静岡県西部の遠州地域を中心に、郷土銘菓・和菓子・洋菓子の開発・製造・販売事業などを行っている株式会社たこ満(以下、たこ満)。同社は、ユーザーとのコミュニケーションツールとして、LINE公式アカウントを活用しています。メッセージ配信やリサーチ機能を活用してユーザーとの関係性を深めている取り組みについて、同社 ブランド開発室の槻木鈴香氏(以下、槻木氏)に話を聞きました。
- 折り込みチラシや店頭POPでは届きにくいユーザー層へ向け、タイムリーに情報を届けたい
- お客さまの声を商品企画や店舗運営に生かし、継続的な関係づくりにつなげたい
- リサーチ機能を活用し、お客さまの意見・要望を収集
- 全体告知用のLINE公式アカウントとは別に、常連客向けのLINE公式アカウントを開設。先行情報や特別なクーポンを配信
- LINE公式アカウントからオンラインショップへ誘導し、新商品の先行予約を実施
- リサーチ機能で実施したアンケートに対し、2週間で2,000件を超える回答を収集
- 新商品の先行予約施策で、電話中心だった予約導線をWeb上で完結し、オンラインショップの会員も増加
折り込みチラシで届きにくい層へ、LINE公式アカウントで発信
たこ満は静岡に密着した菓子メーカー・販売会社として、1953年の創業以来、地域の人々に親しまれてきました。静岡県内で19店舗を展開している菓子店「たこまん」、甘味処「遠州茶家」などを運営し、「たこまん」のポイントカード会員数は約32万人(2026年7月時点)に上ります。
たこまんでは、遠州地方の海岸線にある大砂丘地帯を表現した看板商品「大砂丘」のほか、掛川市産の醤油を使った「あまから団子」、静岡茶を使用した「茶の葉フリアン」など、地元の素材を生かした商品を幅広く販売しています。
「お客さまに情報を届ける時は、商品の魅力や四季折々の最新情報はもちろん、当社のお菓子を通して、地域の素材や活動など静岡県ならではの魅力を伝えることを心がけています」
同社は以前、店頭POPや折り込みチラシを中心とした情報発信をしていましたが、10年以上前からLINE公式アカウント(旧LINE@)も活用しています。
「リピーターのお客さまに向けてタイムリーに新商品をご案内したい、またPOPや折り込みチラシでは接点を持ちにくい方にも情報をお届けすることで新規顧客を集客したい、という2点の理由から、LINE公式アカウントを始めました。店頭での声がけやチラシなどに友だち追加用のQRコードを入れ、友だちを集めています。その結果、特に40~50代の女性のお客さまを中心に、幅広い年齢層のお客さまに友だち追加をしていただき、友だち数は約3万6,000人(2026年7月時点)に上っています」
LINE公式アカウントのメッセージは、土日の来店を促進するため、2週間に1回くらいの頻度で、金曜日の夜7時に配信しています。イベントなど特に告知したい情報は、画像やテキストを一つのビジュアルにまとめて配信できる「リッチメッセージ」で訴求。詳細を紹介したいときはカルーセル形式で複数のコンテンツを一つにまとめて送信できる機能「カードタイプメッセージ」を用いるなど工夫をしています。
「メッセージ配信でリッチメッセージやカードタイプメッセージを活用することで、お客さまをWebサイトへ直接ご案内できます。興味を持っていただいた方に詳しい情報をお伝えできるので、お客さまにとってもメリットのある情報提供になっていると思います。来店した際に『LINEを見て来たよ』とお声がけくださる方も多く、手応えを感じています」
LINE公式アカウントの運用は、槻木氏が所属するブランド開発室と企画課で構成された販促チームが担っています。折り込みチラシの制作も販促チームが担当しているため、チラシと連動した配信も実施しています。
「LINE公式アカウントで発信する情報を多くの方に見てもらいたいという思いから、KPIとして開封率60%前後を目標に設定しています。特に折り込みチラシの内容を配信すると、開封やクリックなどの反応が伸びる傾向にありますね。今後も配信の質をより高めて、お客さまに喜んでいただきたいです」
リサーチ機能を用いて2週間で2,000件超の回答を収集
たこ満では2025年5月末から6月中旬にかけて、LINE公式アカウントのリサーチ機能を活用し、アンケートを実施。目的は、ユーザーが日ごろ感じている改善要望や店舗運営に関する意見を集めることでした。
「お客さまの声を直接伺うために、自由記述の項目を設けたアンケートを実施しました。リサーチ機能を用いたのは初めてでしたが、2週間で2,000件を超える回答が集まり、想定以上の多さにとても驚きました」
