芸能プロダクション大手・株式会社ホリプロ(以下、ホリプロ)が主催する「ホリプロタレントスカウトキャラバン(以下、ホリプロTSC)」。芸能界入りの有力な登竜門として、多くの有名タレントを輩出してきました。2025年に行われた第47回ホリプロTSCでは、約5,000名の中から選ばれた5名によって結成された、男性ボーカルユニット「unløck(アンロック)」が誕生。約7カ月にわたるオーディションを支えたのがLINEミニアプリを活用した「オーディションDXパッケージ」です。応募から候補者への通知、ファン参加型企画までのすべてをLINE上で完結できる本サービスの導入により、目標を大きく上回る応募者と運営工数の大幅削減を実現。その背景について、第47回の実行委員長を務めた松永吉晴氏に話を聞きました。
- 応募数を最大化し、より多くの候補者を集めたい
- オーディション運営の作業負担を軽減し、効率化を図りたい
- デビュー前からファンダムを形成し、熱量の高いファンを増やしたい
- LINEミニアプリを活用した「オーディションDXパッケージ」を採用しホリプロTSCを運営
- 応募情報や審査状況を一元管理できる仕組みを構築
- 番組配信と連動し、LINEミニアプリ上でファン参加型の投票企画を実施
- 約5,000名の応募を集め、当初の目標を大きく上回る
- オーディション運営にかかる人員と工数を80%削減
- ファン参加型企画により、ファンとの継続的な接点を創出、デビュー前から“推し”を育む環境を構築
応募の最終導線をLINEミニアプリに
想定を大きく上回る約5,000名の応募を実現
芸能プロダクションのホリプロは、1960年の創業以来、「文化をプロモートする人間産業」を企業理念に掲げ、日本のエンターテインメント業界を牽引してきました。近年は、タレントマネジメント事業を中心に、音源制作やライブイベントの運営を行う音楽事業、番組・CM制作を担う映像事業、ミュージカルや演劇をプロデュースする公演事業など、さまざまなクリエイティブ事業を展開する総合エンターテインメント企業として成長を続けています。
ホリプロTSCは1976年から続く歴史ある新人発掘オーディションで、これまでに榊原郁恵さん(1976年)、綾瀬はるかさん(2000年)、石原さとみさん(2002年)など、多くの有名俳優やタレントを輩出してきました。
「以前は“時代を彩るアイドルの発掘”がホリプロTSCの目的でした。近年は毎回、コンセプトを設け、幅広い分野からタレントの原石を発掘しています。開催にあたっては、各事業部の若手・中堅社員からなる実行委員会を組織し、原則、グランプリ受賞者のマネジメントを担当する社員が実行委員長を務めます。2025年に実施した第47回ホリプロTSCのコンセプトは、“男性ボーカルグループ”。エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社と共催でHoripro Vocal Scout Caravanと題し、満12歳から22歳までを対象に、5月から募集を開始しました」(松永氏)
2025年7月から書類選考、地方予選、ビデオ審査、合宿審査と段階的な選考を重ね、10名のファイナリストを選出。約7カ月にわたるオーディションの末、12月に最終メンバー5名が決定し、男性ボーカルユニット「unløck(アンロック)」が誕生。2026年4月1日にメジャーデビューを果たしました。
想定を大きく上回る「約5,000名」の応募を実現
この一連の選考を支えたのが、「オーディションDXパッケージ」です。LINEヤフーのTechnology Partnerである株式会社エボラニが提供するLINEミニアプリを基盤としたサービスで、応募者・事業者・ファンの三者がLINE上でつながることで、従来のオーディション運営を効率化しながら、エンゲージメントの最大化を実現することができます。
応援行動が広がり、オーディションの盛り上がりを後押しする
オーディションDXパッケージの導入目的について、松永氏は「大きく三つあった」と振り返ります。
「まず一つ目は、応募数の底上げです。従来はWebの応募フォームからエントリーしてもらっていましたが、“ページにアクセスして必要事項を入力し、写真や動画をアップロードする”という一連の作業を負担に感じる人も一定数いました。応募までの工数が多くなるほど、途中で離脱してしまうケースも少なくありません。
そこでまず、Horipro Vocal Scout CaravanのLINE公式アカウントを開設し、応募はすべてLINEミニアプリで受け付けました。スマホで自身の歌唱動画を撮影して、そのまま応募できるという手軽さが支持され、約5,000名の応募が集まりました。もともと男性の応募は集まりにくく、おそらくLINEミニアプリを活用していなければ5分の1程度にとどまっていたと思います」
LINE上での応募だったことについて、unløckのメンバーからは下記のようなコメントが寄せられています。
「LINEでこんなにスムーズに応募できるんだ!ってびっくりしました。
