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異なるブランドの統合キャンペーンが実現!キリンビバレッジの「LINEパートナーパッケージ」活用法

キリンビバレッジ株式会社

2020.07.31

(写真左より)
キリンビバレッジ株式会社 営業部 TMP担当 主任 藤田智史氏
株式会社博報堂プロダクツ SP EXPERT’S/データビジネスデザイン事業本部 CRMデザイン部 チーフデータマーケティングディレクター 飛松信太朗氏
株式会社博報堂 第三ビジネスデザイン局/デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 第二メディアソリューション本部 池田諭志氏

キリンビバレッジ株式会社(以下、キリンビバレッジ)は、販促・OMO領域を支援する「LINEで応募」の「LINEパートナーパッケージ」を活用し、2020年3~6月にかけて長期の販促キャンペーンを実施しました。LINEで応募ができるキャンペーンを実施した経緯や成果について、担当者の藤田智史氏(以下、藤田氏)と、キャンペーンの設計を担当した株式会社博報堂プロダクツの飛松信太朗氏(以下、飛松氏)、広告運用を担当した株式会社博報堂/デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の池田諭志氏(以下、池田氏)に話を聞きました。

 

※2023年春以降、「オーディエンスの公開機能(クロスターゲティング機能)」の提供を終了させていただくこととなりました。弊社では、2021年10月にデータ活用の基盤として「ビジネスマネージャー」をリリースしており、本サービスでもオーディエンス・LINE Tagの共有が可能です。今後オーディエンスデータの活用については、より一層「ビジネスマネージャー」での機能強化を予定しておりますので、是非本サービスのご利用をご検討ください。

目的
  • 発売日やブランドが異なる商品の統合キャンペーンを展開したい
施策
  • LINEで応募の「LINEパートナーパッケージ」を活用し、異なる商品での統合キャンペーンを2020年3~6月にかけて実施
  • LINEで応募ができるキャンペーンの訴求として、クロスターゲティング機能を活用してLINE広告で広告を配信
効果
  • 昨年実施のキャンペーンと比較して応募数が27%増加
  • キャンペーン対象となった商品ブランドの売り上げが、2020年3月~4月で前年比136%を記録
  • クロスターゲティング機能の活用で広告配信の効果が165%ほど向上

「LINEパートナーパッケージ」でキャンペーンの拡張性が向上

2019年11月、LINEは「LINEで応募」のコア機能をオープン化し、LINEが認定する「Technology Partner(※1)」に「Sales Promotion API」の提供を開始しました。これにより、パートナー企業はLINEを活用した独自のキャンペーンを開発し、LINEで応募ができる「LINEパートナーパッケージ」として販売できるようになりました。キリンビバレッジが2020年3~6月にかけて実施した「午後の紅茶 ザ・マイスターズ & ファイア ワンデイ スプリングキャンペーン」は、その「LINEパートナーパッケージ」を活用した販促キャンペーンです。

※1 「Technology Partner」とは、コミュニケーション、広告、販促・OMOの各領域におけるLINEが提供するサービスの導入において、技術支援を行うパートナー企業を指す。

2020年3月にリニューアル発売された「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」、新たにラインアップに加わった「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズ オレンジティー」、そして4月にリニューアル発売されたペットボトルコーヒー「キリン ファイア ワンデイ ブラック」を対象として設定し、発売日もブランドも異なる商品を同一キャンペーンで展開する初の取り組みとなりました。キャンペーン内容は、商品ボトルに貼られたQRコードを3枚読み込むと、LINEポイントが50ポイントもらえる仕組みです。

キャンペーンは3月からスタート。4月14日以前は、『ファイア』が対象商品となる案内を掲載することで段階的な展開を想起させました

「『午後の紅茶 ザ・マイスターズ』と『ファイア ワンデイ』はブランドこそ違いますが、微糖・無糖タイプで甘くないという味覚の共通点や、嗜好性の高い飲料でありながらすっきり飲みやすいためにリピート率が高いこと、さらに購入者の属性などに共通点がありました。そこで、ブランドを統合したマイレージキャンペーンを実施すれば、相乗効果が見込めるのではないかと考えたのです」(藤田氏)

