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運用テクニック 公開日:2025.08.25

動画広告の効果を最大化するLINE広告ネットワーク活用の極意

株式会社ワンスター デジタルDRM事業部 トレーディングデスク局 セクションリーダー 小又 一輝氏

LINE広告

近年、インターネット広告市場では動画広告が拡大しています。動画広告を活用したデジタルマーケティングに強い株式会社ワンスターでは、動画をより効果的に配信するため、「LINE広告ネットワーク」のポテンシャルに注目して活用しています。LINE広告ネットワークの魅力と、動画広告の効果を高めるノウハウについて、同社でLINEチームのリーダーを務める小又一輝氏(以下、小又氏)に話を聞きました。

 

 

 

小又 一輝氏
株式会社ワンスター デジタルDRM事業部 トレーディングデスク局 セクションリーダー

 

 

 

大西 悠太
LINEヤフー株式会社 マーケティングPF統括本部 広告企画本部 Supply Product Management部 LAN PMチーム 

今や必須となった動画広告の活用

――お二人の業務内容について聞かせてください。

小又氏 弊社は、クライアントのデジタルマーケティングを支援する広告代理店です。健康食品や化粧品など、D2Cやサブスクリプションモデル通販会社との取り組みが多いのですが、最近では通販以外の業種の支援も増えてきています。私が所属する部署は広告媒体ごとに専門チームがあり、私はLINEチームのリーダーとして、LINE広告における売り上げを最大化するというミッションを担っています。

株式会社ワンスター デジタルDRM事業部 トレーディングデスク局 セクションリーダー 小又 一輝氏

大西 私は、LINEヤフー社のLAN PMチームで「LINE広告ネットワーク」の企画担当をしています。LINE広告ネットワークとは、LINEファミリーアプリや3rd partyアプリに接続するアドネットワークサービスです。そのプロダクトマネージャーとして、プロダクト企画や戦略策定をはじめ、設計・開発といった工程のマネジメントも担っています。プロダクトの品質や機能を継続的に改善し、広告主様や代理店様、そしてネットワークに参画いただくアプリ事業者様など、多様なステークホルダーの満足度および収益最大化を目指しています。

LINEヤフー株式会社 マーケティングPF統括本部 広告企画本部 Supply Product Management部 LAN PMチーム 大西 悠太

――ワンスターが動画広告に注力する理由を教えてください。

小又氏 SNSなどで動画コンテンツが台頭してきたことで、Web広告においても動画の重要性が増しています。その流れにあわせて弊社も動画広告の配信を始めたところ、静止画と比べて効果の高い事例がいくつも出てきたため、社の方針として動画広告に注力するようになりました。今では動画広告は欠かせないものとなり、業種や商材にかかわらず、弊社の全てのクライアントで動画広告を活用しています。動画広告を配信して効果検証していく中で、複数のアプリに一括配信するアドネットワークの効率が良かったため、LINE広告ネットワークへの配信を強化しました。

全画面で最後まで動画を見てもらえる

――LINE広告ネットワークの特徴や強みについて、詳しく教えてください。

大西 LINE広告ネットワークで広告配信できるアプリは、マンガ、ゲーム、SNS、ニュース・天気、カメラ、金融、健康、便利ツールなど、多岐にわたります。LINEが運営するものだけでなく、出版社が運営するWebマンガアプリや、ネットでよく目にするグルメ情報サイトやレシピ動画メディアなど、累計13,000以上(※)のアプリと連携しています。このネットワークによって、広告主にとっては、多様な属性を持つユーザー層へリーチできるメリットがあります。一方で、パブリッシャー(アプリ運営者)にとっては、自社アプリに豊富な広告案件を配信することで収益化できるというメリットがあります。

  • 2024年10月時点

媒体資料「LINE広告ネットワーク」から引用

大西 LINE広告ネットワークでは、LINEヤフー独自のオーディエンスデータを活用した高精度なターゲティングが可能です。月間9,900万人(2025年6月末時点)にのぼるLINEユーザーのオーディエンスデータはもちろん、Yahoo! JAPANのデータを利用して独自のユーザーセグメントを作成して配信することもできます。広告クリエイティブは静止画・動画それぞれ複数のサイズに対応しており、配信先アプリの特性に応じて最適な形で表示されます。また、LINE広告ネットワークならではの特徴として「リワード広告枠」への配信にも対応しています。ユーザーがアプリ内で使えるアイテムやポイントなどの特典を得る代わりに広告を視聴する仕組みであるため、訴求力の高い配信が可能です。

媒体資料「LINE広告ネットワーク」から引用

――動画広告の配信面としてLINE広告ネットワークの魅力はどのような点でしょうか?

小又氏 弊社がLINE広告ネットワークに注力している理由の一つとして、広告配信先のユーザー数が圧倒的に多く、LINE広告の多様なターゲティング設定を掛け合わせることができるため、広告効果にインパクトが出るという点が挙げられます。また、リワード広告の場合は、全画面表示の15秒や30秒の動画をスキップされることなく見てもらえるので、訴求内容をダイレクトに伝えられる点が魅力です。弊社では2024年10月以降、LINE広告ネットワークにおける動画広告の効果的な活用手法(※詳細は後述)を確立し、CPAを大幅に抑えることに成功しています。現在では、静止画より動画の方がCPAが低く、費用対効果に優れているという結果も得られています。

小又氏 また、LINEアプリ内の配信面とLINE広告ネットワークのCPA比較でも、LINE広告ネットワークの方がCPAが低いという成果が出ています。

ワンスターが実践する動画広告運用テクニック

――LINE広告ネットワークはどのような目的で利用されることが多いのでしょうか?

