焼きたてパンや一杯だてコーヒーが気軽に楽しめるベーカリーカフェを全国展開する株式会社サンマルクカフェ(以下、サンマルクカフェ)。同社は商品を起点とした来店動機の創出に注力し、再来店を促すツールとしてLINE公式アカウントを活用しています。中でも友だち追加クーポンの配信がSNSで話題になると、友だち数が14倍に増加し、実際に来店にもつながっています。店舗とデジタルをつなぐ取り組みについて、同社の高橋利英氏(以下、高橋氏)に話を聞きました。
- より多くのユーザーに、ユーザーが求める情報を最適なタイミングで届ける環境を整えたい
- ライトユーザーと継続的につながり、来店頻度の向上につなげたい
- 店舗ごとにLINE公式アカウントを作成し、新商品情報やクーポンを配信
- 友だち追加クーポンを配信し、SNSで告知
- 友だち数、開封率、ブロック率を基に配信内容の検証
- Yahoo! JAPAN の位置情報データを活用し、LINE公式アカウントの友だちになったユーザーの来店状況を可視化
- LINEタッチを導入し、店頭での友だち追加を促進
- 友だち追加クーポンがSNSで話題を集め、友だち数がクーポン配信前の14倍に増加し、クーポン獲得率89%、使用率52.7%を記録
- メッセージ開封ユーザーは未開封ユーザーより1.5倍来店数が高いことが判明
- メッセージ開封ユーザーの約40%が、開封当日に来店
- LINEタッチの導入店舗で、友だち数が229%増加
ライトユーザー層との接点獲得へ、LINE公式アカウントを活用
サンマルクカフェは、「チョコクロ」をはじめとする焼きたてパンや一杯だてコーヒーを軸に、日本全国に290店(2026年5月時点)を展開し、「日本一のベーカリーカフェチェーン」を目指しています。
同社のマーケティング部では、新規来店と再来店それぞれの獲得をミッションに、キャンペーン設計やCRM(顧客関係管理)施策を進めています。
「カフェは、職場付近や現在地周辺の店舗に赴くなど、他の飲食店と比べると『このブランドだから来た』という動機をつくるのが難しいと感じています。だからこそ、『あの商品が食べたいからサンマルクカフェに行こう』という動機を持ってもらえる『プロダクトイン』型の集客を目指しています」
来店客との接点づくりには、これまで自社アプリを活用してきました。7年ほど前に紙のスタンプカードを廃止し、LTV(顧客生涯価値)向上とデジタル化を目的に自社アプリへ移行したものの、利用しているユーザーは全顧客の約5%程度にとどまっていたといいます。
「自社アプリのみでは、お客さまになかなか情報を届けられていない点に課題がありました。そこで国内月間利用者数1億人(2025年12月末時点)を突破しているLINE上で、お客さまが求める情報を最適なタイミングで届けたいと考え、2025年10月に店舗ごとのLINE公式アカウントを開設しました」
今後、自社アプリはサンマルクカフェのほか「鎌倉パスタ」などのサンマルクグループ間で送客を活性化するためのメディアとして活用しようと、統合を検討しています。一方、LINE公式アカウントはサンマルクカフェ独自のカラーを発揮できるメディアとして位置付け、すみ分けを検討しているそうです。
同社にとってLINE公式アカウントは、自社アプリを利用するロイヤルユーザーだけではなく、まだカフェの利用頻度の高くないライトユーザーとも接点を持てる場です。まずは友だちとしてつながり、商品情報やクーポンを通じて来店のきっかけをつくる。その積み重ねによって、少しずつ利用頻度を高めてもらう狙いがあります。
友だち数が14倍に!SNSとの相乗効果で新規ユーザーにも拡大
サンマルクカフェのLINE公式アカウントでは、新商品情報の定期配信やクーポン配信を行っています。
「当社では他SNSでも発信を強化しているのですが、『LINE公式アカウントの友だち追加でチョコクロ1個無料』クーポンの告知を行ったところ、大きな話題を集め、友だち数がクーポン配信前の14倍に増加しました。さらに配信したクーポンの獲得率が89%、利用率も52.7%に上る結果となりました。あまりの友だち数急増に、はじめは何が起きたのか分からず驚きました。社内でも『何があったんだ』と聞かれたほどでした」
普段は、店舗に来店したユーザーが友だち追加をすることが中心です。しかしこのときは、SNSでクーポンを知った新規ユーザーの友だち追加が急増しました。
「結果的にサンマルクカフェに来店したことのあるお客さまのみならず、新規のお客さまとの接点も多数得ることができました。LINE公式アカウントは、再来店のお客さまと新規のお客さま、両者に効果的なのだと実感しました」
また、販売促進として配信した際のクーポンの利用率を、自社アプリとLINE公式アカウントで比較すると、「コラボチョコクロ100円オフ」というクーポンを配信したときは、自社アプリが約0.8%に対しLINE公式アカウントが約2.1%でした。「至高のチョコクロ50円オフ」クーポンの配信時には自社アプリが約0.27%に対しLINEが約0.52%と、いずれもLINE公式アカウントで配信したクーポンの利用率のほうが、2倍近く高い結果となりました。
「自社アプリでのクーポン配信ではリーチできるユーザーが限られていました。LINE公式アカウントを併用したことで、より効率よく多くのお客さまに情報を届けられるようになり、販売促進の選択肢も広がっています」
友だち数・開封率・ブロック率と向き合いながら配信内容を改善
サンマルクカフェがLINE公式アカウントの運用において重視しているKPIは、友だち数、メッセージの開封率、ブロック率です。まずは友だち数を増やすフェーズとしつつ、どのような配信内容が開封されやすいのか、配信数によってブロック率がどう変化するのかを確認しています。
