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2025.07.07
桂花拉麺株式会社 代表取締役社長 中山雅光氏 桂花拉麺株式会社 常務取締役 小林史子氏
1955(昭和30)年に熊本で誕生した「桂花ラーメン」は、東京で初めて豚骨ベースのラーメンを展開したことでも有名な老舗の熊本ラーメン店です。桂花拉麺株式会社(以下、桂花拉麺)は店舗に訪れるユーザーとの接点を強化し、日常的に桂花ラーメンを想起してもらうためLINEミニアプリとLINE公式アカウントを導入。自社キャラクター「桂花ボーイ」も活用したコミュニケーション設計や取り組みが実を結び、ライトユーザーをファン化することに成功しています。ユーザーに寄り添ったコミュニケーションを実現し、ファンを増やし続けている同社の取り組みについて、代表取締役社長 中山雅光氏(以下、中山氏)、常務取締役 小林史子氏(以下、小林氏)に聞きました。
1955年に熊本で第一号店が誕生し、2025年に創業70周年を迎える「桂花ラーメン」。1968年に東京・新宿に出店し、初めて東京で展開した豚骨ラーメンの店として話題を集めました。
「当時は慣れない豚骨の匂いに顔をしかめる人も多かったようですが、『とにかく3回食べてみてください。そうすればもう、桂花ラーメンがやみつきになること間違いなしです』というメッセージを発信し続けました。それが現在のマーケティング戦略『3回食べるとやみつきになる』につながっています」(中山氏)
桂花拉麵はこの戦略の下、初来店したユーザーの再来店促進とファン化に注力しています。まずは来店して食べてもらい、2回目でおいしさに気が付く。そして3回目でファンになってもらうことを想定し、ユーザーとのコミュニケーションを強化しています。
ユーザーの来店ハードルを下げる役割を担うのが、コミュニケーションアプリ「LINE」上で企業・店舗のサービスを実装できるアプリケーションプラットフォーム「LINEミニアプリ」と、LINE上で企業・店舗が直接情報を届けることができるサービス「LINE公式アカウント」です。LINEユーザーは日常的なコミュニケーションの延長戦上で、シームレスにこれらのサービスを利用できます。
「2019年からネイティブアプリを運用していましたが、2024年10月からLINEミニアプリとLINE公式アカウントを導入しました。導入前はネイティブアプリのダウンロード数が伸び悩み、キャンペーンなどの告知も十分に届いていないという課題がありましたが、多くのユーザーが利用しているLINEを用いることで、メッセージの開封率を高めることができるのではないか。また、LINEユーザーであれば新たなアプリのダウンロード不要でLINEミニアプリを利用できるため、起動ハードルを低く感じていただけるのではないか、と期待していました」(小林氏)
桂花拉麵では、店舗のテーブル上にLINEミニアプリの登録を促すPOPを設置し、LINEミニアプリの告知をしています。実際に店員がLINEミニアプリを案内するとほとんどのユーザーがスムーズに登録でき、LINEミニアプリを起動できると評価しています。
桂花拉麵のLINEミニアプリは委託開発です。開発に際して模索したのは「いかに毎日LINEミニアプリにアクセスしてもらい、桂花ラーメンを想起してもらうか」ということでした。
桂花拉麵ではLINEミニアプリの起動率を高めるために大きく3点の工夫をしています。
一点目が、LINEミニアプリを起動したくなるシステムの設計です。ネイティブアプリ時代は、来店時のスタンプ付与が主な活用方法だったため、ユーザーがアプリにアクセスするのは来店時のみ。LINEミニアプリでは、桂花ラーメンを日々想起してもらうため、「1日1回LINEミニアプリにログインするたびに10ポイント付与」というシステムに変更しました。
貯まったポイントは、「トッピング無料クーポン」と交換できます。例えば100ポイント貯めるとネギやキャベツ、茎ワカメ、メンマなどを追加できるクーポンと交換が可能。250ポイント貯まると、大人気トッピングである角煮風の豚バラ肉「太肉(ターロー)」のクーポンと交換ができます。
二点目は、自社キャラクター「桂花ボーイ」を活用したコミュニケーション設計です。LINEミニアプリを開くと桂花ボーイが現れて、「夕方の一杯、ラーメンどうばい?」などのメッセージを熊本弁で話しかけてくれます。
