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「ポテンシャル層」開拓にファンターゲティング。ブランドマーケティングの新定番

佐藤製薬株式会社

2020.09.18

佐藤製薬株式会社(以下、佐藤製薬)は、新しい手法「ファンターゲティング」を活用することで、これまでとは全く異なるユーザー層にアプローチすることに成功しました。

ヘルスケア イノベーションの推進

1915年(大正4年)、「佐藤製薬所」として創業した佐藤製薬は、105年の歴史を持つ製薬会社であり、マスコットキャラクター「サトちゃん」で幅広い層に知られています。主力製品の滋養強壮ドリンク剤「ユンケル黄帝液(以下、ユンケル)」は、1967年(昭和42年)の発売以降、働く世代を中心に人気を集めています。

目的

モーメントを意識したスペシャルコンテンツ

「ユンケルのCMと言えば?」と質問された際、「タモリさん」または「イチロー選手」を思い浮かべる人が多いでしょう。イチロー選手は、2002年(平成14年)から17年間イメージキャラクターを務め、ユンケル=イチロー選手としての認知度は抜群です。

そのイチロー選手が、2019年3月引退を発表します。引退に際し、長期に渡り支援を続けて来た佐藤製薬は、引退記念スペシャルCMの制作を決定。関心度の高い時期に併せ、特別CMを使ったプロモーションを企画しました。エンゲージメントの向上、購買意欲のリフトアップが目的です。

ソリューション

新しい切り口を求め「ファンターゲティング」を

これまでは、主にテレビや新聞を中心としたCMをメインとした戦略を採り、認知度の面では手応えを感じていました。さらに、薬局やドラッグストアなど流通周りの販促戦略においても成果を挙げていました。

一方、ターゲットを「商品に関心がある人」「ドリンクを飲んでいる人」に限定した場合、新規層を取り込む間口が狭くなるという懸念がありました。顕在層へのアプローチは効率も良く、確実に認知は獲得できますが、いずれ施策が飽和する恐れがあります。そのため、新しい切り口が必要でした。

ユンケルは、長年イチロー選手をキャラクターに起用しています。ユンケルのシンボルであり、キラーコンテンツとも言えるイチロー選手を全面に押し出したクリエイティブを使い、その中で、いかにユンケルとイチロー選手のエンゲージメントを高めるか。そのために「イチロー選手のライトファン〜コアファン」を対象としたターゲティング「ファンターゲティング」を取り入れます。

ユンケルのメイン購入層である「男性/中高年層」とともに「女性/若年層」をも含めた層にアプローチするために、CMでは主語を"ユンケル"から"イチロー選手"にすることに注力。商品を訴求するのではなく、イチロー選手の引退に当たって、ユーザーが感じている気持ちに寄り添うことを大切にしたクリエイティブを制作しました。

成果

「購買意向上昇率」女性が男性の約10倍

※,調査実施期間:2019年6月10日〜16日
※,対象広告商品:「特別企画 スマートフォン版Yahoo! JAPAN ファンターゲティング ブランドパネルビジョン」

広告配信期間は1週間(2019年6月10日〜16日)、対象デバイスはスマートフォンです。ブランドリフト調査の結果、広告想起率は12.6%、購入意向率は6.7%という結果を得られました。いずれも、平均値と比較して、高水準〜最高水準に位置する結果です。

とりわけ注目すべきは、購入意向率の部分です。性別で見た場合、男性に比べ女性の方が約10倍のリフトアップが見られました。これまで開拓できていなかった、白地である女性層において態度変容が起こった理由は様々な要因が考えられますが、商品効能を謳うのではなく、イチロー選手への共感を訴求した点が一因としてあります。「イチロー選手には関心はあるが、ユンケルはそれほどでも」層に、イチロー選手をメインに押し出した特別CMを通し、ユンケルの興味喚起を促せたことは、大きな成果と言えるでしょう。

担当広告会社からのコメント

佐藤製薬様の場合、これまではマス広告中心で、デジタル広告はあまり力を入れていませんでした。新しいチャレンジをするに当たり、デジタルの方が実験的施策を試しやすい、効果が測りやすい等があり、ファンターゲティングを実施しました。一般的な属性ターゲティングとは異なり、「ファンである」という切り口が新しかった点が、導入の一因です。

佐藤製薬様、特に「ユンケル」については、そもそも認知度は圧倒的です。そのため、認知度アップではない指標、「買いたい気持ちがどれだけ上がるのか?」に注目していました。さらに、「購入意向度が上がった」内、これまであまり訴求できていなかった女性層のアップ率が想定以上で、効果を実感しています。

一般的なターゲティングの場合、商品起点のプロモーションが効果的です。しかし、やや手詰まり感がありました。ユンケルは、「イチロー選手」と言う圧倒的なブランドキャラクターを持っています。これは、他には真似のできない資産です。この唯一無二の武器を活かすに当たり、ファンターゲティングは適切だったと思います。

「イメージキャラクターを好きな人」という軸をフックにして、「商品(ユンケル)が届いていなかった」層にアプローチできる手法は、これまでにはありませんでした。未開拓の層、ポテンシャルがある層の開拓を、これからも続けていきたいです。

企業・団体名
佐藤製薬株式会社(外部サイト)
ユンケル(外部サイト)
所在地
東京都
従業員数
1,000名(2020年7月現在)
事業内容
二大事業(ヘルスケア事業、医療用医薬品事業)を柱に、「ヘルスケア イノベーション」を推進し、安全で高品質な製品を提供する。

※当記事は2020年7月の情報をもとに構成しています。掲載内容、所属団体、部署名、役職名などは、取材時のものです。
※新型コロナウイルス感染防止のため、リモートにて実施しています。
※取材/撮影/文:池亀 久美子(ヤフー株式会社)


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