例えば、クーポン配信期間中は友だち数が大きく伸びる一方で、ブロック率も月ごとに変化しました。その数字をネガティブに捉えるだけでなく、ユーザーの反応を知る手がかりとして見ています。
「他のSNSでは返信という形でお客さまの反応が見えますが、LINE公式アカウントの場合はブロックも返信に近いお客さまの反応の一つだと考えています。配信内容と数、ブロック率の関係を見ながら、どうしたらお客さまに喜んでいただけるのかを探っていきたいです」
メッセージ配信は本部主導で行っていて、店舗には配信前に内容を共有します。クーポン配信後などは来店が増える可能性があり、商品の準備や在庫管理を整えるためです。一部では関西エリア限定など地域を分けた配信もテストしており、店舗やエリアごとの反応を見ながら配信内容の改善を進めています。
Yahoo! JAPANの位置情報データを活用し、来店状況を可視化
カフェ業界はユーザーの来店頻度、利用シーン、目的、属性などが多種多様なため、マーケティング施策が行いにくいという課題もあります。
「店舗によっても、その立地や大きさ、形態などもいろいろで、一律に比較はできません。そのため当社では、LINE公式アカウントを店舗ごとに作成しました。個店ごとのデータを取っていくことで、今後のマーケティング分析に役立てていこうと考えています」
また、サンマルクカフェではYahoo! JAPANの 位置情報データを活用し、LINE公式アカウントの友だちが実際に来店したかの分析を行いました。その結果、LINE公式アカウントからのメッセージを開封したユーザーは未開封ユーザーに比べ、来店数が1.5倍多いことが判明。感覚的に捉えていた配信効果を、来店行動と結び付けて確認できたことは同社にとって大きな収穫でした。
「この分析ではさらに、LINE公式アカウントのメッセージを開封した人の約40%が開封当日に来店していたことが分かり、とても驚きました。カフェは他の飲食業態と比べて単価も低く、その日に行くハードルが高くない点は考慮すべきなのですが、LINE公式アカウントのメッセージの即時性が高く、効果的に来店につながっていることがよく分かる、驚異的な数字でした」
また、この分析ではメッセージ配信頻度に比例して来店数も増加することが分かりました。
「今後は、メッセージの内容や配信頻度を変えながら、来店率をさらに高めるにはどうすれば良いか分析していきます。LINE公式アカウントの活用が実際の来店につながることが可視化できたので、このことを全国の店舗とも情報共有し、今後もさらなる好循環を生み出したいです」
「LINEタッチ」導入で友だち数が229%増加
サンマルクカフェでは、LINE公式アカウントの友だち追加を促進するため、LINEタッチを2026年2月から21店舗で試験的に導入しています。LINEタッチは、スタンドタイプやステッカータイプの専用NFCタグにスマートフォンをタッチするだけでLINE公式アカウントなどに誘導できます。カメラアプリなどの起動が不要なため、ユーザーにとっては操作の手間が少なく、店舗側にとってもオペレーションに組み込みやすいサービスです。
「スタンドやステッカーをカスタマイズして『友だち追加で10%オフクーポンプレゼント』という文言を入れました。LINEタッチ導入後は、導入前と比べて友だち数が229%増加し、如実に効果が表れています。スマートフォンをタッチするという動作にまだ慣れていない方も多いと思っていたので、想像以上の効果に驚きました」
LINEタッチ導入の背景には、友だち数を増やすという目的以外にも、もう一つ理由があったと高橋氏は振り返ります。
「LINEヤフーさんが今後LINEタッチに力を入れることで、『世の中の景色が変わっていく可能性があるのではないか』と期待しています。今はまだ、スマートフォンをタッチするシーンは少ないですが、この機能が広まったときには多くの人がさまざまなシーンでスマートフォンをタッチするようになり、生活が便利になるでしょう。サンマルクブランドとして、新しい仕組みには早めにチャレンジをしておいたほうがいいと考えました。結果も出たことで、今後はLINEタッチ導入店舗を拡大していく予定です」
今後はLINE上でのモバイルオーダーシステムの検討も行い、ユーザーとの接点を広げながら再来店につながるコミュニケーションをさらに強化していく考えです。
「これからもマーケティング施策を推進していく上で、ぜひLINEヤフーさんと一緒にさまざまな取り組みをしていきたいです。サンマルクカフェの新たな取り組みと、おいしいパンやドリンクなどの新商品に、今後も期待していただけるとうれしいです」
(公開:2026年6月、取材・文/小泉明奈、POWER NEWS編集部、写真/川嶌 順)
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本記事内の数値や画像、役職などの情報は全て取材時点のものです
本記事内の実績は取材先調べによる数値です
| 企業名 | 株式会社サンマルクカフェ |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市
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| 事業内容 | サンマルクカフェ事業
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| サービス | サンマルクカフェ |