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LINEを“メディアの軸”に!サントリーが実践する「統合プランニング」×「サントリー流CRM」戦略とは?

サントリーホールディングス株式会社

2026.02.17

サントリーホールディングス株式会社 宣伝部 課長 野口光太氏
サントリーホールディングス株式会社 コミュニケーションデザイン本部 企画部 課長 宮元尚哉氏

『ザ・プレミアム・モルツ』をはじめ、『BOSS』や『サントリー天然水』などの飲料メーカーとして知られるサントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)。近年、宣伝領域においては「統合プランニング」、CRM(顧客関係管理)領域においては「サントリー流CRM」という戦略を展開しています。その戦略において、重要な役割を果たしているのがLINE公式アカウントLINEミニアプリYahoo!広告LINE広告などのLINEヤフー法人向けサービスです。

 

生活者の共感を呼び、ファン化まで進める同社の取り組みについて、サントリーホールディングス株式会社の野口光太氏(以下、野口氏)と宮元尚哉氏(以下、宮元氏)に話を聞きました。

目的
  • コスト高騰や消費マインドの変化、生活者行動の多様化などを踏まえつつ、メディア配分を最適化してブランドの価値を広く伝えたい
  • 生活者と深くつながり、ブランドやサントリーのファン化を促したい
施策
  • LINEヤフーのみを利用している生活者にリーチするため、Yahoo!広告やLINE広告、LINE公式アカウントを広告メディアとして活用
  • サントリー流CRMを体現する施策として、LINE公式アカウントやLINEミニアプリを活用し「春のBINGO祭」や「ノンデネ」などの取り組みを実施
  • 実証実験としてLINEタッチとLINEミニアプリを併用し、LINEミニアプリ上でスタンプを集めると特典がもらえるキャンペーンを2025年11月に実施
  • 2025年12月にはAIを活用した対話型サービス『忘年会まかせろAI』をLINE公式アカウント上でリリース
効果
  • Yahoo!広告やLINE広告の活用により、サントリーのターゲット層が多く含まれるLINEヤフーユーザーへのリーチに成功
  • LINEミニアプリやLINE公式アカウントの活用によって生活者の利便性を向上しつつ、自社アプリと遜色ないリッチな体験を提供
  • 楽しさを通じて未体験商品の出会いを創出し、「普段は買わない商品を買うきっかけになった」など生活者からの支持を獲得

広告効果の最大化を図る「統合プランニング」

サントリーは近年、「生活者のファン化」をマーケティング戦略として掲げています。その軸となるのが、ブランド認知のための「宣伝」領域と、生活者との関係性を構築するための「CRM」領域の施策の掛け合わせです。その背景を野口氏は次のように説明します。

 

「コスト高騰や生活者のマインドの変化、生活者行動の多様化などサントリーを取り巻く状況が大きく変化する中で、従来の宣伝活動のみでは広告効果が上がらなくなってきています。生活者の購買行動を促すためには、心を揺さぶるようなコミュニケーションの必要性が増しているのです」(野口氏)

 

こうした背景を踏まえ、同社が宣伝領域において進めているのが「統合プランニング」です。

 

「これまで当社では、テレビを主軸として、デジタル、OOH(屋外広告や交通広告)といったメディアごとに広告効果を分析して最適化を図ってきました。しかし、若年層を中心にテレビ離れが進む中で、テレビを必ずしも主軸に据えるのではなく、デジタル広告やOOH等も含めてどのメディアで生活者に届けるのが最善かを検討し、リーチの最大化を狙う。これが当社の考える“統合プランニング”です」(野口氏)

実際にその考え方を検証する一環として、同社ではテレビとデジタル広告の出稿比率を変えたA/Bテストを実施。その結果、従来どおりの出稿比率だったエリアAに比べ、デジタル広告の予算を10%増やしたエリア Bでは、「リーチ&フリークエンシー」が113%、「広告の認知度」が0.5ポイントも向上しました。

