

「それぞれのユーザーに合ったOne to One コミュニケーションを行うことで、ID連携ユーザーのブロック率は未連携ユーザーと比べて約1/5と、非常に低くなっています。とはいえ、発信頻度が高いとブロック率が上がってしまうのではないかと懸念し、ID連携ユーザーの中で週2回情報を受けとっている方と週4回の方とで、ブロック率を比較しました。すると、結果にはほとんど差がなかったんです。発信頻度よりも、いかにそのユーザーに合ったコンテンツを届けるかが重要なのだと、私自身も学ばせてもらいました」(須藤氏)

ID連携によるOne to Oneコミュニケーションの実現によって、LINE公式アカウントの定義が、リーチ獲得を目的とした「リーチメディア」から変わったと橋田氏は話します。

 

「One to One コミュニケーションができるようになり、LINE公式アカウントは『プロモーションの出し分けができるメディア』、開封率やCTR(クリック率)の高い『リッチメディア』として、当社内でも存在感が増しています。いわばLINE公式アカウントは、ユーザーとの関係性を深め、行動変容を促す『エンゲージメントメディア』なのです」(橋田氏)

より良質なユーザー体験の構築を目指して

NTTドコモはdポイントクラブのLINE公式アカウントにおける展開として、まずはdポイントの失効予定日の通知に「LINE通知メッセージ」を活用したいと、導入準備を進めています。

 

「LINE通知メッセージ」は、電話番号を用いて、重要性や必要性の高いメッセージをユーザーに通知するサービスです(※)。企業が保有する電話番号とLINEに登録されているユーザーの電話番号とをマッチングすることで、友だち追加されていないユーザーにもメッセージを配信することができます。

  • 広告を除く、ユーザーにとって重要性や必要性の高いメッセージに限定して、利用することが可能です

「今までdポイントの失効予定日の通知は、主にID連携いただいた方へのLINE公式アカウントのメッセージ配信をはじめ、dポイントクラブのアプリでのプッシュ通知、メールでお知らせしていました。しかしなかなか開封されづらく、ユーザーの方の目に留まらないことも多々あったと思います。ポイントの失効は、お客さまにダイレクトに損失を与えてしまうことなので、当社としても全てのお客さまにしっかりとお知らせしたい。LINE通知メッセージは、友だち以外のユーザーでも電話番号が分かれば届けられるため、LINEの即時性や開封率の高さが生かせる施策で、非常に魅力があります」(須藤氏)

また2026年1月には、dポイントクラブの会員証機能を実装した「LINEミニアプリ」をリリースする予定です。

 

「LINEミニアプリ」は、店舗・企業がLINE上で自社サービスを提供できる新しいアプリプラットフォームです。会員証やモバイルオーダー、予約受付などのサービスをアプリの追加ダウンロード・会員登録不要でLINE上で提供できます。

 

「我々のゴールはあくまでも『ドコモ経済圏のLTVを向上させること』ですので、それが達成されるのであれば、自社のdポイントクラブアプリにはこだわりません。むしろLINEミニアプリを導入することで、タッチポイントの拡大やユーザーの利便性向上に役立つと考えています。一方、自社アプリでは『dポイント運用』機能や『券面デザイン変更』など、よりリッチな体験をいただけるようなコンテンツをそろえています。多くの機能を使いたいユーザーには、dポイントクラブアプリへと移行していただくことを想定しています」(須藤氏)

さらに須藤氏は、専用のNFC(近距離無線通信)タグにスマートフォンをタッチするとLINE公式アカウントやLINEミニアプリに誘導できるサービス「LINEタッチ」にも興味があると話します。

 

「LINE公式アカウントの友だち追加をするとき、QRコードを読み込むのが難しい年配の方もいらっしゃるかと思いますので、スマートフォンをタッチするだけで友だち追加ができたり、LINEミニアプリのデジタル会員証を表示できるというLINEタッチのサービスは、非常にメリットがあると感じています。ユーザーにとっても利便性が高く、よりdポイントを貯めやすく、使いやすくなるのではないかと思います」(須藤氏)

 

将来に向けた展望としては、「LINEヤフーのデータも活用したAIによる予兆モデルを作りたい」と、橋田氏は語ります。

 

「現在は自社でAIを用いて、ドコモ経済圏での活動を基に、ユーザーの今後の行動を予測する『予兆モデル』を作っています。そこにLINEヤフーの有するデータもリアルタイムで結合できれば、データ活用の幅が広がるのではと期待しています。例えば、Yahoo! JAPANでユーザーが検索したキーワードや閲覧したWebサイトの情報などを使い、我々がLINE公式アカウントを通じてリアルタイムに情報を自動配信できる環境などができると良いですね。これぞデータマーケティングの真髄だと思います。今後、LINE公式アカウントはさらに拡大をしていこうと考えていますが、多くのユーザーに対しても、One to One で必要な情報を即座に届けられるような、良質なユーザー体験を構築していきたいです」

 

 

(公開:2026年1月、取材・文/小泉明奈、POWER NEWS編集部、写真/川嶌 順)

  • 本記事内の数値や画像、役職などの情報は全て取材時点のものです

  • 本記事内の実績は取材先調べによる数値です

企業名 株式会社NTTドコモ
所在地
東京都千代田区
事業内容
コンシューマ通信事業、スマートライフ事業、その他の事業(法人通信など)
サービス NTTドコモ各種サービス
関連タグ:
#LINE公式アカウント