「メッセージの内容は生成AIを使って作成し、熊本弁に編集しています。お届けするメッセージは、例えば皆さんの疲れに寄り添う言葉や『桂花らしさ』を感じさせるメッセージを意識し、毎日楽しんでいただけるよう季節ごとにキャラクターを変化させるなど工夫しています。ファンの皆さんに親しんでいただけたら嬉しいです」(小林氏)
キャラクターを用いて情緒的価値を訴求することでブロックを防止しつつ、キャラクターが話しかけてくる体験や季節ごとの変化によって、LINEミニアプリの継続利用率の向上を実現しています。
実際に桂花ボーイから贈られた応援メッセージやシーズン限定の一言などがSNSでも話題になり、キャラクターを介してユーザーとの結びつき強化につながりました。
三点目が、ショートカットアイコンの追加案内です。LINEミニアプリはLINE内だけではなく、ネイティブアプリのように専用アイコンを作成して、ユーザーのスマートフォンのホーム画面に追加することができます。ホーム画面から直接起動できることをLINEミニアプリ上でユーザーに案内することで、自然な追加を促しています。
桂花拉麵のLINEミニアプリはLINE公式アカウントのリッチメニューにも導線を設けていますが、最も多い流入はホーム画面経由です。自然な誘導が功を奏し、アクセスしやすい導線づくりに成功しています。
桂花拉麵の取り組みが実を結び、LINEミニアプリにおける1週間の平均DAU(デイリーアクティブユーザー)は導入から半年(2025年4月時点)で8,860人まで増加。LINE公式アカウントの友だち数も右肩上がりで増加し、7,000人を超えました。
また、LINEミニアプリを1カ月に10回以上起動したユーザーは全ユーザーの80%以上に上る(2025年1~4月実績)など、継続利用を促す仕組みづくりに成功しています。
「2019年のネイティブアプリ導入時から5年間でダウンロード数は3万件未満に留まっていたため、初速の違いを感じて改めてLINEの普及率に驚いています。想定以上の伸びを実感したため、2025年4月にネイティブアプリをクローズし、LINEミニアプリに一本化することを決めました」(中山氏)
ユーザーからは1日1回アクセスすると10ポイント付与され、トッピング無料クーポンと交換できるシステムも好評で、獲得したクーポンの利用率は84%(2025年2月実績)を記録。再来店の動機付けとして貢献しています。ネイティブアプリの運用時は、来店スタンプが反映されないといったトラブルも発生しましたが、LINEミニアプリの導入後はそうしたトラブルの発生もなくなりました。
「250ポイントを貯めるために、多くの方が25日連続でLINEミニアプリへログインするようになりました。こうしたちょっとした喜びが、お客さまにとっては楽しい体験となっているようで、クーポンを獲得するとその利用期間内に来店しようというきっかけにもなっています」(小林氏)
さらにLINEミニアプリの起動を促すため、桂花拉麵のLINE公式アカウントからは、定期的にメッセージでポイントアップキャンペーンの案内を配信しています。配信後はクーポンの使用数が未配信時に比べて約2倍に上るなど、メッセージ配信が来店数や売り上げの増加に寄与しているそうです。
こうした成果を受け、中山氏は「初期のお客さまのファン化を促すための施策としてLINEミニアプリの効果が最も高い」と評価します。
「10日間連続してLINEミニアプリにアクセスいただくことでクーポンが1枚獲得できるので、まずは10日間毎日使い続けていただくことで当社のラーメンを身近に感じていただくことができています。今後はより新規のお客さまを増やすための取り組みを模索していく予定です。例えばLINEミニアプリで獲得したクーポンをLINEの友だちにプレゼントできるようになれば、新規来店につながりますし、桂花ラーメンを介してお客さま同士の会話が弾めば嬉しいです」(中山氏)
最後に、中山氏と小林氏は「AI機能の進化を待ち望んでいる」と話します。
現在、桂花ボーイとユーザーの間で会話はできませんが、将来的にユーザーと会話ができるようになるまでAIが進化すると、新たなコミュニケーションのフェーズが訪れるかもしれません。LINEミニアプリとLINE公式アカウント上で発生する双方向のコミュニケーションを通じて、桂花拉麵のファンが一層広がることが期待されます。
(公開:2025年7月、取材・文/岩﨑史絵、写真/慎芝賢)※ 本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです※ 本記事内の実績は取材先調べによる数値です
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