「今回の実証実験を経て、各ブランドの特性に応じてテレビ、デジタル広告、OOHといったメディアの役割を整理し、“統合プランニング”によって横断的に設計していくことで、年間で数億円規模の広告費の改善が期待できます。デジタルに加え、生活者に過度な負荷をかけないOOHをうまく組み合わせることで、より効率的に生活者と接点を持つことができるはずです」(野口氏)

メディア設計を見直す中で、サントリーではLINE広告やYahoo!広告の活用も強化しています。その理由の一つは、デジタル媒体の利用割合を分析したところ、LINEヤフーのサービスのみを利用している生活者が一定数存在していることが分かったからです。

 

「サントリーとしては広く伝えたいという思いがある中で、LINEヤフーだからリーチできる生活者の方が多く存在しています。その中に当社がターゲットとしている方の割合が高いことも判明しているため、貴重なメディアの一つと捉えています」(野口氏)

サントリーではこうした広告以外に、LINE公式アカウントも広告メディアとして活用しているといいます。

 

「LINE公式アカウントの友だちは能動的にサントリーの情報を受け取ってくださる熱量の高い方なので、当社の商品に興味がある方だと思っています。そのため、他の広告媒体と同様にメディアの一つとして、新商品の告知や定番商品のCM配信に活用しています」(野口氏)

サントリーホールディングス株式会社 宣伝部 課長 野口光太氏

“ゆるやかなセグメンテーション”で共感を生む「サントリー流CRM」

宣伝領域で「統合プランニング」を進める一方、同社はCRM領域で「サントリー流CRM」という戦略を推進しています。CRM領域を担当する宮元氏は、「マイルドCRM(※)という概念を参考にしています。当社のように1stパーティーデータを収集しにくいメーカーにとって効果的な手法」と説明します。

  • 電通グループが提唱するCRMの考え方。購買前から生活者とつながりを持ち、ブランドのファン化を促す手法

「一般的にBtoC企業が行うCRMでは、購買情報やアクセス履歴などを活用し、自社アプリなど通じてOne to Oneのコミュニケーションを行っていきます。しかし、そうしたデータを取得できない場合でも、アンケートで取得した意識データや3rdパーティーの行動データなどを活用することで、“ゆるやかなセグメンテーション”によるアプローチが可能です。こうした手法を当社ではサントリー流CRMと呼び、売り上げ拡大につながる共感獲得の施策として実行しているところです」(宮元氏)

そして、このサントリー流CRMの推進において重要な役割を果たしているのがLINEミニアプリやLINE公式アカウントです。

 

「自社アプリの開発を検討したこともあったのですが、やはりアプリは、どうしても最初にダウンロードという壁があり、さらに維持コストも高額になります。そのため当社ではダウンロード不要で取得したデータを利活用しやすく、LINEミニアプリでリッチなユーザー体験が提供できるLINEを活用メディアの主軸に据えています」(宮元氏)

サントリーでは主⼒商品である「ザ・プレミアム・モルツ」等の販促施策として、これまでLINEミニアプリを利⽤したレシート応募キャンペーンを行うなど、さまざまな施策を実施してきました。宮元氏は「LINEミニアプリを活用することで、本当に自社アプリと遜色ないリッチな体験をLINE上で提供できる」と太鼓判を押します。

 

そして、生活者同士のつながりを生む施策として、サントリー流CRM戦略においても2025年8月からLINEミニアプリを活用したギフトサービス「ノンデネ」を開始。これは、オリジナルキャラクター「デネさん」の200種類以上のスタンプから、届けたい気持ちに応じたものを一つ選び、ドリンクチケットとともに贈ることができるというサービスです。チケットを受け取った人は、8種類のサントリー商品から一つを選択し、全国のコンビニエンスストアで受け取ることができます。

「LINEミニアプリを利用しているため、ドリンクチケットを贈る側も受け取る側もアプリのダウンロード不要で完結する手軽さが魅力です。提供開始当初から想定以上の利用数があり、利用いただいた方からは前向きな声を多数いただきました。ノンデネのコンセプトに多くの共感を得ていると感じています」(宮元氏)