気軽に一歩踏み出せたのが本当に大きかったです!」(MAOYAさん)
「普段使っているLINEだったからこそ、迷わず応募できました。
あの手軽さがなかったら、挑戦してなかったかもしれません」(VMAさん)
「難しい手続きがなくて、直感で“やってみよう”と思えたのが良かったです。
LINEで簡単に応募できたおかげで今があります」(kiichiさん)
「応募のハードルがすごく低くて、挑戦への不安が一気に減りました。
LINEからだったからこそ参加できました」(KUROSAWAさん)
「スマホひとつで応募できたのが本当にありがたかったです。
あの気軽さが、僕たちのスタートになりました!」(RIOさん)
従来15名→3名に
オーディション運営の省力化を実現
オーディションDXパッケージ導入の二つ目の目的は、「作業負担の軽減だった」と松永氏は振り返ります。
「実は最も期待していた目的です。従来は、応募フォームに入力された応募者一人ひとりのデータを手作業でExcelに転記し、管理していました。そのExcelデータを基に実行委員各人がそれぞれ評価を行う、いわゆる“書類審査”の工程が非常に大変だったのです。
また、応募情報と応募者が提出した歌唱動画の確認を別画面で行う必要があり、行き来しながら評価する非効率な運用になっていました。評価結果の集計後は、応募者へ個別にメールで審査結果を通知しており、この対応にも多くの工数がかかっていました。
しかしLINEミニアプリを活用したオーディションDXパッケージを導入することで、応募データは自動的に管理システムに取り込まれ、一元管理できるようになりました。専用の管理画面上で応募情報と歌唱動画をまとめて確認しながら評価でき、全審査員の評価をふまえたソート機能も備わっているため、並び替えや抽出も容易に行えます。これにより、“上位通過者にLINE公式アカウントから審査結果を通知する”といった対応もスムーズに行えるようになりました。
例年、約15名で行っていたこれらの作業も、今回は3名程度で完了しました。体感として、総作業時間や人件費は従来比で約80%削減されたように感じています」
ファン投票で熱量を可視化
デビュー前からファンダム形成を実現
三つ目の導入目的として挙げられたのが、ファンダム(継続的に応援するファンコミュニティ)の形成です。
「いまは“ボーイズグループの戦国時代”です。ひと昔前のように“デビューからスターに駆け上がる成長物語”で徐々にファンを増やしていく、という戦略は通用しにくくなっています。デビュー時点で、相応のファンがいないと勝負にならないのです。
そのため今回は、選考過程をドキュメンタリー番組として制作し、SNSで定期的に配信しました。さらに番組配信とLINEミニアプリを連動させ、ユーザーが無料のガチャで獲得したギフトアイテムを使って候補者を応援できる仕組みを構築。応援の量に応じて限定コンテンツを受け取れる設計にすることで、より応援に熱が入るように工夫しました。
さらに、ファイナリスト10名の選出にあたってはファン投票を実施し、上位3名の候補者を無条件で通過としました。本格的なファン参加型施策の導入は、長い歴史を持つホリプロTSCにおいても初の試みです。ファンがお気に入りメンバーに感情移入しやすくなり、いわゆる“推し”を見つけてもらうきっかけになりました。
一般的に、複数アカウントを取得しやすいサービスでファン投票を行う場合、不正投票のリスクが懸念されます。その点、LINEは電話番号にひもづいてアカウントが作成されるため、一人1票に近い形での投票が可能です。参加の手軽さに加え、こうした公平性の高さもLINEミニアプリ活用の魅力だと感じました」
応募数の増加や作業負担の大幅軽減、さらにはデビュー前のファンダム形成など、「オーディションDXパッケージ」の導入により、ホリプロTSCでは多くの成果が得られました。松永氏は今回の取り組みを次のように振り返ります。
「今回の成果には非常に満足しています。加えて、近年問題となっているネット上の誹謗中傷への対策として、LINEヤフーさんの提案により、応募者と一般ユーザーでLINE上での一部の表示内容を分ける設計としました。一般ユーザーの声が応募者に直接届かないよう配慮したことで、大きなトラブルもなくオーディションを終えられた点も大きな成果の一つです。今後は、ホリプロTSC以外のオーディションでの活用も検討していきたいと考えています」
(公開:2026年4月、取材・文/相澤良晃、写真/慎芝賢)
本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
本記事内の実績は取材先調べによる数値です
| 企業名 | 株式会社ホリプロ |
|---|---|
| 所在地 | 東京都目黒区
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| 事業内容 | マネージメント事業、映像事業、公演事業、スポーツ文化事業、音楽事業
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