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大規模招待から再来場率最大30%|JリーグがLINEミニアプリで実現したサポーターとの接点づくり

公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

2026.06.18

公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)
執行役員兼マーケティング事業本部 本部長 鈴木章吾 氏

1993年の開幕以来、日本のサッカー文化を牽引してきたJリーグ。2025年には年間総入場者数が史上初めて1350万人を突破しました。さらに、リーグ・クラブの総売上高も過去最高を更新。2026/27シーズンには8月開幕へのシーズン移行を控えるなど、大きな変革期を迎えています。この成長を支えているのが、JリーグIDとLINEミニアプリを組み合わせた顧客体験です。Jリーグを認知しているものの観戦経験がない「観戦・認知未利用層」をテレビCMやデジタル施策等と連携した大規模招待施策で来場へ導き、その後、最大30%がリピート観戦につながっています。その背景にある考え方や施策について、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(以下、Jリーグ)執行役員兼マーケティング事業本部 本部長の鈴木章吾氏に話を聞きました。

目的
  • Jリーグを認知しているものの観戦経験がない「観戦・認知未利用層」との接点を創出したい
  • JリーグID登録と初回来場のハードルを下げたい 
  • 来場後も継続的に接点を持ち、次の観戦へつなげたい
施策
  • LINEミニアプリを活用した大規模招待施策で、観戦・認知未利用層との接点を創出し、初回来場を促進
  • LINEミニアプリ経由の応募導線により、JリーグID取得とLINE公式アカウントの友だち追加を推進
  • LINEミニアプリを顧客体験基盤として活用し、QRチケット表示や友だち紹介施策「誘い誘われ」を展開
  • LINEミニアプリの推し選手動画や興味関心に応じた情報配信により、来場後の継続的なコミュニケーションを強化
効果
  • 大規模招待施策を通じて新規JリーグID約14.6万件の登録を実現
  • 大規模招待施策をきっかけに、20〜30%が再来場
  • JリーグID全体のMAU向上と、Jリーグ・クラブ全体の過去最高売上更新に貢献

JリーグIDでCRM基盤を構築
課題は「観戦・認知未利用層」との接点創出

Jリーグは、J1・J2・J3のリーグ運営を担う、Jクラブの法人組織を社員とした公益社団法人です。日本サッカーの競技力向上を目指し、スタジアム環境の整備やクラブ強化への投資拡大を重要なミッションに掲げています。その実現に向けて注力しているのが、さらなる入場者数の拡大です。

 

「現在のファン・サポーターの中心は、Jリーグ創設時に小学生だった世代です。彼らとともに歴史を築いてきましたが、Jリーグがさらに成長していくためには、新たな世代のファンを増やしていくことが欠かせません」(鈴木氏)

 

こうした課題に向き合う中で、Jリーグでは2017年から全クラブ共通の会員ID「JリーグID」を軸としたマーケティング基盤を構築してきました。

 

Jリーグのユーザー分類(9segs)
観戦頻度や関心度に応じてユーザーを9つのセグメントに分類
Jリーグでは、それぞれのセグメントに応じた施策を展開している

それまでクラブごとに異なっていたマーケティング施策や顧客データを統合し、リーグ全体で顧客情報を一元管理できる環境を整備。チケット購入や来場履歴を把握できるようになったことで、誰が、いつ、どのクラブを応援し、何回観戦しているのかを可視化し、One to Oneマーケティングが可能になりました。

 

「紙チケットでは誰が来たのか、何回来たのかを把握できませんでした。JリーグIDとチケットのデジタル化によって来場履歴などのデータを活用できるようになり、既存のファン・サポーターとの接点は大きく強化されました」(鈴木氏)

 

Jリーグのマーケティングプラットフォーム
  • 2025年7月時点

共通のデジタル基盤を活用することで、マーケティング活動のインフラが整備されている

 

一方で、JリーグIDを通じたアプローチが機能するのは、すでにJリーグと接点を持つファン・サポーターが中心でした。観戦経験のない観戦・認知未利用層との接点を広げるため、JリーグではSNSやマスメディアを活用した露出・認知施策にも取り組んでいます。

 

「既存のファン・サポーターにはJリーグIDを通じてアプローチできます。しかし観戦・認知未利用層は、そもそもJリーグID登録に至らない。観戦体験がない段階では、各クラブのLINE公式アカウントの友だち追加にもつながりにくく、新しい接点づくりが必要でした。SNSによる露出も必要ですし、継続的にコミュニケーションできる接点も必要です。その中で、圧倒的な普及率を持ちながらOne to Oneコミュニケーションも実現できるLINEは非常に魅力的でした」(鈴木氏)

 

こうした考えのもと、Jリーグでは観戦・認知未利用層との接点づくりとして大規模招待施策を強化しています。その入口として活用しているのがLINEミニアプリです。

 

公益社団法人日本プロサッカーリーグ 執行役員兼マーケティング事業本部 本部長 鈴木章吾氏

LINEミニアプリで観戦・認知未利用層を来場へ導く
最高の観戦体験でファン化につなげる

観戦・認知未利用層との接点づくりにおいて、Jリーグが重視しているのは、まず観戦体験の魅力を知ってもらうことです。

 

その施策の一つが、LINEミニアプリを活用した大規模招待施策です。テレビCMやSNS、IPコラボ、交通広告などを通じて関心を高めたうえで、ゴールデンウィークや夏休みなどの大型連休に開催される「注力試合」へ招待しています。

 

大規模招待施策
2025年の開幕・春休み、ゴールデンウィーク、夏休みに大規模招待プロモーションを計3回、
「THE国立DAY」1万人招待施策を計10回実施

 