キリンビバレッジ株式会社 営業部 TMP担当 主任 藤田智史氏

キリンビバレッジ株式会社 営業部 TMP担当 主任 藤田智史氏

従来のLINEで応募では実現が不可能だった統合キャンペーンの解決策として「LINEパートナーパッケージ」を提案したのが、株式会社博報堂プロダクツの飛松氏です。

 

「LINEさんがSales Promotion APIをパートナー企業へ提供したことで、これまで固定化されていたサービス内容を、自由にカスタマイズして提供できるようになりました。キャンペーンの拡張性が高まり、以前よりクライアントの課題を解決しやすくなったと感じています。当社には『SP EXPERT'S (TM)』というLINEのAPI機能を扱うデジタル施策の専門部隊もいるので、キリンビバレッジさんが希望した“発売日やブランドの垣根を超えたキャンペーン”も、LINEパートナーパッケージで問題なく実現できるという自信がありました」(飛松氏)

株式会社博報堂プロダクツ SP EXPERT’S/データビジネスデザイン事業本部 CRMデザイン部 チーフデータマーケティングディレクター 飛松信太朗氏

株式会社博報堂プロダクツ SP EXPERT’S/データビジネスデザイン事業本部 CRMデザイン部 チーフデータマーケティングディレクター 飛松信太朗氏

商品の発売日に合わせて段階的にキャンペーンを展開することから「ステージマイレージ」と名付けたこの企画スキームは、2020年3月17日から6月30日まで実施されました。ステージマイレージの設計について、飛松氏は次のように説明します。

 

「ステージマイレージに関しては、お客さまにとって飽きがこない設計をSP EXPERT'Sとしては大事にしています。過去のキャンペーン施策によって、いわゆるお客さまにとっての”飽き”が起きるというのは把握できているので、そこにもうひとつ新商品の時期に合わせてお客さまのモチベーションとなる仕組みを組みました。仕組みとしては非常にシンプルですが、それがあってこその数字だと考えます。

 

また、キャンペーン本来の目的である複数のブランド商品をお客さまに体験していただくこと、これをシンプルに、当たり前にやりきることがAPIの柔軟性によって可能になったということです。実際にキャンペーンを通じて3つの商品を体験していただいたお客さまは驚くほどの購入平均本数になっています。これは商品力と仕掛けがあってこそ成り立っているものですね。

 

さらに、今回のキャンペーンではQRコードを商品ごとに刷り分けたので、商品とユーザーのデータの関連性を細かく分析することができました。

キリンビバレッジさんにとっては、コスト面の負担も大きかったと思いますが、こうして商品ごとのデータを集めていくことで、今後のキャンペーンやマーケティング施策に生かすことができます」(飛松氏)

キャンペーンのLPサイト

「実は2019年3月にも、『キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー』と『キリン ファイア ワンデイ ブラック』を対象に販促キャンペーンを実施しました。QRコードを読み込むという仕様は同じだったため、今回は当時の読み込み回数を超えることが目標でした。結果、ブランドを横断した取り組みだったことで両ブランドのユーザーを取り組むことができ、応募回数は昨年実績に対して27%増の結果となりました」(藤田氏)

 

商品の売れ行きも好調で、『午後の紅茶 ザ・マイスタ―ズ』シリーズは3~4月の売り上げが前年比136%となり、流通企業からも好評を得たそうです。

 

「年々、流通企業さまのLINEポイントを活用した販促キャンペーンへの期待が高まっていると感じています。2~3年前は取り引きしている流通企業さまにLINEポイントについて説明するのも一苦労でしたが、今回のキャンペーンでは商談がスムーズに進みました。キャンペーン対象商品を目立つ棚に陳列してくださる店舗も多く、『お客さまがすぐ手に取っていく』『回転率がとても良い』というお声をいただいて、結果にはとても満足しています」(藤田氏)

店頭に陳列されたキャンペーンシール付きの商品

店頭に陳列されたキャンペーンシール付きの商品

クロスターゲティング機能の活用で潜在層へアプローチ

キャンペーンを振り返って、藤田氏は「これまで蓄積してきたユーザーデータをうまく活用して応募訴求できたことも、成功要因の一つ」と話します。今回のキャンペーンは発売日が異なる商品を掛け合わせたことで長期化してしまうことから、当初は応募の中だるみを懸念していたそうです。

 

