宮城県北部に位置する大崎市は、世界農業遺産にも認定された大崎耕土を有する自然豊かな地域です。鳴子温泉郷をはじめとする観光資源に加え、東北新幹線・古川駅を中心とした交通利便性の高さも特徴で、県北地域の中核都市としての役割を担っています。
大崎市では、市民一人ひとりの暮らしに寄り添った行政サービスの提供を重視し、近年は行政DXの推進に積極的に取り組んでいます。LINE公式アカウントを活用した情報発信や手続きのオンライン化を進め、住民が「必要な情報を、必要なときに、確実に受け取れる」環境づくりを推進。イベント運営、行政手続き、給付金対応といった複数分野で、LINEと公的個人認証サービス(JPKI)を軸にしたデジタル活用を段階的に広げています。
LINE 公的個人認証サービス(JPKI)を採用した理由を教えてください

大崎市では、住民が日常的に利用しているLINEを行政サービスの入口とすることで、手続きや情報取得のハードルを下げたいと考えていました。特に二十歳の集い(旧成人式)は、若年層が多数参加するイベントであり、確実な本人確認とスムーズな受付運営が課題となっていました。
LINE 公的個人認証サービス(JPKI)は、専用アプリのインストールが不要で、LINE上で本人確認を完結できる点が大きな魅力です。なりすまし防止を図りつつ、氏名や住所の入力間違いを防げることから、住民・職員双方の利便性と安全性を両立できる手段として採用を決定しました。
二十歳の集いでは、どのようにLINEとJPKIを活用しましたか?

令和8年1月11日に開催された「令和8年大崎市二十歳の集い」では、市内複数会場で式典を実施。そのうち古川地域(会場:村田工務所 パタ崎さんHall おおさき(大崎市民会館))では、今回初めて参加確認を目的としたLINEでの事前登録を導入しました。

式典参加者632名のうち、LINEで事前登録した方が607名、そのうち180名がJPKIを利用した登録でした。
当日は、LINE上で表示されるQRコードを使ったチェックインを実施し、受付は初めての取り組みのため職員11名体制(声掛けに4名、チェックイン確認に2名、当日登録に2名、LINEが使えない人への対応に2名、システム対応に1名)で対応。職員はチェックイン画面を確認するだけで受付が完了し、また、次第や来賓名簿、市からのお知らせもすべてLINEによる配信としたことで、配布物が無くなり大幅な業務簡素化につながりました。
また、チェックインのデータをもとに、出身中学校ごとの参加状況や混雑する時間帯を把握できるようになり、今後の運営改善に向けた分析が可能になりました。式開始直前の案内や、悪天候時の情報共有をLINEで行える点も、大きなメリットとして評価されています。
参加者の反応を教えてください

参加者からは、「事前に登録できて当日の受付がスムーズだった」「LINEで案内が届くので安心できた」といった声が聞かれました。
一方で、LINEで事前登録を行わず、式典に参加した方が25名いたことや、チェックイン時間が式開始直前に集中した点は課題として認識されています。これらの結果を踏まえ、来年度は事前通知で入場時間の分散を促したり、図解を用いた分かりやすい案内を行うなど、さらなる改善を検討しています。
今回の取り組みにより、当日の混雑防止だけでなく、データが蓄積されることで次年度に向けた課題整理がしやすくなった点は大きな収穫でした。
職員の反応を教えてください

職員からは、「受付業務が非常にシンプルになった」「事前に参加状況を把握できるため、運営計画を立てやすかった」「紙資料をデジタル化にしたため効率化ができた」「案内状の郵送料について削減ができた」といった声が上がっています。
JPKIを活用したことで、実際にスマートフォン上で氏名を手入力した場合に発生していた入力間違い(漢字違いなど)を防止でき、正確な参加者情報を把握できた点も評価されています。
一方で、「JPKIは少しハードルが高い」「LINEを使用しない参加者への周知方法について配慮して欲しい」と感じる参加者もいたことから、全員利用を前提とせず、段階的に利用を広げていく方針としています。
今後の展望・提言

大崎市では、二十歳の集いでの活用を起点に、これまでの不在者投票やエコ改善推進事業補助金等のほか、2025年12月からは住民票や戸籍証明、税証明などの行政手続きをLINEで申請できる環境を整備しています。
さらに3月からは、公務員世帯を対象とした物価高対応子育て応援手当についても、LINEとJPKIによる本人確認を活用し、短期間で給付を実現するとともに、銀行口座を持たない世帯にも配慮した仕組みとしたATM受取サービスも開始しています。
イベント、行政手続き、給付金といった複数分野でLINE×JPKIを展開することで、「単発で終わらない行政DX」を実現していくことが、大崎市の今後の方向性です。他自治体においても、まずはイベントや若年層向け施策など、効果が見えやすい分野から導入することが有効だと考えています。
ありがとうございました
| 宮城県大崎市 |
| 人口:120,285人(令和8年1月1日現在) | |
| 住所:〒989-6188 宮城県大崎市古川七日町1番1号 |