サントリーホールディングス株式会社 コミュニケーションデザイン本部 企画部 課長 宮元尚哉氏

さらに、生活者参加型で商品接触を広げるLINEを活用した施策として、2025年4~6月に「春のBINGO祭」を実施しました。これはアンケート回答などのデータを基に、その人の好みが反映されたBINGOシートをオンラインで作成し、対象商品を購入してバーコードを読み込むとBINGOシートに穴が空くというもの。BINGO達成数に応じて抽選に参加できます。

「皆さんに楽しんでもらいながら、まだ出会っていないサントリーの商品を知ってもらえるという施策で、過去の購買データなどに基づいて、参加者ごとにBINGOカードを出し分けました。普段、その方が飲んでいる商品の対岸のマスに飲用経験のなさそうな商品をあえて配置することで、未体験商品との出会いを創出したのです。過去の類似施策と比較して、倍以上の応募が集まりました。実際に『普段は買わない商品を買うきっかけになった』『この商品もサントリーだったんだと知った』といった声をいただき、とても好評でした」(宮元氏)

 

さらに同社は2025年11月、山梨県甲斐市にあるサントリーの「登美の丘ワイナリー」の園内散策において、体験向上を目的とした「LINEタッチ」とLINEミニアプリを併用した実証実験を実施しました。「LINEタッチ」は、専用NFCタグにスマートフォンをタッチするとLINE公式アカウントやLINEミニアプリに誘導できるサービスです。園内4カ所に設置されたLINEタッチを巡ってLINEミニアプリ上でスタンプを集めると特典がもらえるというキャンペーンを行いました。

「例えば工場や飲食店など、リアルな接点においてLINEタッチには可能性を感じているので、今後も活用方法を考えていきたいですね。こうした施策を通じて『おとなサントリー』のLINE公式アカウントの友だちになっていただいた方に継続的なアプローチを行い、当社への共感を生みながらファンになっていただく。これがサントリー流のCRMだと考えています」(宮元氏)

AIの活用でさらにユニークなサービスの提供をめざす

「統合プランニング」と「サントリー流CRM」の基本戦略により、LINEヤフーの法人向けサービスを効果的に活用しているサントリー。最後に今後の展望について伺いました。

 

「統合プランニングでいうと、テレビやデジタル広告、OOHを活用した取り組みができてきたので、リテールメディアをはじめとしたさまざまなメディアを組み込んでいきたいと考えています。メディアが多岐にわたる分、広告運用も複雑になってくるため、うまくAIを活用したプランニングができないかと思っています。

 

また、当社ではAIを活用した企画や制作においても研究や実証実験を進めており、その一環として2025年4月には、YouTube上で昔話『桃太郎』のオリジナルエピソードをAIで生成していくWebコンテンツ『むげんももたろうch』を公開しています」(野口氏)

宮元氏もAI活用の可能性について次のように話します。

 

「2025年12月にはAIを活用した対話型サービス『忘年会まかせろAI』をLINE公式アカウント上でリリースしました。『おとなサントリー』のキャラクターであるアンクルに希望するエリアやお店の雰囲気、料理のジャンルなどを伝えると、『ザ・プレミアム・モルツ』をおいしく飲める忘年会候補のお店を教えてくれるというものです。キーワードを入力すると、今年の忘年会にふさわしい乾杯挨拶も考えてくれます。こうしたサービスを通じて皆さんに楽しんでもらいながらコミュニケーションを充実させ、ファン化を推進していく。そんなサイクルを実現していきたいと思います」(宮元氏)

 

(公開:2026年2月、取材・文/相澤良晃、写真/川嶌順)

  • 本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

  • 本記事内の実績は取材先調べによる数値です

企業名 サントリーホールディングス株式会社
所在地
大阪府大阪市
事業内容
食品事業・ビール事業・スピリッツ事業・ワイン事業、他
サービス サントリー(Webページトップ)