そこで、キリンビバレッジはLINE公式アカウントで得られたデータをLINE広告の配信に連携できる「クロスターゲティング」機能を活用しました。LINE公式アカウントから実施した過去のアンケートやTappiness(※2)で得られた購買データをもとに「ファイアの購買経験あり」「アンケートで競合コーヒーを飲用と回答」など、複数のセグメントを作成。そのユーザーに近い属性にLINE広告で類似配信を行ったところ、普段からファイアを購入しているユーザーの反応率が高かったそうです。

※2 「LINE」と自動販売機がビーコン経由でつながることで、購入ごとに1ドリンクポイントが付与され、15ドリンクポイントがたまると、自動販売機で好きな飲料(200円以下の商品)と無料で交換可能な特典電子チケットが付与される独自のサービス。現在、Tappiness対応の自販機は全国に約5万台設置されている。

「当社では以前からLINE公式アカウントを活用してキャンペーンや新商品の情報発信、アンケート調査などを積極的に行ってきました。また、Tappinessの購買データも蓄積していたので、そうしたデータを活用することで効果的なアプローチができたと思います」(藤田氏)

実際に配信したLINE広告のクリエイティブ

「LINE公式アカウントのデータをLINE広告の配信に活用するクロスターゲティング機能により、通常の配信に比べて165%ほど高い成果を得ることができました。LINE公式アカウントの運用で蓄積してきたデータが、その他のサービスでも有効活用できるということを実感できました」(池田氏)

株式会社博報堂 第三ビジネスデザイン局/デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 第二メディアソリューション本部 池田諭志氏

株式会社博報堂 第三ビジネスデザイン局/デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 第二メディアソリューション本部 池田諭志氏

また、クロスターゲティング機能の活用は、LINE公式アカウントの友だちを増やすことにもつながったといいます。

 

「既存の友だちに近い属性のユーザーへ向けてLINE広告の類似配信を行うことで、まだキャンペーンに応募していない潜在層にキャンペーンへの参加を促すことができました。今回はLINE公式アカウントの友だちになることが応募の条件だったので、新規の友だち獲得にも効果的な施策となりました」(池田氏)

データの活用により、ユーザーニーズに沿った情報発信と販売促進につなげたい

継続的にLINEのサービスを活用しているキリンビバレッジは、今後の展望としてデータの活用と販売促進に注力していきたいと語ります。

 

「飲料業界には、コンビニや量販店などの“手売り”と、“自動販売機”の大きく2つの販路があり、これまでは完全に両者を分けて広告・宣伝施策を行ってきました。しかし、今後は販路やブランドの垣根を越えて、トータルでプランニングしていこうと考えています。商品の特徴や飲用シーンごとに一貫したキャンペーンを行い、そこで蓄積したデータを活用して、お客さまに求められる情報を発信して販売促進につなげていきます。そのためにはLINEというツールが大いに活躍するのではないかと期待しています」(藤田氏)

 

「今後もデータの蓄積とその活用を引き続き行いたいですね。そうすることで、将来的には費用対効果を最大化することにつながると考えています。たとえばこのようなブランドクロスセルの考え方を自動販売機の世界・ユーザーにも持ち込めるのか?だったり、ブランド施策とSPのより密接な繋ぎ方はどうあるべきだろうか?など、さまざまなことが考えられます。1IDのお客さまに対して、コミュニケーションできる権限を得ることがLINE活用では一番大きいと考えますし、そうすることで、一施策あたりの費用対効果を最大化することができると思います」(飛松氏)

 

「クロスターゲティングを初めて活用して、大きな可能性があると感じました。キリン様ではかねてよりDACのソリューション『DialogOne®』をご活用いただき、LINE公式アカウント上で各種キャンペーンやアンケートの実施等、様々な施策を行ってデータ取得を進めています。すでに多くのデータが蓄積されており、マーケティング活用可能な状態となっていますが、今後クロスターゲティングをより活用してくためには、蓄積したデータをLINE広告施策と連携しやすい形へ『DialogOne®』を進化させることも必要だと感じています。また、オフラインデータなどまだ取りきれていない領域のデータもありますので、幅広いデータの取得を推進することも重要と考えています。より可能性を広げるための課題はまだまだ山積していますが、これからもキリン様の課題解決の一つの打ち手としてLINE活用の幅を広げていけたらと思います」(池田氏)

 

 

(公開:2020年7月/取材・文:相澤良晃、写真:小田光二)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

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