得られた回答は社内で共有し、今後の商品やイベントなどの企画などにつなげていくといいます。特に印象的だったのは、スイーツビュッフェに関する回答でした。
「アンケートでは、『たこまんのお菓子をスイーツビュッフェで食べたい』という意見を多くいただきました。実はちょうど、当社初のスイーツビュッフェを掛川市の『森林果樹公園アトリエ』にオープンしようと準備していた頃で、オープン前に数多くの心強い意見をいただくことができ、当社社長も喜んでいました」
リサーチ機能は、質問や分析方法を変えるなどして再度実施してみたいと、槻木氏は話します。
「お客さまとのコミュニケーションは、店頭での接客以外、どうしても一方通行な情報配信になりがちです。しかし、リサーチ機能を使うことで双方向のコミュニケーションが実現するのだと学びました。リサーチ機能はLINE公式アカウントを活用するメリットの一つであり、得られた回答を今後の施策などに生かす可能性も感じました」
年12回以上来店する常連客向けのLINE公式アカウントを運用
たこ満は、年12回以上来店する常連客向けのLINE公式アカウントも2026年4月から運用しています。常連客向けLINE公式アカウントでは、新商品情報を一般公開に先駆けて配信したり、友だち追加のお礼として200円オフクーポンを配信しています。
「常連のお客さま向けの情報を配信することで、優先的に情報をお送りできるだけではなく、配信の質を高め、開封率の維持にもつなげたいという考えからスタートした施策です。常連のお客さまには、店頭でこの特別なLINE公式アカウントをご紹介して、登録いただいています。とても喜んで登録してくださる方もいらっしゃって、約6,200人(2026年7月時点)の方が友だち追加してくださっています」
また常連客向けのLINE公式アカウントでは、新商品を発売の2週間前に先行して予約・購入できる企画も実施しました。
「常連のお客さま向けLINE公式アカウントからオンラインショップにアクセスした方だけが、発売前の新商品を予約・購入できるような仕組みにしました。これまでは、新商品発売時にDMをお送りして電話で予約していただく、という施策も行っていました。当時と比べると、情報発信から予約までWeb上で完結できるようになり、お客さまの利便性が向上した上に、社員の業務量も削減できました。また、取り組みによってオンラインショップの会員登録者数も伸びています」
ライフイベントに寄り添い、「生涯顧客」との関係を深めたい
たこ満のお菓子は、雛祭りや端午の節句といった季節感のある文化風習や、子どもの満1歳の誕生日に行う「背負い餅」や入学祝いといったライフイベントなどで、多く利用されています。
「たこ満のお客さまには、長年にわたり継続的にご愛顧いただく『生涯顧客』の方々が多くいらっしゃいます。そうしたお客さまには、これまで折り込みチラシなどを通じて接点を持ってきました。今後は若い世代の方々にも、LINE公式アカウントでのコミュニケーションを通じて、生涯顧客となっていただきたいと考えています」
常連のお客さま向けのLINE公式アカウントの運用などを通じて、槻木氏は「それぞれのお客さまに合わせた配信が、お客さまにとっても非常に価値のあることなのだと改めて実感した」と言います。
今後は、以前より実施しているケーキのプレゼント企画「赤ちゃん誕生お祝いケーキ」などで、LINE公式アカウントのメッセージ配信を用いたきめ細やかな案内を模索しているそうです。
「今はケーキをプレゼントして終わり、となっていますが、予約時にLINE公式アカウントを友だち追加していただくことで、その後も、季節ごとの文化風習に合った商品のご紹介や、お子さまの成長に合わせた特別なお祝いメッセージの配信などができるのではと思っています。今後ぜひ取り組んでみたいですね。お客さまの人生を、たこ満のお菓子で彩ることができたらうれしいです」
折り込みチラシや店頭POPでは届きにくい層にも情報を届け、常連のお客さまにはより特別な情報を届ける。さらに、リサーチ機能を通じてユーザーの声を集め、商品企画や店舗運営にも生かす。たこ満はLINE公式アカウントを通じて、ユーザーとの接点を広げながら、地域に根差した菓子店として長く選ばれる関係づくりを進めています。
(公開:2026年7月、取材・文/小泉明奈、POWER NEWS編集部)
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