ポイントは、空席を埋めるための施策ではないことです。

 

花火やフェス、スタグル(スタジアムグルメ)、巨大遊具など、サッカー観戦以外のエンターテインメント要素も積極的に取り入れています。

 

「私たちは観戦体験を『作品』だと考えています。1日を通した観戦体験では試合以外にもスタグルやイベントなど魅力的な要素が多く、一度触れていただければ、一定数の方には定着していただけると考えています。だからこそ、大規模招待も一番魅力が伝わる試合で実施しています。満員のスタジアムが生み出す熱狂も含めて、まずは最高の体験をしていただくことが重要なのです」(鈴木氏)

 

特設サイトから応募したい試合を選択すると、ホームクラブのLINEミニアプリが起動します。ユーザーはJリーグID登録後、そのまま応募を完了できるほか、クラブのLINE公式アカウントの友だち追加にもつながります。これにより、各クラブは試合情報やチケット案内などを継続的に届けられます。

 

つまり、大規模招待施策は単なる集客施策ではなく、観戦・認知未利用層のJリーグID登録を促し、その後の継続的なコミュニケーションを可能にする役割も担っているのです。

LINEミニアプリを顧客体験基盤に
観戦前から観戦後までを一気通貫

JリーグにおけるLINEミニアプリの役割は、応募導線の改善だけではありません。JリーグではLINEミニアプリを、観戦前から観戦後までをつなぐ「顧客体験基盤」と位置付けています。

 

認知・未利用層との最初の接点から、チケット表示、スタジアム体験、観戦後のコミュニケーションまでを一つのプラットフォーム上で提供できることが最大の特徴です。

 

JリーグがLINEで提供している顧客体験
  • 記事中に表示されるキャンペーンは終了している場合があります

チケット購入から来場翌日までを一気通貫でサポート

観戦前はチケット購入や招待応募。

観戦当日はQRチケット表示や会員証表示、スタジアム内キャンペーンへの参加。

そして観戦後は、次回来場を促すコミュニケーションや登録した「推し選手」のプレー動画の配信などを行っています。

 

中でも、LINEならではの“つながり”を生かした施策が、友だち紹介施策「LINEで誘い誘われ」です。Jリーグでは以前から、「知人に誘われて来場したこと」がファン化の大きなきっかけの一つとなっていました。そこで、知人や家族に誘われて来場する体験をデジタル上でも再現するために生まれたのが、LINEミニアプリを活用した友だち紹介施策「LINEで誘い誘われ」です。サポーターはLINEミニアプリからチケットを分配し、家族や友人を観戦へ招待できます。

 

「自社アプリでは、招待された側もアプリをダウンロードしなければなりません。LINEなら普段のコミュニケーションの延長線上で参加できる。『誘い誘われ』はLINEだからこそ実現できた施策だと思っています」(鈴木氏)

 

LINEで誘い誘われ
友人・恋人・家族など身近な新規層をファン・サポーターが誘うことでスタジアム来場ハードルを下げる

さらに、観戦後には「推し選手」機能も提供しています。登録した選手のプレー集を試合翌日に自動で配信し、試合がない日でも接点を創出。観戦前・観戦中・観戦後を通じて継続的な関係構築を行っています。Jリーグ全体のハイライトではなく、自分が登録した選手のプレーだけを振り返ることができるため、観戦直後の熱量を維持しやすいといいます。

 

「試合の翌日に『推し選手』の動画が届くことで、試合がない日にも接点をつくれます。こうした積み重ねがMAU向上にもつながっていると考えています」(鈴木氏)

 

推し選手動画
LINEミニアプリで登録したお気に入り選手のプレー動画や試合のダイジェストを楽しめる
Jリーグが独自開発し、AIが自動生成した動画がLINEで簡単に見られる

観戦・認知未利用層との接点が成果に
再来場率最大30%で過去最高売上を更新

実際、2025シーズンの大規模招待施策では累計282万件以上の応募があり、新規JリーグIDは約14.6万件登録されました。さらに、無料招待で来場したユーザーの再来場率は20〜30%を維持しています。来場後は、チケット購入だけでなく、スタジアムグルメやグッズ購入などにもつながっているといいます。

 

  • 申込数・新規率:モンテディオ山形における2024年開幕戦(JリーグIDフォーム)・2025年開幕戦(LINEミニアプリ経由)比較

  • 不正防止:アルビレックス新潟におけるLINEミニアプリ導入前後の成果

  • 2025シーズン年間実績
     

「大規模招待はコストではなく投資だと考えています。人が増えても売上が増えなければ意味がありません。しかし今は入場者数だけでなく入場料収入も比例して伸びています。グッズや飲食、ファンクラブまで含めると十分に投資を回収できています」(鈴木氏)

 

こうした成果を背景に、Jリーグとクラブ全体の売上は過去最高を更新しました。

 

今後はモバイルオーダーやデジタルペンライトなど、観戦当日の体験向上にもLINEミニアプリを活用していく予定です。Jリーグでは、来場前・来場後だけでなく観戦当日の体験価値も高めることで、サポーターとの接点をさらに広げていきたいと考えています。

(公開:2026年6月、取材・文/戸谷美帆、写真/川嶌順)

本事例のサービス「LINEミニアプリ」について、詳しく知りたい方は「LINEミニアプリ スタートガイド」をご確認ください。(PDF資料・無料)

  • 本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

  • 本記事内の実績は取材先調べによる数値です

企業名 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ
所在地
東京都千代田区
事業内容
プロサッカー試合の主催、公式記録作成、プロサッカーに関する諸規程制定、サッカーを始めとするスポーツの振興及び支援等