生花加工を専門としているシンフラワー株式会社(以下、シンフラワー)は、贈り物の大切な花束を特殊なドライフラワーや押し花アートに加工して、半永久的に保存するサービスを提供しています。同社では2020年から本格的に「Yahoo!広告 検索広告」の運用を始めました。運用のコツ、具体的な成果、今後の展望などについて同社専務取締役 最高執行責任者(COO)の桑山大毅氏に聞きました。
・個人からの注文数を増やして売り上げを伸ばしたい
・2020年からYahoo!広告 検索広告の本格運用を開始
・ユーザーの検索目的やニーズを的確に捉えたキーワードや広告タイトルを模索
・ユーザーに商品イメージが伝わるように「画像アセット」機能を活用
・広告費10万円に対して毎月100万円ほどがYahoo!広告 検索広告経由での売り上げと、ROAS(広告の費用対効果)が約1,000%前後で推移(2024年6月時点)
・運用開始当時と比べてCPA(顧客獲得単価)が1/3程度にまで抑制(2024年6月時点)
顕在ユーザーを確実にWebサイトに誘導するための「検索広告」
一生に一度の花束を、美しいまま残したい――そんな願いをかなえてくれるのが、東京・虎ノ門にサロンを構えるシンフラワーです。
2002年に岡山で創業した同社は、フラワー加工の専門会社。ブライダルやプロポーズなど、思い出に残したい花束(生花)を、ドライフラワーや押し花にして半永久的に保存してくれます。経営全般を取り仕切る同社の桑山氏によれば、社名の「シン」は「幸」の中国語の発音「Xing」に由来し、「Xの現在進行形(~ing)」と同じ字面をしていることから、「終わりのない」「永遠」という意味が込められています。
「現在、加工はすべて岡山工房の職人が手作業で行っています。押し花アートや、立体感のある『ボトルブーケ』『3D額』、透明な樹脂で固めて花の色彩を鮮やかに残す『クリスタルフラワー』など、多彩な商品ラインアップが当社の強みです。
売り上げの7割がネット注文で、注文後、お客さまご自身で岡山工房へ生花を送っていただいています。残りの3割が結婚式場などの契約店経由の受注、または虎ノ門サロン、岡山工房への直接持ち込みです」
コロナ禍以前は注文の6割が式場経由などのブライダル関連だったといいます。しかし、コロナ禍により結婚式そのものの数が減り、売り上げが大幅にダウン。ブライダル業者以外の個人からの受注を増やして売り上げを回復させる必要がありました。
「コロナ禍以前は結婚情報誌などの紙媒体にも広告を出稿していましたが、コロナ禍以降はSNSを含めたディスプレイ広告で認知を獲得し、実際に生花の加工が必要になった際に、確実にお客さまを当社Webサイトに誘導するためにリスティング広告を活用しています。
最初は他媒体のリスティング広告から運用を始め、それだけではカバーできない層にアプローチするために、2020年からYahoo!広告 検索広告の本格運用を開始しました。当初の期待通り、他媒体では獲得できてない層を取り込めているという実感があります」
運用の工夫を重ねてROAS1,000%を記録、CPAを1/3程度まで抑制
シンフラワーはYahoo!広告 検索広告の運用KPIをROASに設定しています。広告費10万円に対して毎月100万円ほどがYahoo!広告 検索広告経由での売り上げと、ROAS1,000%を記録しています(2024年6月時点)。
実際の運用にあたっては「花」「花束」「ブーケ」「バラ」などのフラワー系を軸に、「保存」「ドライフラワー」「残す」といった加工系のキーワードを設定。さらにユーザーの検索目的やニーズを的確に捉え、「結婚式」「プロポーズ」などのイベント系のキーワードを掛け合わせて設定しているそうです。
「広告のタイトルはユーザーの検索目的に合致することを意識していて、『バラの保存はシンフラワー』『思い出のブーケを残しませんか?』といったように、一読して瞬時に“自分の要望をかなえてくれるサービスだ”とユーザーに伝わるように工夫しています。広告の説明文については、自社の強みである花の保存方法の多彩さを訴求することで、“クリックして詳細を知りたい”と思ってもらえるようなテキストを設定しています」
一方、地域ターゲティングなどのターゲティング機能は使用せず、配信対象は全国と広く設定。その理由について「沖縄や北海道など旅行先でプロポーズを受け、すぐに花の保存について検索する人も多いため」と桑山氏は説明します。
「気分が高揚した状態で検索されるお客さまも多いため、広告表示アセット機能の一つ『画像アセット』も活用しています。自分を幸せな気持ちにしてくれたお花が、どんな風に生まれ変わるのか、やはり画像があったほうが具体的に想像しやすいのだと思います。画像は白背景の商品単体写真よりも、背景のあるイメージ写真のほうが、クリック率、コンバージョン率は高いですね」
このように運用の工夫を重ねることで、「Yahoo!広告 検索広告は運用パフォーマンスが確実に向上していく」と桑山氏は説明します。
「運用開始当初からCPAは1/3程度にまで下がりました(2024年6月時点)。Yahoo!広告 検索広告はキーワードごとのクリック単価が分かるので、獲得単価が低いキーワードに寄せていけば徐々にCPAは改善されます。他媒体と比べてYahoo!広告 検索広告はCPAが低いので、それを踏まえてうまく併用するようにしています」
動的検索連動型広告を用いて運用工数を削減しつつ、成果を上げる
Yahoo!広告 検索広告の運用で着実に成果を上げている桑山氏は、「今後、さらに運用効果を高めるために『動的検索連動型広告』を積極的に活用したい」と今後の展望を語ります。
動的検索連動型広告は、あらかじめ指定したサイトのコンテンツと関連性の高い検索キーワードに対して、広告のタイトルを自動的に生成して配信する広告です。タイトルや検索キーワードの設定は不要なため、運用工数を削減しながら効率的な広告配信が実現できます。
「動的検索連動型広告は通常の広告配信よりもCPC(クリック単価)が低く出る点も魅力的です。まだ活用を始めたばかりですが、実際にコンバージョン数も伸びてきているので、これからも期待が持てますね」
企業名 | シンフラワー株式会社 |
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所在地 | 岡山県(本社)
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事業内容 | ブライダルブーケやプロポーズの花束(生花)を、半永久的に保存するフラワー加工専門
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サービス | ボトルブーケ・3Dブーケ・押し花アートの制作 |
(公開:2024年9月、取材・文/相澤良晃、写真/川嶌 順)
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※本記事内の実績は取材先調べによる数値です