大西 LINE広告ネットワークで動画広告を配信することで、幅広いユーザーに対して商材やサービスを強く訴求できます。そのため、コンバージョン(CV)獲得を目的としたキャンペーンに多く用いられている傾向があります。実績ベースで一番多い業種や商材は、美容やコスメ、健康食品などのジャンルです。LINE広告ネットワークでも、LINE広告の他のLINE面と同様にキャンペーン目的の設定が可能で、最もよく使われるのは、商品購入などの目的と相性が良い「ウェブサイトコンバージョン」です。

小又氏 弊社では、広告が見飽きられないこと、そしてより多くのユーザーに広告を届けることを重視しています。そのため、キャンペーン目的の設定においては「リーチ」※1を選択することが多く、これにより広告のフリークエンシー※2を制御しながら配信することが可能になります。特にLINE広告ネットワークには、一定時間視聴される仕様の広告枠が多いため、動画広告の訴求内容をしっかりとユーザーに届けることができます。

  • 1.リーチ数を増やすことを目的としたキャンペーン

  • 2.同一ユーザーに対して広告が表示される回数

――LINE広告ネットワークで動画広告を効果的に運用するポイントはありますか?

小又氏 反応が良いオーディエンスを対象にクリエイティブ検証を行い、「勝ちクリエイティブ」を他のオーディエンスにも展開してリーチの最大化を図っていくというのが、弊社の基本的な運用方針です。まず初期段階では、各訴求ごとに1本ずつ新しいクリエイティブを作成し、配信結果を確認します。その中から反応が良かったものに対しては、ブラッシュアップした動画を複数本追加で制作し、さらなる効果検証を行います。ブラッシュアップにはさまざまな手法がありますが、最も効果的だと考えているのが「冒頭のフック要素を変更する」ことです。動画広告は冒頭が特に重要で、まずは冒頭部分を重点的に改善し、反応を見ながら中盤〜終盤の構成へと展開していきます。このようにして、効果の高いクリエイティブを見つけ出し、段階的に完成度を高めていく運用手法を確立しています。勝ちクリエイティブが見つかれば、それを別のオーディエンスにもリーチ配信で広く展開していきます。このノウハウを確立した結果、LINE広告ネットワークにおける売り上げが約500%成長しました。

クリーンな広告環境でブランドセーフティを確保

――ブランド毀損(きそん)を懸念して広告ネットワークを避ける広告主がいると聞きます。広告の健全性を保つために、どのような取り組みをしていますか?

大西 LINEヤフーでは、パブリッシャー(アプリ運営者)と広告、両方の審査に力を入れることで、ユーザーにとって快適でクリーンな広告環境を目指しています。パブリッシャーの審査では、アプリ運営会社や提供されるアプリが、当社の定める厳格な基準を満たしているかを事前に確認します。広告の審査では、ユーザーにとって不快な広告が配信されないよう、広告クリエイティブ、商材、ランディングページ(LP)などの審査を実施しています。また、クリーンな広告環境を維持するため、継続的にクリーンな広告配信を実施している広告代理店に対しては、「Ads Policy Badge(通称・審査バッジ)」を進呈しています。広告審査の否認率の割合が一定水準以下で、審査に対して真摯(しんし)に向き合っていただいているパートナーだという意味です。ワンスターさまはこの審査バッジを取得されています。

小又氏 広告審査基準を守ることは、ユーザー・広告主・広告代理店、全員が不利益を被らないために重要だと考えています。審査基準のグレーゾーンを攻めることで誰かが不幸になってはいけないという意識のもと、審査基準をしっかりと守ることを徹底しています。審査落ちした場合には、具体的に何がNGだったのか問い合わせをして、その結果を社内で蓄積してデータベース化しています。審査に関して手厚くフォローしてくれるLINEヤフーの体制は、国内プラットフォームならではの強みだと感じています。こうして社員の審査に関する知識の底上げを始めてから、NGになるようなクリエイティブが作成されることは明らかに減っています。

小又 一輝氏

まずは1本の動画から配信を

――LINE広告ネットワークで動画広告を有効活用したい広告主にアドバイスはありますか?

小又氏 動画広告にこれから挑戦しようと思われている広告主の方には、「まずは『渾身の1点』の動画広告を配信してみてください」とお伝えしたいです。クリエイティブを量産するのは後からで構わないからです。動画を作るときは、「ユーザーに長く視聴してもらうためには?」という点に意識がいきがちですが、CVなどの「目標としている成果」を達成できるクリエイティブになっているかどうか、という点を意識してみてください。

大西 LINE広告ネットワークの特性上、「どんなアプリに広告が出るかわからず、ブランド毀損が怖いから配信しない」と言われる広告主や広告代理店の方がいらっしゃいます。LINE広告ネットワークでは、配信先アプリを指定できる「許可リスト」機能もあります。これらもぜひ活用して、まずは試しに使ってみていただけたらと思います。ただ配信先が少ないと、どうしてもユーザー数が絞られてしまい、特定のユーザーが特定の広告を見飽きてしまいます。反対に配信先が幅広いと、「思いもしないところで広告効果が上がった」ということも起きます。アプリごとのパフォーマンスも違いますし、配信先の選択肢は、できれば広く取ってお試しいただいた方が良いと思います。

(公開:2025年8月、取材・文/小泉明奈、POWER NEWS編集部、写真/慎芝賢)

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